秋田市保戸野通町にある赤い窓枠の「秋田良品市庭ごえん」をご存じですか?デザイン会社を営む時田和幸さんが「仕事の傍ら出会う作り手たちに何か出来ることはないか?」と考え、約5年前にオープン。秋田の工芸作家やハンドメイド作家、秋田の工業製品や食品などを応援している地元愛溢れるお店です。
作家のストーリーを伝える店
秋田にゆかりのあるモノがところ狭しと並ぶ店内。「売るために置いているというよりは、作品の背景を感じてもらうために店を構えています」と時田さん。「モノは安ければいいという発想では、秋田に作り手がいなくなってしまう。だから足を運んでくださった方には作品が生まれたストーリーを伝えています。作り手の想いや創意工夫を知ると高くても買いたいと思うし、大事に使おうという気持ちにもなりますよね。そんな出会い方が一番幸せだと思う。作り手はもちろん使い手も、モノにとっても」
「お客さんからの感想も必ず作り手に伝えています。そこから生まれるものもあるので。お客さんと作り手の橋渡し役をしながら作品作りの工程に関わることもしばしば。どうやったらよくなるか、どうやったら喜ばれるのか。お客さんの声を届けて意見を出し合って、さらに何が生まれるか?というのが楽しいんです」と、時田さん。
「人が集う場」として、店舗を格安で提供
この店舗は、1日=1.500円でレンタルスペースとしても提供されています。第一水曜日は「占いデー」、第三木曜日は「リフレッシュデー」、第三金曜日は「ハンドメイドデー」等、様々な年代の団体が利用しています。
「(理由は)広い定義で考えると人が繋がることもデザインだと思うから。人と人が出会うと化学反応が生まれます。すると可能性が広がり、秋田で生きる人の考え方が新しくなる。少しでも地元秋田を変える力になる。もちろん、普段は訪れない客層の方がワークショップに足を運び、工芸品や秋田の作家さんの存在を知って帰っていただくことも願いの一つです」
企画展も毎月開催
店の奥のスペースでは月替わりで秋田の作家の企画展も開催しています。2月は秋田市雄和の瑠璃窯(作家:安藤るり子)さんの作品を展示し大好評!(2月27日までなのでお早めに)。3月からは冨岡商店さんの樺細工が並びます。
石臼珈琲体験も常設!
石臼で珈琲豆をひいて試飲できるコーナーもあります。石臼を体験してもらうことはもちろん、お店が作家さんから買い取ったコーヒーカップをお客様に提供しているので、使い勝手を味わうことも可能です。
「あきた産ぽ」と題し、秋田県の六次産業の応援がスタート!
ごえんの新たな挑戦として農産物や加工食品の取り扱いを始めました。これまでは工芸品や工業製品などがメインでしたが、コロナ禍の中で届け先を失ったモノづくりの人を応援しようと間口を広げました。「農家さんや販売者さんたちに出会って心意気を感じたら可能な範囲でお手伝いしたいと思っています。作り手の気持ちが伝わってお客さんの生活に彩りが加わり、心を豊かにできたなら本当に嬉しいです」と、時田さん。
大潟村の藤村さんが作った「あずき玄米粥」、象潟町「ヤマチョウ」さんの農薬、除草剤、肥料不使用のお米や、男鹿の真山の「クロモジ茶」、湯沢のトマト農家・小原さんの「ミスターKのフライソース」、八峰町の農家民宿花みずきのおかず味噌「はっちゃがる~」などラインナップ。これから春まで自然な出会いに任せて商品を増やしていく予定です。
やりたいことがある人に協力は惜しまない!
「自分も起業する時に色んな人に背中押してもらって今がある。かつて自分が人からしてもらったことを誰かに還したい。出会った人の話を聞き、可能性を探り、情報を提供し、背中を押したいと思っています」
そんな「ごえん」には、ひっきりなしに人が訪れています。