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秋田の魅せるお米。鮮やかな観賞用稲「kireine(きれいね)」を生活の中に

観賞用稲「kireine」プロデュース 栗林生花店 栗林優花さん

秋田の豊かな大地で生まれ育った、鮮やかな稲穂があります。その名は、「kireine(きれいね)」。この美しい観賞用稲を製品化して販売しているのは、大仙市で花屋を営む栗林優花さん。かつて父が情熱を注いだものの、一度は途絶えてしまったこの観賞用稲を知ってもらうために日々奮闘する優花さんの想いをご紹介します。


幼い頃の記憶にある「kireine」の存在

ー「kireine(きれいね)」について教えてください。

栗林 kireineは観賞用の稲で、大仙市内で開発されたオリジナル品種です。2種類あって、穂先から伸びる芒(ひげ)部分が彩られた「祝い茜(いわいあかね)」と、濃い紫色の芒ともみ殻をもつ「祝い紫(いわいむらさき)」があり、どちらもこの地域で栽培されています。かつて、私の父が先導して商品化を進めていましたが、農家の高齢化などからkireineの栽培は難しくなり、徐々にその姿は見られなくなっていきました。

(芒が鮮やかな「祝い茜」)

(深みのある「祝い紫」)


―優花さんにとって懐かしい記憶だったんですね。もう一度kireineを商品化しようと思ったのはいつですか?

栗林 小学生の頃、父がアレンジメントなどにkireineを使っていたのを見て、子どもながらにきれいだなと思っていました。地元の高校を卒業後、新潟の大学へ進学し、卒業後に秋田に戻って家業である花屋の仕事をすることを決めた時から、kireineを復活させようと思っていたんです。もう一度あのきれいな稲が見たいと思って。ただ、頼りにしていた父が体調を崩した時期と重なってしまい、まさに手探りでのスタートでした。

(花屋の仕事を覚えながらkireineのことも勉強して…最初は大変でした と優花さん)


協力してくれる人がいるから

―どのようにしてkireineを復活させたのでしょうか。

栗林 以前kireineを栽培していた農家の方が、種を失くさずに残してくれていたので、それを使わせてもらい、発芽にこぎつけました。本業は花屋なので栽培に関しては素人です。農家の方なしでは実現しませんでしたね。田植えや稲刈りも、仲間たちが協力してくれてできています。kireineの栽培は通常の稲作の合間に行われるため、田植えは5月中旬から6月に行い、稲刈りは8月中旬から始まります。農家の方々以外にも、夏休みを利用して秋田を訪れている関東の大学生なども手伝ってくれるんです。

(田植えの様子/撮影:田村正太)



―周りの人たちもkireineの復活を喜んでいるんですね。お父様はどんな反応でしたか?

栗林 「頑張れ」って言ってくれましたね。いまは体調もよく、困ったときには父に相談することも多いです。全部一気に自分でやろうとせず、できる範囲でコツコツと、困ったら誰かに助けを求めることなどをアドバイスしてもらいました。

ー周りの期待も大きいようですが、出来上がりまでの緊張感もあるのでは?

栗林 収穫した稲は、昔ながらの「はさがけ」をして、天日干ししてドライフラワーのような状態にします。普通の稲と同様にカメムシや天候の影響を受けるので、最後まで出来上がりの状態が分からずドキドキしますね。

(刈り取った観賞用の稲をはさがけする様子/撮影:田村正太)


静けさの中の存在感

―kireineの魅力はどんなところだと思いますか?

栗林 kireineは、稲という素朴な素材でありながらも空間を彩る存在感があると思います。洋花のような派手さはありませんが、一輪挿しに飾られた少量の稲穂は静かなアクセントになるし、束にするとしなやかな力強さを放ちます。商品として店頭に置くだけでなく、まずは実際に手に取って使ってもらうことが大切だと思うので、ワークショップなどを開いて触ってもらう機会をつくるようにしています。特に、年末年始は正月飾りのワークショップが人気です。実りの象徴でもある稲穂は正月飾りにぴったりで、毎年楽しみにしているお客さんもいらっしゃるので嬉しいです。

(写真中央 kireineを使ったミニ門松)


特別なものだけでなく、身近なものに

―秋田の人にとって稲は身近な存在ですが、kireineは普段使いもできますか?

栗林 もちろんです!空き瓶にサッと飾ったり、束ねて壁に飾るスワッグにしたり、気軽に使ってもらえるものにしたいと思っています。また、趣のある稲穂は秋田に古くから伝わる工芸品との相性も抜群だと思うので、伝統工芸品の花器と合わせたり、ギフトラッピングのアクセントにもよさそうだなと考えています。

(kireineのみで花器に飾っても絵になります)

(木箱にディスプレイされたkireine 一束600円)


広がる可能性を信じて、前へ

―kireineはどこで手に入れられますか?

栗林 実店舗では、私が働いている栗林生花店や、大仙市大曲の古道具店ReNSAさんで取り扱っています。そのほかにもオンラインショップで販売中です。昨年12月には都内のフラワーショップにも置いていただきました。今後も知っていただける機会を増やしていきたいと思っています。

―今後の展開が楽しみですね。

栗林 米どころ秋田で育ったからこそ、美味しいお米だけでなく、見て楽しめる美しい稲を皆さんに提供したいですし、それが広まっていったら嬉しいですね。kireineが、秋田の人たちの、豊かな暮らしの新しい選択肢になればいいなと思います。

(ハーバリウム 2,000円)


幼い頃に近くで見ていた父の夢を、現代のライフスタイルに蘇らせた優花さん。kireineの落ち着いた存在感は、若いながらもコツコツと努力して前進する優花さんの佇まいとどこか通じるものがあるような気がしました。農家さんや工芸品の愛好家、フォトグラファーなど、多くの人が彼女に協力して一緒にkireineの価値を高めていこうとしています。リスタートしたkireineが、今後秋田の特産品として成長していく事を楽しみにしています。

※価格は全て税込です

DATA

栗林優花さん
大仙市出身。地元の高校を卒業後、新潟の大学へ進学。卒業後に秋田にUターンし、家業の花屋に従事。その一方で父が以前手掛けていた観賞用稲「kireine(きれいね)」の復活を遂げ、商品化。
ワークショップなどでその魅力を伝える活動をしている。

kireine(きれいね)
オンラインSHOP
Instagram

取り扱い店
栗林生花店  大仙市福田町12ー27
電話/0187ー63ー1604

ReNSA(レンサ)  大仙市大曲福住町5ー11
HP
Instagram

キーワード

秋田県内エリア

Writer

オカ ヒロコ

オカ ヒロコ

ライターであり、フリーアナウンサー。取材や執筆のほか、ナレーション、MCもします。気になる場所や人を見つけたら話を聞きたくなっちゃう知りたがり。食、子育て、おでかけ、頑張る人、幅広く発信します。 大仙市出身。2児の母。

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