日本海に面し、鳥海山のふもとという絶好のロケーションにたたずむ、真っ白なゲル(モンゴルの遊牧民の移動式住宅)。2021年5月にオープンした「象潟モンゴルヴィレッジ バイガル」は、気軽に非日常と旅気分を味わえる人気スポットになっています。
エアコンなど完備で快適
象潟海水浴場キャンプ場に隣接するところに「バイガル」はあります。4人用のゲル10棟が設置されているのは、海岸に面したやや小高い場所。通常より低い木のドアを開け、体をかがめて中に入ると、異国情緒たっぷりの空間が広がります。赤い模様に塗られた天井の骨組みを格子状の壁が支え、同じ色で塗られたベッドと家具が置かれています。エアコンや冷蔵庫完備でホテル同様の設備があり、快適に過ごすことができます。窓がないのですが、直径6メートルほどの室内は広く、中央に向かって天井が高くなっているせいか窮屈な感じはしませんでした。
ゲル内は火気の使用ができないため、食事は隣接するゲストハウスで提供しています。海岸に面したガラス張りの空間でいただくのは、県産の食材をふんだんに使った焼肉や海鮮料理。希望すると、屋外でのBBQも可能です(有料の貸し出しコンロあり)。トイレとシャワーはゲルにないため(すぐ近くに仮設トイレがあります)、ゲストハウスでの利用となります。
ゲルに泊まるという異文化体験に加えて、「バイガル」での過ごし方はさまざま。目の前が海岸なので海水浴はもちろん、シーカヤックの貸し出しがありアクティビティを楽しめます。週末の土曜日に宿泊すると、系列のたつみ寛洋ホテルと金浦温泉・学校の栖(すみか)への無料シャトルバスがあり天然温泉も利用できます。お天気がよければ、日本海に沈む夕陽をゆっくり眺めるのも特別な体験になるでしょう。
子どもも大人も楽しめるスポットとして人気上昇中!
5月のオープン以来、大々的な宣伝はしなかったそうですが、テレビ・新聞などメディアに取り上げられるなどして県内での知名度は上がっています。「30~40代の、小さいお子さんのいるご家族連れのご利用が多いです。子どもも大人も楽しめて、いつもと違う非日常体験ができるところが喜ばれているのではないでしょうか」と、バイガルを運営するたつみ企画の佐々木啓さん。近ごろ人気のキャンプとはまた違って、テント設営など面倒な準備の必要がなく、快適な施設やサポートが整っているところも魅力です。
モンゴルの文化に興味をもってほしい
それにしても、なぜ象潟にモンゴルのゲルなのでしょうか? 実は、バイガルのほか温泉、ホテルなどの関連施設を運営するたつみ企画(にかほ市)の社長を務める高橋センさんがモンゴルのご出身。「遊牧民の住まいであるゲルを通して自分たちの文化に触れてほしい、という社長の思いからゲル設置のアイディアが生まれました」と佐々木さんは説明してくれました。
イベントなどで海外の文化に触れる機会はありますが、「バイガル」のような常設の施設は県内では珍しいのではないでしょうか。ゆくゆくはモンゴルと秋田の人々の交流拠点に、という将来の展望もあるそうです。県内にある「海外」を体験してみてください。今年の営業は10月までを予定しています。