TOP

歯科診療で見えてきた想い。不調の悩みに寄り添うはり・きゅうに込めた想い

ささき歯科医院 院長/はり・きゅう-kanade-奏 鍼灸師 佐々木寧子さん

大仙市大曲で「ささき歯科医院」を営む佐々木寧子さん。2024年には鍼灸師の資格も取得し、新しい挑戦を始めました。歯科医師だった父、鍼師だった祖父という医療一家に生まれ、「患者さんを根本から元気にしたい」という想いで日々向き合っています。今回は、佐々木さんのこれまでの歩みと新たなスタートについて伺いました。

父の背中を追って歯科医師の道へ

ー歯科医としてどのようなキャリアを積まれたのですか?

佐々木 日本歯科大学を卒業後、東京の歯科医院で9年間勤務しました。大学在学中に父が他界し、一度は閉院したささき歯科医院を再オープンすることを目標に修行を積みます。31歳でUターンし、父の医院を引き継いで開業し、今年で14年目を迎えました。患者さんをはじめ、地域の方々の温かい支えがあってこそだと感謝しています。

診療室で気づいた心と体のつながり

ー歯科医院ではどのような診療を心がけていますか?

佐々木 「患者様との二人三脚」を大切に、予防のための知識をお伝えして長期的な健康維持をサポートしています。口の中の細菌が全身に影響することもわかりやすくお伝えして、生涯にわたる健康に寄り添いたいと思っています。診療中に体の相談を受けることも多く、歯科医師としてだけでなく、根本的に患者さんを助けたいという思いも強いです。

ー印象に残る患者さんとのエピソードは?

佐々木 子どもの頃から矯正治療を見守ってきた患者さんに久しぶりに再会したところ、歯並びがガタガタになっていてびっくりしました。就職後に心の病を患ってしまったとのことでした。その後、2年の治療で心が安定すると歯並びも自然に改善されていきました。この体験は、私にとってただごとじゃない衝撃的な体験でした。

(診察から事務仕事まですべてひとりで対応します)

新たな学びへの挑戦

ーそこから実際に鍼灸の学びをスタートされたのですね。

佐々木 はい。精神的なトラブルがどうして体の不調につながるのか、その仕組みを根本的に知りたくて。そしてそれを患者さんにもお伝えしたいという想いが強くなりました。鍼師だった祖父の世界を体験してみたいという気持ちもあって、2021年に盛岡医療大学校の鍼灸学科に入学しました。昼間は夕方まで授業、帰宅後は夜から歯科診療という忙しい3年間でしたが、とても充実した日々でした。

ー専門学校で学んでいかがでしたか?

佐々木 鍼灸は東洋医学の考え方がベースにあって、体全体のバランスを整えることを大切にします。学んでいく中で「養生(ようじょう)」という考え方に出会って、病気にならないための健康づくりの大切さを改めて感じました。心と体の「安寧(あんねい)」を保つことの重要性も実感して、より深く患者さんと向き合えるようになったと思います。2024年専門学校を卒業して鍼灸師の資格を取得、院内に「はり・きゅう-kanade-奏」をオープンしました。

(専門学校の卒業式 写真提供:佐々木さん)

安らぎを与える場所を目指して

ー「はり・きゅう-kanade-奏」について教えてください。

佐々木 「奏」というネーミングには、東洋医学の考え方に通じるめぐりや調和を整える意味があり、その考えをもとに体や心のバランスを整えることを大切にしています。かつては私も、体型、むくみ、心身の不調に悩み、手っ取り早く解消したくて数々の美容サロンや美容外科にも通いましたが、根本的な部分は簡単には変わりません。不調を抱えている人は多いはずだし、その悩みを本当の意味でサポートしたいと考えています。

(お灸で体のめぐりを整えます)

ーどのような施術を行っているのですか?

 佐々木 医療用Inbodyで体組成を計り、浮腫みや冷えなど、その方の体質に合わせた施術をしています。自律神経が整うと、心も体もすっきりして、自分らしい毎日が戻ってくるんです。私が伝えたいのは健康への道筋です。教えてあげたいのではなく、知ってほしい。最終的には人生の主役は自分自身だから、体の仕組みを知って、病気にならないための自己ケアを身につけてほしいと願っています。

(マシン施術で細胞ケアと代謝アップ)

ー現在はどのようなスケジュールで両立されていますか?

佐々木 月・水・金は歯科診療、火・土は鍼灸施術を行って、臨機応変にスケジュールを調整しています。小・中学生の娘が2人いるので、忙しい日々ですが、充実した毎日です。奏をオープンしてからは、まだまだ学ぶことも多く日々新しい発見の連続ですが、お客様一人ひとりに寄り添いながら、より良いメソッドを提供できるよう努力しています。

ー今後の目標を教えてください。

佐々木 大きな目標は社会貢献です。健康でいることで医療費を抑え、働き盛りの人たちが長く健康でいられるお手伝いをしたいと思っています。私のところへ足を運んで来てくださる方には、心配事なく安心して毎日を過ごしてほしい。近道はありませんが、なるべく早くその状態に近づけるようサポートしたいです。これまでの私自身の体験を、多くの方たちに広く伝えていきたいと考えています。

明るく語る佐々木さんの言葉から、患者さんへの深い愛情が伝わってきました。ご自身も同じ悩みを経験されているからこそ、体の変化や心の揺れ動きに自然と寄り添える温かさがあります。体の不調で悩んでいる方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。

DATA

【佐々木寧子さんプロフィール】
秋田県大仙市生まれ。高校卒業後、日本歯科大学へ進学し、都内の歯科クリニックへ勤務。2012「ささき歯科医院」を開院。2024年MCL盛岡医療大学校を卒業し、鍼灸師の免許取得、院内に「はり・きゅう-kanade-奏」をオープン。現在は、中学2年生と小学6年生の子の母。

【ささき歯科医院】
住所/大仙市大曲上栄町1-18
電話番号/0187-63-3025
休診日/日・祝日
HP
Instagram

【はり・きゅう-kanade-奏】

HP
Instagram
LINE

Writer

髙橋 蕗子

髙橋 蕗子

大仙市出身。中央出版株式会社にて教育教材部門で勤務、通信制高校の体育教員を経て、現在は大仙市地域おこし協力隊として活動中。移住促進のため、地域の人やイベントなど取材し、県外に向け田舎暮らしの魅力を発信中。

関連記事

歯科診療で見えてきた想い。不調の悩みに寄り添うはり・きゅうに込めた想い

歯科診療で見えてきた想い。不調の悩みに寄り添うはり・きゅうに込めた想い

地域の温かさに支えられて。亡き夫と紡いだパンを届ける

地域の温かさに支えられて。亡き夫と紡いだパンを届ける

多様な個性が活かされ、みんなが幸せに過ごせるような組織や地域を創りたい

多様な個性が活かされ、みんなが幸せに過ごせるような組織や地域を創りたい

「手間をかけたおいしい有機野菜を、求めている人に届けたい」夫婦で農薬・化学肥料不使用に取り組む

「手間をかけたおいしい有機野菜を、求めている人に届けたい」夫婦で農薬・化学肥料不使用に取り組む

対話から生まれるコミュニティづくり。人と人がつながる場所

対話から生まれるコミュニティづくり。人と人がつながる場所

自由に、自分らしく。心に寄り添うキャンドルの灯り

自由に、自分らしく。心に寄り添うキャンドルの灯り