捨てられるはずだった素材が、暮らしに寄り添うバッグへ。横手市で約50年にわたり、自動車用シートカバーの製造を手がけてきた企業が、培った縫製技術でアップサイクルに挑戦。その製品の魅力を伝える場として、秋田ふるさと村に、新たな販売拠点となる「工房NuiTec(ヌイテック)」をオープンしました。

自動車用シートカバー製造から始まったものづくり
工房を運営するのは、1976年から横手市(旧大森町)で自動車用シートカバーの製造を続けてきた「株式会社Nui Tec Corporation」。長年の製造過程で使われてきたのは、擦れや摩耗に強い高品質な素材。ただ、裁断の際にはどうしても端材が生じてしまいます。その多くは活用されることなく廃棄。こうした状況の中で、この素材を別の形で生かせないかと考えたことが、バッグづくりへの挑戦の始まりでした。

その挑戦の第一歩として選んだのが、トートバッグでした。製品を展開するブランド名は「N.generate(エヌ・ジェネレート)」。生み出す、創り出すという意味を持つ言葉で、従業員一人ひとりが持つ技術から、新たな価値を生み出したいという想いが込められています。長く使い続けられる確かな品質と、シンプルで飽きのこないデザイン。職人の技術が、形となって表れた取り組みです。

一貫したものづくりが生む、確かな品質
企画から裁断、縫製、販売まで。N.generateのバッグづくりは、社内で一貫して行われています。各部署から選ばれた約6名の社員がチームを組み、工程ごとに連携しながら、ひとつひとつ丁寧に製品を形にしてきました。女性スタッフが多く関わっているのも、この取り組みの特徴です。現在は2名ほどが製作を担当し、自動車用シートを縫製してきた工業用ミシンで、一針一針丁寧にバックを作り上げているそうです。

端材だからこそ。一つひとつ違う表情
店舗には、サイズ違いのトートバッグがずらり。色の切り替え位置やポケットの配置がそれぞれ異なり、同じものは二つとありません。手に取ると、しっかりした素材感からは想像できないほど軽く、持ち手も手になじみます。使い込むほどに素材がやわらかくなり、表情が変わっていくのも魅力のひとつ。経年の変化を楽しみながら、気負わず使えるバッグです。

シンプルで飽きのこないデザインは、性別や年齢を問わず使いやすく、自分用にはもちろん、大切な人への贈り物にもおすすめ。SNSを見て来店される方や、車好きのご主人が奥様へのプレゼントに選ばれることもあるそうです。

バッグをきっかけに、会社を知ってほしい
2025年8月のオープン以降、SNSやテレビ、新聞などを通じて少しずつ認知が広がり、工房を訪れる人も増えてきました。バッグをきっかけに、背景にある企業やものづくりへと関心が広がっています。

そんな中で大切にしているのは、バッグの向こう側にあるストーリーを伝えることです。この場所を拠点に、秋田にこうした技術を持つ企業があることを、より多くの人に知ってもらいたい。メイドイン横手のものづくりは、これからも変わらず丁寧に続いていきます。


真面目で温かく、実直なものづくりが、N.generateのバッグ一つひとつに表れています。捨てられるはずだった端材が、暮らしの中で使い続けたくなるバッグへ。その背景には、横手で技術を守り続けてきた企業の歩みがあります。秋田ふるさと村を訪れた際には、工房NuiTecに立ち寄ってみてください。
