「誰にも言えなかったことを、ここでは話していいんです。」そう語るのは、秋田市牛島にある、妊活・温活・よもぎ蒸しサロン「つばき」のセラピスト、三浦あすみさん。2024年秋に自宅の一室を開放してサロンをオープンしました。現役の看護師で一児の母でもある三浦さんも、妊活経験者。その大変さを知るからこそ、妊活中の女性に寄り添いたいと日々奮闘しています。

救ってくれた「妊活サロン」を自分の手で
三浦さんが自己流で妊活を始めたのは今から数年前のこと。なかなか妊娠には至らず、不妊治療に踏み切りましたが、それでも結果の出ない日々が続きました。妊活中であることを周囲には言えず、同僚や後輩が妊娠・出産・復帰していく姿に焦りを感じる毎日でした。でも、諦めかけた頃に妊娠し、今では2歳の娘をもつお母さんになりました。妊娠までの間に大きな支えとなったのは当時通っていた妊活サロンだったと三浦さんは話します。その後、そのサロンが閉店することになり、「このままでは妊活中の人が悩みを吐き出せる場所がなくなってしまう」と危惧した三浦さんは「だったら自分が開こう!」と、サロンオープンにむけて勉強を始めたそうです。

ていねいなカウンセリングで自分にあったメニューを
つばきは1日2組限定のサロン。アンケートに記入してからその日の施術に入ります。アンケートは食生活や睡眠などの生活習慣から、妊活や不妊治療の段階に関することまで、記入してもらいます。サロンの客層は20代~40代の妊活中の人がほとんどですが、なかには「いずれ子どもが欲しいので、その時のために体を整えたい」と通う未婚の人もいるそう。様々な人が通うからこそ、どんなアドバイスが適切か見極めるために細かく知ることも大切だと、三浦さんは話します。

この日、筆者はよもぎ蒸しを体験。よもぎ蒸し用のマントの下にガーゼ素材のガウンを着るのがつばき流です。ガーゼが程よく汗を吸ってくれて、やわらかな肌触りが気持ちよく、細やかな心遣いが嬉しく感じました。よもぎ蒸しの間に、ミネラルウォーターや自家製発酵ドリンクをいただきます。ショウガやリンゴ、キウイなど複数ある発酵ドリンクは、その人の好みや体調に合わせて選ぶそう。30分ほど蒸されるとじんわりと汗が出ますが、さらっとした汗で不快感はありませんでした。


よもぎ蒸し(4,800円)だけの施術も可能ですが、妊活を真剣に考える人には腸もみや骨盤調整など他のメニューとの組み合わせや、カウンセリングや詳しいアドバイスがついたコースがおすすめとのこと。
≪メニューの一部≫
よもぎ蒸し+腸もみ…9,000円
よもぎ蒸し+骨盤調整…9,500円
子宮ケアコース…12,000円
カラダととのう全身ケアコース…12,000円


会話が心を軽くする。セラピストのもう一つの役割
「人見知りとは真逆にいる」と自分を分析する三浦さんですが、まさにその通り。臆することなく話題を投げかけてきます。時には「夫婦生活のタイミング、困ってませんか?」と、直球の質問もあえてするそう。「答えにくく感じる質問こそ、明るく聞くことで相手が話しやすくなることもあると思っています。だって、みんなそういうことで悩んでいるからこそサロンに来るんだから」と三浦さん。ただ、そういった話の時は、対面で座らないようにする、ある程度の距離を保つなど、相手を気遣う姿勢も忘れません。

ふだんの頑張りを認めてあげる場所
三浦さんがセラピストとして大切にしているのは「認める」こと。
「妊活中の女性って自己肯定感が低い人が結構多くて。頑張っているのに望む結果にまだ届いていないという事実がそうさせるんだと思います」と話します。続けて、「妊活中の女性は、すでに“良いお母さん”の素質があると思うんです。だって、食事や体温管理、生活習慣に気をつかえる。それって、子どもが生まれてからもすごく大事なことだと思うんです」と三浦さん。周囲には言いづらくストレスを抱えることも多い妊活。つばきは、不安に寄り添って力強く背中を押してくれる、頼もしい存在です。

人と関わるのが大好きだという三浦さん。施術中もおしゃべりが続きます。話題を投げかけつつ、じっくりと耳を傾け親身に応える三浦さんの大きな瞳からは、妊活サポートへの熱意と相手への愛情が伝わってきます。自身の経験があるからこそ、あたたかく、優しく寄り添えるのだろうと感じました。
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