潟上市のJR出戸浜駅近くに2021年1月、イチゴの観光農園がオープンしました。「フルーツパークDETO(デト)」では、イチゴの摘み取り体験ができます。早春の秋田は時折寒い日もありますが、農業ハウスの中は上着のいらない温かさ。温かいハウスで食べごろを迎えた完熟のイチゴを味わってみませんか?
栽培棚からたくさんのイチゴが
訪れた日は晴天だったこともあり、800平方メートルという大きな農業ハウスの中は約28度という真夏並みの室温でした。とても上着姿ではいられません。奥行き50メートルほどもあるイチゴの栽培棚が何列もずらりと並ぶ様子には「うわあ、これぜんぶイチゴ!?」と圧倒されました。隙間なく植えられた苗からいくつもの茎が延び、真っ赤なイチゴが実っています。
栽培されている品種は「よつぼし」「章姫(あきひめ)」「紅ほっぺ」「かおり野」の4種。秋田県のような寒冷地で、日照時間が短いという条件でも栽培できる品種を選んでいるそうです。
感染対策に気を配った摘み取り方法
人気の摘み取り体験は、新型コロナウイルス対策を取って行われています。収穫したイチゴをそのまま頬張りたいところですが、そこはガマン。完全予約制でハウスに入る人数を制限した上で、マスク着用や消毒を徹底。イチゴに直接触れる方の手には手袋をはめ、食べる分のイチゴをお皿に収穫して、ハウス内に設けられた飲食スペースで味わってもらう方式です。
香りも味も、採れたてのものは格別
摘み取りを体験させてもらいました。教えてもらった通り、人差し指と中指の間にイチゴのヘタを掛けてひねりながら引くと、果実を傷めずに収穫できます。県内でほとんど出回らないという「よつぼし」は、甘さと酸味がはっきりした味。オレンジかかった色が特徴の「かおり野」は、名前の通りさわやかな香りです。酸味の抑えられた「章姫」は特にお子さんに人気だそう。自分で見つけて収穫したイチゴの味は、どれも格別でした。
イチゴの摘み取り体験は4月いっぱいまでを予定しているそうです。
フルーツパークDETOでは、農園管理者の佐々木勇太さんをはじめスタッフの多くが20代。フルーツパークを開設した会社、秋田食産(美郷町)が「若い人たちに農業に参入してもらいたい」という方針で、若手を積極的に採用しているとのこと。勘や経験に頼らない農業を目指して、ハウスの温度管理や水やりはすべて自動化されています。これまで農業体験のなかった佐々木さんですが、専門家の指導を受けながらイチゴ栽培に取り組んでいます。「自分が設定した温度で栽培環境が変化し、それにしたがってイチゴの味も変わるのが分かるようになりました」と、手ごたえを感じているのがうかがえました。
フルーツパークDETOは、旬の味に触れることができる貴重な場所となっています。ハウスのほかにも敷地があるため、イチゴのシーズンが終わってからの企画を現在あたためているそうです。佐々木さんたちがどんなアイデアを見せてくれるのか、今後も見逃せません!