みなさんはカフェやレストランの玄関先で、黒板に描かれた可愛い看板を見たことはありますか?思わず目を奪われてしまうあの看板は、チョークアートと呼ばれるもの。今回は、チョークアートのデザインから製作までを請け負う、チョークアート看板屋CHALK SIGN(チョークサイン)の藤井優衣子(ふじいゆいこ)さんに、その魅力を教えてもらいました。
チョークアートは、お店に目を惹きつけるための看板
「アート」とついているので芸術作品と誤解されがちですが、藤井さんが取り組んでいるチョークアートは、イギリスで黒板にメニュー文字を描いたのが始まりとされる看板のこと。お客さんの目を惹きつけるために、イラストも文字も遠くから目立つようデザインされています。
チョークアートはオーストラリアで発達してどんどんカラフルになり、看板としてより目立つよう、チョークからオイルパステルが使われるようになっていきました。発色が良く、オイルが入っているのでクレヨンに近い滑らかな描き心地の画材です。一度描いたら消せないので、看板は一発描き!
さらに驚きなのは、実は黒板から制作していること。クライアントの要望に合わせたサイズの板を準備し、専用の塗料をローラーで塗り重ねて黒板を作ります。既製品の黒板にはオイルパステルがうまく乗らないので、一番ベストな状態で看板を提供するには黒板から手作りするのが一番。
あのお店にも、このお店にも藤井さんの看板が!
藤井さんがチョークアートに興味を持ったのは、日本ではじめてのチョークアート専門の看板屋がテレビ番組で紹介されているのを観たのがきっかけ。「かっこいい!私も看板屋さんになりたい!」と独学でチョークアートを学び、6年前に三種町の「農園りすとらんて herberry」でメニューボードを描いたのが初めてのお仕事でした。今では秋田県内を中心に、藤井さんの看板が多くのお店で使われています。みなさんも見たことがあるのでは?
秋田の街に合うようなデザインを心がけてるという藤井さん。パキッとしすぎて街の雰囲気から浮かないよう、でも、遠くから見て目立つインパクトある看板を作っています。イラストは見たまんまではなく美味しさが伝わるように描く、文字は読みやすく手描き感を残すなど、工夫しているそうです。
学生時代に絵を勉強していたわけではなく、現在も絵には関係ないところで勤めているという藤井さんに、どうしてこんなに絵が上手いの?と聞いてみると、「絵の技術は、これを仕事としてやっていくんだ!という気合いで上達してきました。私はアーティストではないので、休日に絵を描くことはしません。あくまで依頼してくださる方がいて、その要望に合ったデザインを提案・製作する看板屋さんなんです」と、職人さんらしいお答えが。かっこいい!
ワクワクする空間を、もっともっとつくりたい!
こちらは、2021年9月にオープンしたばかりの湯沢市にあるテイクアウト専門店「caf’e TWO GO」の看板。時計の針のような真ん中のデザインに、お客さんが購入した飲み物やクレープをかざして写真を撮影し、インスタグラムなどでアップして楽しんでいるそうです。お店の雰囲気も、ワイワイ盛り上がりそうですね。
「看板がお店に設置されてその場の雰囲気が良くなったり、ワクワクする人がいる空間を作れることが幸せ。もっと看板を作っていきたいです!」と藤井さん。手描きのぬくもり感ある可愛い看板が、秋田の街をもっとワクワクする空間に変えていくのが楽しみです♪
CHALK SIGNでは、「チョークアートを描いて家で飾りたい」「バイト先のチョークアートの看板を任された」など自分でも描いてみたい方向けに、チョークアート体験も随時受付中。子どもでも初心者でも大丈夫です。下記のホームページから詳細をぜひチェックしてみてくださいね。
取材会場:株式会社あきた総研「コワーキングスペースShare Dream Base」