食物アレルギーや病気による制限で食べられない食材がある人でも、美味しいものを囲んで一緒に食べたい。そんな思いを大切に、大館市でグルテンフリー・乳製品不使用の米粉パンとお菓子を販売している「こびとの米粉工房Honokaze(ほのかぜ)」。住宅街の中にポツンとある、小さな無人販売所を訪れてみました。
店内に誰もいない?まるで「こびと」のお店
優しいタッチで描かれた食パンのイラストが目を引く、可愛らしいユニットハウス。ドアを開けて中に入ると、食パンやフランスパン、ベーグル、シフォンケーキなど、色々な種類のパンやお菓子が並んでいます。
店内は基本的に無人。自由に商品を選び、会計スペースに設置されているカメラの前で代金を計算し、木箱に投入して支払います。
小麦粉・乳製品は一切不使用
商品はすべてグルテンフリー&乳製品不使用。パン作りを行う調理場は自宅内にありますが、生活スペースとしっかり分けられており、小麦粉や乳製品を一切持ち込みません。(※ただし、使用している材料にコンタミネーションの可能性がある場合があります。)
パン生地やクッキーなどは、小麦と乳製品だけでなく、卵も不使用。無添加の材料を選んでいるものも多く、できるだけ多くの人が安心して食べられる選択肢を用意しています。
人気商品の一部を紹介♪
一番人気の米粉のましかく食パンは、外はカリっと、中はもちもち。口に入れるとお米の味がふわっと広がって、何もつけなくても美味しく食べられます。飽きのこない味で、毎日でも食べたい♪
同じ生地を違う型で焼き上げてスライスした、可愛らしい「スライス食パン」も人気です。
ココナッツオイル主成分のヴィーガンバターと有機あんこを使用しているあんバタフランス。甘さも塩気も優しく、お米の味をより強く感じられます。
ふんわりとした生地の米粉シフォン(味は日替わり)。こちらは乳製品不使用のチョコレートを使用したもの。米粉の優しい甘さとココアの香りが口いっぱいに広がる、幸せの味です。
何度も試作を重ねてやっと完成させたというHonokazeカヌレも大人気。小麦粉と牛乳だけでなく、なんと卵も不使用なのに、本格的な味わいとカヌレらしい食感に仕上がっています。
安心とおいしさにこだわった材料選び
「材料は、気になったものを何種類も取り寄せて、すべて実際に使ってみてから決めます。『ベーコンエピ』の乳製品不使用・無添加のベーコンも、『あんバタフランス』の有機あんこも、時間をかけてじっくり探しました」と話すのは、店主の田畑美穂さん。米粉も、作るパンやお菓子によってそれぞれに合うものを使い分けており、パンだけでも4種類の米粉を使用しているそうです。
「これが食べたい」と、自分で選んだものを食べられるように
米粉パンは小麦粉のパンと違い、前日に仕込みを行うことが難しいため、その日販売するパンはすべて当日の朝に仕込んで焼き上げるのだとか。小学校と幼稚園に通う二人の娘の世話をしながら、豊富な種類のパンやお菓子を一人で用意するのは本当に大変ですが、「アレルギーがある人にも、食べたいものを自分で選ぶ楽しさを感じてほしいから、できるだけ多くの種類を作っています」と田畑さんは話します。
意外にも、田畑さん自身や家族には食物アレルギーはないのだそう。だからこそ、乳製品アレルギーがある子どもを持つ友人と交流を重ねるうちに、子どもや家族の苦労を知り、衝撃を受けたと言います。
元々パン作りが趣味だった田畑さんは、その子が食べられる選択肢を増やしたくて、乳製品不使用の材料を探し始めました。
「一人だけ別のものを用意するのではなく、みんなで一緒に好きなものを選びながら食べたいなって。普段食べ物に関してたくさん我慢している人が、選択肢がある中から『これが食べたい』と思ったものを自由に選べたらいいですよね」。
お客さんの中には、持病で小麦粉が食べられないので県外から買いに来たという方や、家族にアレルギーがあるという方も。実際に訪れたお客さんに、「自分が食べられるものばかりが置いてあるから、いろいろ選べることが嬉しい」と言われたこともあるそうです。「もともとアレルギーがある方に届けたいと思って始めたので、そういう声を聞くとやっぱり嬉しいです」と田畑さんは話します。
アレルギーがある人も、健康志向の人も、みんなで一緒に食べられるように、丁寧にこだわって作られた美味しいパンとお菓子たち。田畑さんの優しい気持ちがたっぷり詰まった、小さな販売所を覗いてみませんか♪