2006年に惜しまれながら閉業した歴史ある老舗宿が、男鹿観光の新しい拠点として再スタートを切りました。1934年の創業から70年以上の間、男鹿を訪れる旅人たちに愛された男鹿駅前の森長(もりちょう)旅館は、本館・離れ・土蔵の3棟すべてが国の有形文化財に登録されている貴重な建造物。その価値を生かして再生を手がけたのは、ヤマキウ南倉庫や男鹿駅前広場を運営する秋田市のデザイン会社(株)SeeVisions(シービジョンズ)です。4カ月間のプレオープン期間を経て、2025年4月1日、いよいよグランドオープンを迎えました。

老舗の面影が残る、風情あふれる館内
天井や梁など、残せるところはそのままにリノベーションを施した館内は、かつて港町として栄えた男鹿船川を支えた老舗ならではの風格を漂わせています。建物だけでなく、蔵から出てきた古い家具や日用品などの多くを、清掃や修繕、リメイクをして活用。桐箪笥や食器など、当時を知る一つひとつのアイテムが、かつての旅館の日常と女中たちの暮らしを想像させてくれます。


蔵一棟をまるごとサウナに!
この旅館の一番の目玉は、有形文化財の蔵を一棟まるごと活用したサウナ。青森ヒバの清涼な香りに包まれ、日常を忘れて“ととのう”ひとときを楽しめます。
スタッフには、日本サウナ熱波アウフグース協会が認定する熱波師の資格を持つ人も。タイミングが合えば、極上のアウフグース体験も堪能できます。サウナーはもちろん、「せっかくだから…」と、初めてのサウナを体験していく宿泊客も多いのだとか。


蔵サウナに加えて本館にもサウナがあり、一日ごとの男女入れ替え制になっています。また、シャワールームや貸切ユニットバスも完備されているので、サウナを利用しない人も快適に宿泊可能。ReFaのシャワーヘッドを導入しているのも、女性にとって嬉しいポイントです!
ゆったりと時間が流れる客室
改築前の間取りを生かした客室は、一室ごとに構造が違うのも魅力のひとつ。どの部屋にも上品な風情が漂い、ゆっくりと自分の時間を楽しむことができます。




森長旅館を拠点に、まちの人との交流を
「男鹿のまちに出て食事をし、住民との交流を楽しんでほしい」という想いから、主軸は素泊まりプラン。旅館スタッフに相談すれば、近隣の飲食店や立ち寄りスポットを丁寧に紹介してくれるので、この機会に男鹿のまちをとことん楽しみたいところ!
「ぜひ気軽にスタッフに何でも聞いてほしい」と話すのは、(株)SeeVisions 男鹿駅前広場運営担当の今村安里さん。男鹿に移住して6年、ナマハゲ伝導士や公認ジオパークガイドの資格も持っているのだそう!

旅館での食事を希望する宿泊客には、オプションで対応しています。朝食(+2,200円)は、さまざまな地元の味を取り入れた和御膳や、パン、玄米グラノーラなどを用意。夕食(+7,700円)は、提携する近隣の飲食店に宿泊客向けの御膳を依頼しています。


本物のなまはげが訪れる宿
そして、男鹿といえばやっぱりなまはげ!プレオープン期間中だった昨年の大晦日には、お隣・元浜町のなまはげに依頼し、練り歩きの最後に森長旅館を訪れてもらったそうです。もちろん、宿泊客たちは大盛り上がり!今後は本当のなまはげ行事を伝える場としての役割も担っていけたらと、月1回程度のペースでなまはげ実演プランを企画中とのこと。


「男鹿に来た人は全員ここに泊まっていってほしい!」と思うほど、歴史情緒あふれる素敵な宿でした。男鹿駅前にはカフェやセレクトショップ、道の駅など、徒歩で観光できるスポットが点在していて、地元の人たちが親しみたっぷりの笑顔で迎えてくれます。再生した森長旅館を拠点に、ぜひまちあるきを楽しんでみてくださいね!
※価格はすべて税込です。