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〈秋田市〉1本の糸から生まれる幸せ。「アキタコットンクラブ」で編み物の体験を。

かぎ針を手に、糸をかけてくぐらせるのを繰り返すことで1本の糸から丸や四角などさまざまな形が現れます。自分の手でいちからものをつくりあげる楽しさを味わってみませんか? 秋田市の「アキタコットンクラブ」では、初めての方にもかぎ針編みに親しめるワークショップが用意されています。自称編み物好きのライターも体験してきました。

(取材時は、季節に合わせてカボチャのきんちゃく袋がたくさんディスプレイされていました)

住宅街の小さなお店

千秋トンネルにほど近い住宅地の一角に、アキタコットンクラブはあります。お店には、店主の石川真由美さんが制作した帽子や巾着袋、ワークショップの見本作品などが飾られています。それと一緒に飾られているのが、もこもことした形がかわいらしい綿花。編み物や縫い物をきっかけに繊維産業について興味を持った石川さんが、自ら育てたものです。

(倉庫だったところをリフォームした店内。石川さんも内装の一部を手掛けたそう。店内奥に綿花が飾られています)

ワークショップを体験

「ぜひ、ワークショップをお願いしたいのですが…」とお伝えしたところ、これからの季節にぴったりのモチーフ編みを提案してもらいました。「ツリー」と「スター」です。用意してある糸から好みのものを選択。私は、数色あるオーガニックコットンの糸の中から、白にしました。このほか、風合いがあたたかいウール入りの毛糸などもあります。

(ワークショップで体験できる、フットカバーの見本。立体的なものも作れるのが編み物の魅力です)

スープジャーカバーやフットカバーなど、立体的な小物を数時間で仕上げるのは、かぎ針編みの「長編み」ができるくらいの経験がある方におすすめです。「かぎ針編みは初めて」という方向けには、予約不要の体験メニュー(500円)もありますので、道具の持ち方から基本を身に付けたり、しばらくぶりに勘を取り戻したりするためにはちょうどよいと思います。

(完成品は販売もしています。手前のスープジャーカバーは2200円)

やりやすい編み方で大丈夫

ワークショップの際、すぐに気づいたことがありました。糸の張り具合の調節に大切な、左手の糸のかけ方が石川さんのお手本と違う! 子どもの時に手ほどきを受けたきりで、本を見ながら独学で編んでいたためいつの間にか自己流になっていたようです。「編み方にもいろいろありますし、これが絶対正解ということもないので、編みやすいやり方で大丈夫ですよ」と石川さん。習ってみないと分からない、意外なクセでした。

(一段目が編めたところ。あらためて糸のかけ方から、丁寧に教えていただきました)

(体験するライター。お話ししながら編み物をするのは楽しいものです)

ワークショップで使っている編み図(編み方を記号化したもの)は、すべて石川さんのオリジナルです。編み物の本や動画もたくさん出ていますが、見ていると「こうした方がいいのでは?」「こっちのやり方の方が簡単で仕上がりもきれいなはず」と次々とアイディアが浮かぶそう。確かに石川さんの編み図は規則性があり、編みやすいと感じました。図に沿ってかぎ針を動かしていくと、手元に少しずつ形が現れるのが純粋に楽しい! 石川さんは「形になってかわいくできた、という楽しさを感じられるよう心掛けています」といい、「ワークショップが編み物を続けるきっかけになってほしい」と活動を続けています。

(先ほどの三角形は、ぐるぐると編んでツリーになりました。同じような方法でスターもできました!)

サイズや形は思いのまま

石川さんが編み針を初めて持ったのは、小学校に上がるか上がらないかの頃でした。母親の手ほどきで四角い「グラニー編み」を覚えて夢中になったそう。たくさん編んだモチーフを母親がつなげてクッションにし、飾ってくれたのがよい思い出です。石川さんにとって手仕事は常に身近にありました。小柄な体型に合わせて衣服も手づくりしています。「自分の思い描いた通りのサイズ、形にできるのが手づくりのいいところ」といいます。

(在店中、手が空いた時はずっと編んでいるという石川さん。かぎ針編みと布でできたかぎ針ケースが素敵です)

編み物は単純な動きの繰り返しですが、小物やウェアを仕上げるにはそれなりの時間がかかります。ものづくりには時間がかかる、ということもワークショップを通じて伝えたいことの一つです。

(人気の「矢留のコースター」550円。秋田の市章をヒントに試作を重ね、まん丸に仕上げました。こちらもワークショップでつくることができます)

 ワークショップでは、矢留のコースターのほかフットカバーや小物カバーなどをつくることができます。メニューは全て2500円で、材料の毛糸代(350円~)が別途かかります。また、必要に応じてかぎ針などの道具も販売しています。2名以上での予約で店内は貸し切りとなります。もちろん「1名での予約も大歓迎ですよ」とのことです。

環境に優しい材料を使用

わたしたちが身に付けるものは糸を編んだり織ったりしてできています。「ファストファッションなどが簡単に手に入る時代ですが、繊維製品が私たちの手元に来るまでには多くの手間がかかっている、そういうことにも思いを馳せて大切にしてもらえたらいいですね」。環境負荷のより軽いオーガニックコットンの糸を選ぶなど、材料選びにも気を配っています。

(ワンピースもお手製。ブローチはオーガニックコットン生地の端切れを利用してつくったものです)

(石川さんが育てた綿花。お店の前のプランターで育てています。緑色の実が熟して弾けると、ふわふわの繊維が現れるそう)

※価格はすべて税込み。

自分で手を動かして形になったものには、愛着が生まれます。私もワークショップでつくったモチーフをどう生かすか考え中。クリスマスカードに貼り付けるのもいいし、ひもを付けてクリスマスツリーに飾ってもいいかも。眺めながらアイディアが湧いてくるのを楽しんでいます。これからのシーズン「自分で編んでみたよ」と、大切な人にプレゼントするのはいかがでしょうか?

DATA

AKITA COTTON CLUB(アキタコットンクラブ)
秋田市千秋矢留町9-17
営業時間/10:00~16:00
営業日/水、木、金曜
駐車場/あり
Instagram

※ワークショップ
メニュー:矢留のコースター、ツリー&スター、フットカバーなど
全て2500円プラス毛糸代(350円~)
ワークショップのご予約2名様以上で貸し切りとなります。
(1名様でのご予約も可能です)

キーワード

秋田県内エリア

Writer

FukudaNaoko

FukudaNaoko

2013年より、子育て世代向けにライター活動をしています。日本語や英語で絵本を読む「よみ語り」の活動も続けています。子育て環境、手仕事全般に興味があります。高校生、中学生の2児の母。

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