新緑が美しい初夏の角館。観光地の中心から少し離れた静かな場所に佇む小さなカフェ「donopan(ドノパン)」は、2017年のオープン以来、多くの人々に愛され続けています。「今日はどんな料理に出会えるかな?」と楽しみに通う常連客も多く、訪れるたびに新しい発見があるお店です。

女性に愛される角館の隠れ家カフェ
店内は小さな空間ながらも、居心地が良くて、気がつくと長居してしまう不思議な魅力があります。一人でのんびり過ごす女性もいれば、友人同士でおしゃべりを楽しむ女性たちも。「お客さんは素敵な人が多いんです。人の話をしっかり聞ける方が多くて」と話す店主の鈴木さん。その言葉通り、店内にはどこかやさしい空気が漂っていて、初めて訪れても自然と肩の力が抜けるような雰囲気です。

「小さな物語」を紡ぐランチ
そんな居心地の良い空間で提供されるのは、鈴木さんが心を込めて作る手作りの料理たち。日によって変わる食材が、常連客たちの楽しみの一つです。
ミニコース仕立てのランチメニュー「大地のめぐみパンランチ 1800円」は、目にも鮮やかな前菜からスタート。取材当日は、ブロッコリーのゼリー寄せです。ブロッコリーの歯応えが程よく残り、優しい味わいが口の中に広がります。

さらに、鈴木さんが「小さな物語」と表現するように、色とりどりの前菜が登場します。じゃがいもケークサクレ、そら豆&ブロッコリー、米粉のクリームコロッケ、オムレツ、にんじんラペがガラスの葉っぱのような美しいお皿に丁寧に配置され、物語を紡いでいるかのようです。

メインには、ほうれん草ベーグル くるま麩あげ・みつあみパンが添えられ、ガスパチョスープも付いて、まさに一皿の中に小さな街が広がっているような美しさ。ピリッと辛いガスパチョスープは、見た目も鮮やかで素敵な彩りを添えていました。

どの料理も地元で採れた新鮮な野菜がふんだんに使われており、素材の味を活かした優しい味付けが印象的です。夏には、有機醤油や有機レモン、青山椒を使用した冷やし中華、せいろ蒸し、葉山椒パスタなど季節感溢れるメニューが登場。エディブルフラワーの春巻きやオードブルなども事前予約で味わえます。

デザートにはカタラーナやバスクチーズケーキ、ドリンクはオーガニックコーヒーやマサラチャイ、スムージーまで幅広いラインナップです。

自然体な想いから生まれる美味しさを全国へ
「特別なこだわりがあるわけじゃなくて、遠くから取り寄せるより、近い方がいいだけなんです」と笑う鈴木さん。「秋田は美味しい野菜が手に入る環境が本当に良くて」と話す通り、この自然体な考え方が結果的に新鮮で美味しい食材を手に入れることにつながっています。


鈴木さんには、「いずれは全国で料理教室を開催する」という夢があり、その実現に向けて県内各地でパン教室や季節に合わせたワークショップを開きながら経験を積んでいるそうです。たとえば夏には豆板醤づくり、ほかにも旬の食材を使った内容など、毎回テーマを変えて開催される教室は、学びの場であると同時に、参加者同士の交流の場にもなっています。「今は夢の実現に向けての準備期間」と話す鈴木さんと共に、donopanもこれからもさらなる進化が期待されます。

鈴木さんの自然体な姿勢こそが、お客さんを惹きつける魅力なのだと感じます。料理一つひとつに込められた優しさと、「いずれは全国で料理教室を」という夢への真摯な取り組み。食事を通じて人と人をつなぐ温かなカフェにぜひ足を運んでみてください。
※価格は全て税込です。