部屋にこもることの多い冬。みなさんのお部屋のインテリアは、居心地よくデザインされていますか?インテリアと聞くと、「家具や雑貨をいい感じに並べること」が頭に浮かびますよね。でも実は、建築の中で一番広い面積である壁の色を変えるだけで、お部屋の印象は大きく変わります。
二度の社会人学生と、子育て、介護を経験した佐々木亜紀さんが、2019年6月にオープンさせたお店Wall&D(ウォールアンドディー)。壁紙を使ったお部屋のコーディネト術のポイントを聞いてきました。
壁の色で、お部屋が変わる
秋田市南通のヤマキウ南倉庫に入居するWall&Dは、色と質感にこだわったインテリアペイントと輸入壁紙をメインに、カラーコーディネートから施工までを請け負います。新築、リフォーム問わず、一部屋だけのコーディネートもOK。「北向きの部屋と思えないくらい明るくなる!」「他の部屋も変えたい」と、暮らしを豊かにしてくれるスタイルが好評です。
おすすめはアクセントウォール。
壁の一部分だけ色や素材を変えて、お部屋にアクセントをつける方法です。家で一番多くの時間を過ごす部屋に取り入れれば、仕事から帰ってくるのが楽しみになるような「お気に入りの空間」をつくることができます。
「生活に美があることは心の安らぎにつながります」と佐々木さん。イギリスの思想家でありデザイナーでもあるウィリアム・モリスは、「家の中に美しいと思えるもの以外置いてはならない」と語りました。ショップでも多く扱うモリスの壁紙からは、生活と芸術を統一させようという考え方を受け取ることができます。
壁紙のほか、秋田ではWall&Dが唯一の代理店であるファローアンドボール社(イギリス)のペイントも。寝ている赤ちゃんの隣で塗っても安全な、においのほとんどない水性塗料。繊細なニュアンスが出せる美しい仕上がりが特徴です。
福祉施設やオフィスの壁装もおまかせ!
一般住宅のほか、オフィスや店舗の内装デザインも手掛けています。2020年12月に秋田市手形にオープンした、産後ケア・産前産後サポート施設「Growing up」の壁装コーディネートもその1つ。
産後の心身を休め、少しでも気持ちが和んでくれればと、美しい色とデザインを取り入れました。
「自分が子育てや介護を経験しているので、この空間を使う女性の気持ちに共感するポイントがたくさんあって。自分の経験が誰かのために役立ったら、こんな幸せなことはありません」。
美術、建築、子育て、介護…すべての経験を集結!
芸術が好きな親の影響で、昔から美術の世界が身近だった佐々木さん。美術館を巡るうちに建築に関心を持ち、嫁いだ先が塗料や仕上げ材の卸業だったこともあり、その周辺の勉強を続けていました。
千秋公園の平野政吉美術館(旧県立美術館)にも勤務し、当時館長であった平野誠さんに美意識の大切さを学びました。在職中に、玉川大学編入を経て学芸員の資格を取得。その道のりの最中、出産・育児、実の母の在宅介護が重なったと言います。
「育児や在宅介護をしていると、部屋の中にこもることになるので、インテリアに関心が向きました。片付ける余裕もなかったんですが、なんとか一部分だけを整え、往診の先生を引き留めて、お茶をお出しし、お喋りする。そんな時間に救われたんです」。
お母様を見送った後は、秋田建築デザイン専門学校に進学。2016年には、第30回秋田の住宅コンクールで最高賞である県知事賞を受賞しました。その時に審査員だった、建築家であり秋田公立美術大学教授の小杉栄次郎先生が事務所を構えるヤマキウ南倉庫への出店打診があった際は、ご縁とタイミングを感じ、起業に踏み出しました。
自身の興味と、これまでの経験すべてを集結させて形にしていく姿が、本当にかっこいい!
「秋田の北欧化」で暮らしを豊かに
佐々木さんは、寒さ厳しい長い冬を明るい気持ちで過ごせるよう、「色」と「デザイン」を上手に使う北欧の暮らしを、環境の似た秋田でも取り入れると良いと考えています。コンセプトは、秋田の北欧化!
その考えをよく表すのが、フィンランドのブランドマリメッコです。
デザインの力で生活を豊かにしたいという想いで起業したというマリメッコは、自然をモチーフとしたデザインで、春を待ち望む気持ちが強く表現されています。まさに、秋田の今の季節にぴったり!
コロナ禍で、多くの方が家で過ごす時間について改めて考えたこの1年。Wall&Dにも、「旅行にも行けないから内装を変えたい」という相談が増えました。
「まずはお部屋を片付けてからじゃなきゃ…」と思った方!片付く日はいつまで経っても来ないものです(笑)。逆に「この日に施工する」と決めてしまって、あとはその日まで必死に片付けるほうが良いかも!1日でも早く心地よい暮らし、お気に入りの空間を手に入れましょう。