秋田市将軍野にある閑静な住宅街の一角で、毎週金、土、日曜日の3日間のみテイクアウトで営業している「豆腐百景(とうふひゃっけい)」をご紹介。
私たちの日常にあるお豆腐。豆腐百景では、「出来立て」の濃厚なお豆腐をすぐ購入することが可能です!農林水産大臣賞を受賞した、秋田県大仙市の強首ファームの大豆「リュウホウ」を使用し、出来立ての寄せ豆腐をメインに、豆乳の量り売りやスイーツ、豆腐を使ったお惣菜を販売しています。
メニューの中で最も人気がある「よじろあげ」は商売繁盛・スポーツの神として祀られている秋田伝統のキツネ「与次郎」から名付けられました。まんまるで油揚げと厚揚げの間のサクサクとした食感と、優しい甘さのタレの味にトリコになります。縁担ぎにも良さそうなよじろあげはちょっとした手土産にも最適ですね。
甘いものとの相性もいいお豆腐。鹿角のりんごシロップや横手の米麹を使った「トロトロ豆乳ドリンク」や、寒い時期にはたまらない豆乳×あんこの「おしるこ豆乳」などのドリンクメニューもラインナップ。他にもだしの際立つ「おでん(冬季限定)」やおにぎりなど、全てに秋田県産の食材を使用しています。冬季以外には「おとうふ丼」や、その日限定のメニューがあったりと、季節によって豆腐とコラボした食材を楽しめるのもいいですね♪(限定商品についてはInstagramでチェック!)
そして今注目を集めているのが「おとうふプリン・焼きいも」です。豆腐百景の豆乳をプリンとクリームにし、冬季のみ営業しているオジモイモ屋さん(@ozimo.imoya)の焼きいもを使用したコラボ商品。甘すぎないけれど、濃厚。という何ともクセになる味に、何個でも食べれると言う口コミがたくさん。こちらは3月までのメニューとなり、早期終了する可能性もあり。数量限定のため、早めに行かないと売り切れていることがありますのでご注意を!
矢吹さんのご実家は、秋田県産の大豆を使用したお豆腐屋を営んでいます。年々お豆腐屋さんが減っていくのを目の当たりにし、このままでは秋田から「スーパーでしか買えない、直接お豆腐が買える、と言う環境が無くなってしまうのでは?」と危惧し、何か自分にできることはないかと考えた末に、自ら豆腐の知識を学び、お豆腐の飲食店を開業。長年編集業に携わっていたことを活かし、後世に秋田のお豆腐を残したいという想いを文字やInstagramで伝えながら、お豆腐のプロデュースから販売までを手掛ける行動力が素晴らしいです。
豆腐だけでなくスイーツも、矢吹さんが取材で訪れた農家さんのお話がきっかけになっています。豆乳ドリンクに使用しているりんごシロップや米麹、あんこも「豆腐とつなげて何かできないか」とアイディアを提案し生まれたそうです。「人とのご縁・つながりが商品開発につながり、今の自分がある」と関わった方たちに感謝する矢吹さん。
店頭で配布している「おとうふ新聞」は、矢吹さんご自身で執筆から編集を手掛けています。お豆腐ができるまでの工程や、そこにたどり着くまでのストーリーなど、取材を通して見てきたこと、感じたことが描かれています。地域の方々や年齢層の高い方にお豆腐を買う、と言う行動を懐かしんでもらいつつ、豆腐という身近な食品について多くの方々に伝えていきたいと土地柄を考え紙面で発行しているとのこと。インスタグラムでもたくさんのファンを抱えつつも、こういった古き良き文化を続けていくことは、現代の私たちにとっても必要不可欠なことですね。
「食文化を始め、さまざまな分野で秋田はネガティブなニュースが多いのですが、この土地、この気候だからこの文化があるんだ、この食があるんだ、だから自信を持って秋田に居ていい、と言う事に気づきました」と矢吹さん。無くなりかけている秋田の文化に対して、続けていくことで何かヒントを得られるのではないか?と自身の一番身近にあった「豆腐」をきっかけに、たくさん悩み、考え、行動するひたむきさが「豆腐百景」のメニューにつながっています。
「豆腐百景」の全ての商品は「作り手の優しさと文化を伝えていきたい想いが見える味」。取材でお話を聞き、お豆腐や秋田の文化にかける情熱をひしひしと感じました。ライター自身も魅了されたお豆腐。来店の際は保存容器を持参して、秋田の味をぜひ堪能してみてはいかがでしょうか。
DATA
【豆腐百景】
住所/秋田市将軍野南4丁目9−31
TEL/090-2987-8982
営業日/毎週 金・土・日曜日
営業時間/11:00-18:00
駐車場/あり(店舗前3台)
※将軍野コミセンへの駐車はご遠慮ください