海岸に流れ着くプラスチックごみ(海洋プラスチック)を、美しいアクセサリーへと生まれ変わらせるブランドがあります。それが、アップサイクルアクセサリーブランド「yuragi(ゆらぎ)」です。制作者の小田原美幸さんの活動と、アクセサリーに込められた意味をご紹介します。

きっかけは地元の自然への愛
以前から自然や植物が好きで、地球にやさしい生活に関心を持っていたという小田原さん。にかほ市で、ジオパークガイドとして地元の自然豊かな名所を案内する活動をしています。なかでも、美しい海岸に沈む夕日が大好きですが、足元にプラスチックごみが散乱している現実に悲しい思いをしていたそうです。「自分にできるコトって何だろう?」と問いかけて出てきた答えが、「アップサイクルアクセサリー」でした。

アップサイクルとは、廃棄される予定のものや不用物にデザインや機能性などの付加価値を与え、元の製品よりも価値の高い物として生まれ変わらせること。流れ着いた貝殻や流木はいずれ自然に還るけれど、プラスチックは自然に還ることなく残り続ける。この事実を目の当たりにした小田原さんは、海洋プラスチックを使ったアップサイクルアクセサリーの制作を始めました。yuragiのアクセサリーはまさに、海の漂着物を魅力的なアクセサリーに再生しています。

yuragiのアクセサリーができるまで
海洋プラスチックがアクセサリーに生まれ変わる工程は、
1.粉砕したプラスチックをクッキングシードなどで挟み、アイロンをして丁寧に溶かす。
2.型に入れたプラスチックを切り出したり、ハサミなどで形作ったりして、整える。
3.レジンでコーティング。立体感を出すために理想に近づくよう何度も塗り重ねる。
こうした手順を経て、漂着物だったとは思えないほどの透明感と深みのあるアクセサリーが完成します。
単に不要物を再利用するだけでなく、放っておいたら海岸に残り続ける海洋プラスチックに手を加え、価値のあるものへと変貌させる。この過程こそが小田原さんが見出したアップサイクルの意義でした。



「自分が好き」を貫く、自信を持てる作品
yuragiの作品には、「自分が好きなものを作りたい」という、作者のこだわりが込められています。制作技術をオンラインで学び、約1年前から販売を開始したyuragiのアクセサリー。各地のマルシェにも積極的に出展し、ワークショップなども開催しています。「自分の想いや活動を理解してくれる人に届くと嬉しい」と、制作意欲が増すそうです。


できること、やりたいことは広がっていく
yuragiの制作者、小田原さんは不定期でビーチクリーンやワークショップを開催しています。また、2025年11月、作家仲間の作品とともに、ニューヨークでもyuragiのアクセサリーが展示され、活動の幅は広がるばかりです。
環境への優しさと、ファッションとしての美しさを両立させたyuragiのアクセサリー。それは、ゴミで終わっていたものに輝きを与え、私たちに持続可能な美しさを教えてくれます。


※現在、yuragiのアクセサリーは、ハンドメイドサイトCreema、またはInstagramのDMから直接購入が可能です。
漂着物から生まれたとは思えないほど透明感にあふれ、美しく輝くyuragiのアクセサリー。その背景を知ると、環境のことやアップサイクルの意味、そしてその価値ある活動についてもっと知りたくなりました。yuragiのアクセサリーを身につけて、地球環境を想う小田原さんの温かい気持ちと、海の物語を感じてみませんか?
