東北各地からバンドが集結

　東北で初開催の「東北 Steel Panフェスティバル 2025（以下、東北パンフェス）」が、６月22日に秋田市で開かれます。東北各地からスティールパンのバンドや演奏者が集まり、多彩な演奏を繰り広げます。さらに、秋田の美味しいものを提供するキッチンカーも集合。トリニダード・トバゴ発祥のスティールパンから生まれる心地よい音楽に浸り、美味しいものを食べて飲んで過ごす一日になりそうです。

　スティールパンは南米のカリブ海にある島国、トリニダード・トバゴ共和国が発祥の打楽器です。もともとは大きなドラム缶から作られており、ドラム缶を輪切りにして表面を叩いて音程を作ったものです。キラキラとしていながらどことなく哀愁のある独特の音色が魅力です。

　

東北パンフェスは、秋田のスティールパンバンド「ぱんだらけ」を率いる心庭しぃ（ここにわ・しぃ）さんが企画しました。しぃさんは2012年に県内初となる「ぱんだらけ」を結成。県内を中心にスティールパンの音色と音楽の楽しさを広める活動をしてきました。東北パンフェスを主催する、東北 Steel Pan Garden 実行委員会の委員長を務めています。「東北にはこんなすてきなスティールパンバンドがあることを、秋田の人たちにも知ってもらいたい！」と思い、各地のバンドに声を掛けたそうです。

　当日は会場の千秋公園二の丸に、秋田からぱんだらけ、PaNoN（ぱのん）をはじめ東北の５バンドが集結します。このほかゲストバンドとして埼玉からWAIWAI STEEL BANDの演奏も。おもてなしライブとして、お坊さんでもありミュージシャンとしても活動する英心さんのライブが予定されています。英心さんはぱんだらけのメンバーでもあります。ライブの最後は、出演者約40人全員による「東北 Steel Pan オーケストラ」の大合奏で締めくくります。

　「PaNoN（パノン）」は、ぱんだらけの姉妹バンド。2024年に新メンバーが加わり、東北パンフェスに臨みます。

　岩手の「ひこうせき」はスティールパン（Double Tenor Pan）とギター、ベース、カホンの４人編成のバンドです。

　「Pan Cherrish（パン・チェリッシュ）」は山形、宮城両県からスティールパン愛好家が集まり2018年に結成。山形、宮城のほか各地のイベントで演奏を披露しています。

　福島の「STEEL BAND MISOLA（スティールバンド・ミソラ）」のバンド名は往年の大歌手・美空ひばりから。ひばりさんの歌のように愛される、日本の歌曲をレパートリーにしています。

　埼玉の　「WAIWAI STEEL BAND（ワイワイ・スティールバンド）」はスティールパン奏者の伊藤陽一さんが2008年に結成。秋田でもこれまでコンサートや「PaNoN」との共演があり、聴いたことがある方もいるかもしれません。

　千秋公園二の丸の広場中央に、大きなテントのステージを設置。周囲を出店が取り囲む形になるそうです。来場者はテントの周りに座って演奏を楽しみます。出演者との距離が近く、きっと生演奏の迫力を感じられることでしょう。それから、いい音楽に欠かせないのは美味しいフード。秋田の美味しいものを提供するフードトラックや出店もお楽しみに。スティールパンの発祥地、トリニダード・トバゴの料理も特別に登場する予定です。

「バンドの特色を生かした演奏をしてもらう予定で、いろいろな演奏を聴き比べることができます」としぃさんは話します。出演者にとってもお互いの演奏を聴き合う貴重な場になるといいます。「スティールパンは楽器としての独特の音色や表現が大きな魅力。さらに、私はこの楽器と出会うことでたくさんの人とつながり自分の世界を広げるきっかけになりました。みなさんにもスティールパンの魅力を存分に味わってもらいたいです」と期待を寄せています。

スティールパンの音色を聴いて思いうかべるのは、真っ青な空とビーチでしょうか。トロピカルな音色を秋田で存分に楽しめるまたとない機会になりそうです。心庭しぃさんにお話を伺うなかで、スティールパンの生まれた経緯や歴史についても知ることができました。いい音楽とおいしいものが満載の東北パンフェスに、ぜひ足を運んでみてください！