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フードエバンジェリスト(食の伝道師)として秋田の食材の魅力を発信する

mielu 須藤美帆さん

秋田県産食材を中心としたお料理を提供する、店舗を持たない店「mielu」を主宰する須藤美帆さん。食材や調味料を求めて県内各地を訪れ、生産者とも積極的につながりを持っています。料理を通じておいしさを知ってもらい、食材の調理の仕方や入手方法についても発信しています。須藤さんの活動は料理研究家の枠を超えており、「フードエバンジェリスト=食の伝道師」を自ら名乗って秋田の魅力を広めています。

自分がおいしいと思うものを広めたい

─「mielu」とはどんなお店でしょうか。

須藤  飲食店を間借りしたり、シェアキッチンを利用したりして年6回ほどのペースで「mielu」を開いてきました。mieluはフランス語の「はちみつ(miel)」から。料理の素材が「見える」という意味も込めています。メニューはコース料理で8品ほど。併せてテイクアウも行っています。私がおいしいと思った秋田県産の旬の食材を主に使っています。心掛けているのは食材そのものの良さを生かし、調味料が強くならない味付け。自信を持ってお勧めできる食材を自分で集めていることと、平日は仕事をしているので年6回の開催にしています。

(「mielu」を以前開いたシェアキッチン)

─「フードエバンジェリスト」は須藤さんの造語だそうですね。

須藤  料理を通して、おいしいと感じるだけでなくその先まで関心を持ってもらいたいと思っています。「mielu」では料理をお出しする際に、食材や調味料のほか生産者の思いまで詳しくお話ししています。お皿に載っているものは食材から調味料まで、すべてがおススメなんです。おいしさに感動したら、おうちでも作ってみたいとか野菜を買いに行ってみたいなどと興味が広がるのではないでしょうか。広く伝えたいという思いから「フードエバンジェリスト(食の伝道師)」の造語を思い付き、商標登録もした上で名乗るようになりました。

(「魅力ある食材をたくさんの人に広めたいという思いを込めて、フードエバンジェリストと名乗っています」と須藤さん)

日々の記録が店を開くきっかけに

─SNSにアップされている日々の食卓が本当においしそうで、どんなお味なのだろうと想像しています。お店を開くまでの経緯を聞かせてください。

須藤 5年ほど前にインスタグラムにわが家のごはんの投稿を始めました。初めは単純に記録のためでした。週末に食材探しに県内を回っていて、旬の野菜を買い求めた忘備録にもしていたんです。確かに、食卓がおいしく見えるように撮影には気を遣っていました。1年ほど継続していると徐々に閲覧者が増えて、「どこにいけば食べられますか?」「デリバリーできませんか」といった問い合わせが寄せられるようになったのです。

「まずはイベントとして始めてみては?」と、友人に背中を押してもらったのがきっかけです。知人の紹介で2022年に初めて、トモスカフェ(男鹿市)で予約制のアラカルト料理をお出ししました。その後、自然食品店やシェアキッチンの「亀の町アップトゥーユー(現在は閉店)」などで開催しています。

(お酒をペアリングした日々の食卓が、インスタグラムに掲載されています)

(「mielu」を始めた当初の一皿)

新鮮な野菜のおいしさに感動

─秋田の食材の魅力に目覚めたきっかけは。

須藤 夫との結婚を機に2002年、秋田市に移り住みました。驚いたのが、秋田の野菜がおいしいことでした。完熟ぎりぎりで収穫したトマトの濃厚な味、さっと塩ゆでしただけのアスパラガスのみずみずしさ、豊富な山菜! どれも感動して、パラダイスだと思ったほどです。食材との出合いを求めて、県内各地の産直や生産者のところへ足を運ぶようになりました。地元に住んでいる人には当たり前のことなので、ことさらおいしいと聞くことはありません。だからこそ食材のおいしさをあらためて感じて、もっと皆さんに知ってもらいたいと思っています。

(土づくりにこだわった伊藤農園のトマトと)

料理に自分らしさを込める

─飲食業の経験はなく、料理は独学だそうですね。

須藤 もともとおいしいもの好きで料理も好きでしたが、飲食店勤務などの経験はありません。東京都内で出版社に勤めていた時に、ランチに銀座などで食べ歩いた経験がベースになっていると思います。お客さまにお出ししているのは、私が自宅で作っている料理とほとんど変わりありません。それだけに素材が見えて、そのもののおいしさを生かした料理を心掛けています。切り方や厚み、どのくらい熱を入れるかなどにこだわっています。「素材の組み合わせが新しい」などと言っていただくことがうれしいですね。

(伝統野菜を使った「沼山大根のバーガー」。独特の苦みが魅力だそう。パーティーのケータリングも行っています)

(石橋ごぼうと美郷れんこんの春巻き)

─須藤さんが活動を通して伝えたいことは。

須藤 お店のランチョンマットに掲げている言葉が「琴線に触れるような一皿を!」。私がおいしいと思った体験を、広く伝えていきたいと思います。「おいしい」と感じてもらうことを大切にしていますが、さらに「このおいしさはどこからくるのか」「どんな人が作っているのか」まで思いを馳せてもらえればうれしいですね。丹精込めて食材を育てている生産者の方々を応援することにもなりますから。

(mieluのランチョンマット。周りには生産者の方々のロゴマークもあしらわれている)

普段のスーパーでの買い物でも、おいしいものを探してアンテナを張っています。週末など休みの日には、今でも秋田県内の産直施設や生産地を訪れるのが楽しみです。生産量や流通の関係で、伝統野菜や旬の野菜は手に入れる場所が限られていることが多いです。そうした情報も発信していきたいですね。

須藤さんのSNSには、「うちごはん」として日々の食事が魅力的にアップされています。ある日の献立はベニハルカ(さつまいも)のもち米焼売、ベニハルカのポタージュなど。お皿や盛り付けも素敵です。須藤さんが毎日の食事を大切にしていることが伝わってきます。お話を伺って「おいしいものを食べたい」という須藤さんの熱い思いと、心から活動を楽しんでいる姿が印象に残りました。

DATA

【須藤美帆さん】
横浜市出身、さいたま市で育つ。東京都内で出版社の営業職を経験。結婚を機に2002年、夫の出身地である秋田市へ。インスタグラムへの投稿を機にイベントで料理を提供するようになり、2023年に「mielu」をスタート。平日は仕事、休日をmieluの活動に充てている。夫と社会人の長女と秋田市在住。県外に大学生の長男がいる。

Instagram
※3月以降のmieluの開催日はinstagramをご参照ください。予約もinstagramのDMで受け付けています

キーワード

秋田県内エリア

Writer

FukudaNaoko

FukudaNaoko

2013年より、子育て世代向けにライター活動をしています。日本語や英語で絵本を読む「よみ語り」の活動も続けています。子育て環境、手仕事全般に興味があります。高校生、中学生の2児の母。

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