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10OCTOBER
2018

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いつまでも「食」を楽しみたい「つくる・たべる」をナビゲーションする食と健康のスペシャリスト

「食naviステーション」代表 木村 まゆみさん

 

年齢を重ねるにつれ、見直さなくてはいけない食生活。いつまでも若い頃と同じものを食べることはできないけれど、いつまでもおいしいものが食べたい!そんな願いを叶えるために、日々の食事と健康をナビゲートする管理栄養士の木村まゆみさん。食品製造会社を退職し、起業するまでの道のりと、これからの展望などについてお伺いしました。

20年勤めた会社を退職、一年発起して起業へ

ー 起業する前の経歴を教えてください。

木村 栄養士を養成する短期大学を卒業後、秋田市内の食品製造会社に就職しました。新しく品質管理の部署を立ち上げ、商品の衛生管理業務を行っていました。多くの商品開発にも関わり、オンラインショップの管理を任されるなど、勤務していた20年の間に多くの経験とスキルを身につけることができました。

ー 退職した理由は?

木村 とても働きやすい環境だったんですが、女性が結婚、妊娠を機に退職されるケースが多く、そのためか女性が管理職に就くことはなかなか難しい状況ではありました。いろいろな経験をしていくうちに、ほかの食品についても勉強がしてみたい、ほかにやりたいことがあるのではないか、と考えるように。自らのステップアップのため、退職という選択をしました。さまざまな経験をさせてくれた会社には感謝しており、現在もお取引先を紹介していただいたり、大変お世話になっています。

ー 退職後、どのような経緯で起業することになったんですか?

木村 退職して1年くらいは、全国を食べ歩きしていました。ハローワークで就職相談をしたり、就職活動を始めて「自分は何をしたいのか」を真剣に考えはじめた時、起業という選択肢が見つかりました。秋田商工会議所の起業塾に参加し、自分がやりたいと思っていることが本当に事業として成り立つのか、専門家に相談しました。通常、1回目の参加で結論を出す方が多いそうですが、私は事業計画を作ることができず、2回目の参加でやっと起業を決意しました。どこの企業にも属さないフリーの栄養士として「食」に関する仕事をする、自分の力でできるところまでやってみよう、という結論に至りました。

そんな時に、秋田市の創業支援事業で秋田市民市場へ1年限定での出店希望者を募集しているのを知り、応募しました。晴れて合格し、介護食の販売、食事提案するお店を開業しました。

いつまでもおいしいものが食べたい!が起業のモチベーション

ー 「食naviステーション」を創業したきっかけを教えて下さい。

木村 「介護食品を広く知ってもらいたい」という目的のもと、平成27年に創業しました。
介護食というのは、通常の食事を食べるのが難しくなってしまったお年寄りのための、飲み込みやすく作られた柔らかい食事のこと。普通介護食品というと、病院や施設などで出される、ドロドロした食事を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
ところが、ここ最近は開発が進み、「これが介護食?」とびっくりするほど見た目もよくて、味もおいしい市販品が増えてきているんですよ。
自分の祖母が10年前に病気をした時は、そういうものがまだなくて、食が進まないことも。最後までおいしいものを食べさせてあげたかったということと、自分が高齢になった時にもおいしいものが食べたい、という気持ちから、介護食品の普及を行おうと思いました。

(食材をペースト状にして再形成した「やわらかおかず」。写真は左上から時計回りにサケ、カレイ、ホタテ、豚肉)

ー 介護食品ってどうやって購入するんですか?

木村 介護食品と一口に言っても、食べる方の状態によって食べられるものが違うんですね。こういう症状の方にはこの食品というように、管理栄養士がカウンセリングして販売する必要があるんです。病院によっては、退院する方に介護食品のパンフレットをぽんと渡すだけ、ということも。患者さんたちはどれを買ったらいいか分からないし、どれも少量ずつ買うことができないなど、困惑することが多いようです。

スキルを活かし、さまざまな企業から依頼を受けるように

ー 介護食品の販売と、栄養強化食品の販売のほかに、どんな活動をされているんですか?

木村 商品開発と品質管理のスキルを活かし、企業を対象に衛生管理や商品開発のアドバイスを行っています。また「6次産業化プランナー」として、秋田県6次産業化サポートセンターに専門家登録されているので、農家などを対象に、加工品の開発や販売のお手伝いも行っています。
また、管理栄養士として、健康メニューを紹介する料理教室や、勉強会なども行っています。

ー 今回取材にお伺いした、秋田市公設地方卸売市場で開催の「学食楽講座“健康食をテーマに学ぶ・食べる・楽しむ 料理教室”」は、どのような目的で開催されたんですか?

木村 秋田市公設地方卸売市場では、卸売業者さんたちが主催する料理教室やイベントが多数開催されているんですが、主に市場で取り扱っている食材のおいしさや調理法を知ってもらうことと、卸売市場に足を運んでもらうことを目的としています。
卸売市場は、業者さんが利用するイメージが強いと思いますが、一般の方もお買い物できるんですよ。10月21日(日)には市場まつりも開催しますので、気軽に足を運んでいただきたいですね。

(秋田市公設地方卸売市場 管理棟2F 多目的室「フレッシュ交流館」にて料理教室を行う木村さん)

ー ほかにも料理教室やセミナーなどを行う予定がありますか?

木村 秋田県の「健康寿命日本一」を目指す事業の一環として、あきた食彩プロデュースさんと一緒に、社員食堂などへのヘルシーメニューの導入、企業や団体での出張「食生活改善セミナー」などを行っています。
ちょうどこの取材の後、初の出張講座を行うところなんです。社員の皆さんの福利厚生の一環として終業後に、「生活習慣病を予防するための食生活」などについてのセミナーを受けてもらう予定です。

起業してたくさんの人に出会えたからこそ成長できた

ー 起業をしてよかったと思うことを教えてください。

木村 品質管理で一人部屋にこもって仕事をしているほうが、人間関係はラクなんですよ(笑)。でも、起業してたくさんの人に出会って、多くの情報に触れて刺激を受けられてよかったと思います。年配の経営者の皆さんと接することで勉強になることも多いですし、大学生や高校生と接して、発想の豊かさに刺激を受けることもあります。

先日、企業とコラボレーションして商品開発をするという課外授業に協力して、高校生と接することがあったんですが、「介護食の地味なイメージを変えたい」って言われちゃいました。年を重ねても好きなものが食べたい、ということでキーマカレーの介護食を開発するそうです。

ー 確かにそれは刺激的ですね!ほかにも、起業して気づいたことはありますか?

木村 一つ一つの仕事に対する真剣みも違いますし、もっと勉強しないとと常に思うので、成長もあります。やらずに後悔するよりも、自分の好きなことであればやってみたほうがいいと思いますよ。
それから、健康が一番大事!
会社勤めの間は、病気しても「明日休みます」と連絡すればよかったですが、起業してからは病気できなくなりました。健康と、健康を作るための食生活がやっぱり大事ですね!

最初は、自分の事業として成功するためにはどうしたらいいのか、それしか考えられませんでした。でも、もともと自分が食べるのが好きで、高齢になってもおいしいものが食べたいと思って始めた事業なので、私が高齢になっても続いていて欲しいなと思うようになりました。

健康と食事をさまざまな角度からプロデュース

ー 今後の事業展開や夢を教えて下さい。

木村 今年で創業3年目を迎え、現実もいろいろと見えてきて夢を語るのがおこがましく思えてきたんですが(笑)。現在、管理栄養士や6次産業化プランナーなどの仕事の依頼が増え、そちらが事業の中心になってきてはいますが、やはり当初の目的である介護食品の販売に力を入れていきたいですね。
対象年齢を50~60代に下げて、秋田の食材を使った健康メニューや、健康維持に役立つ知識を伝える「食事改善のプロデュース企業」を目指して。いつかその先に、介護食につながっていくような種まきを続けていきたいです。

あと、管理栄養士さんって、結婚して子供を産むと辞めてしまう方が多いんですよ。資格は持っているけれど、仕事をしていない方がたくさんいる。高齢化率が上がるにつれ、栄養士のニーズは増えていくと思うので、そんな方たちが活躍できる場や、仕組みができたらいいなと思います。
主婦を経験して毎日ご飯を作って、きっと若い時よりスキルアップしていると思うんですよ。メニュー作りが得意な方、栄養計算が得意な方、色んな方が活躍できると思います。

創業3年目を迎え「今が勝負の時だと思います」と力強くお話してくれた木村さん。小柄で可憐な見た目からは想像もつかないような芯の強さとパワーを秘めた方でした!これからも、秋田の食卓と健康のために活躍し続けてくれることと思います

【木村まゆみさんプロフィール】
秋田市出身。栄養士養成短期大学を卒業後、食品製造販売会社に就職。品質管理、商品開発などの業務を行う。平成27年、秋田市で「食naviステーション」を開業。介護食品・栄養強化食品の販売、6次産業化プランナーとして商品開発・衛生管理のアドバイス、管理栄養士としてセミナー、料理教室などを行っている。有機JAS加工食品の認定員。

【食naviステーション】
秋田市山王3丁目1-1 秋田県庁第二庁舎3F
電話番号/070-5090-8025
E-mail syokunavistation@gmail.com
ホームページ http://www.snavi-st.com

この記事を書いたライターこの記事を書いたライター

まだむ ユキコ

秋田市出身、秋田市在住。2003年~2010年、Sodatsu.com、ママニティにて育児日記を連載。2010年クルール秋田版創刊、2013年まで編集長をつとめる。現在はフリーライターとして活動中。中2の娘、夫、祖母の4人暮らし。

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