大曲駅前に、外国の絵本から飛び出してきたようなかわいい本屋さんができました。グリーンの外壁が目を引く、BAILEY BOOKS(ベイリーブックス)。読書好きならずとも胸が高鳴る店内には、オーナーのこだわりが詰まっています。
元雑貨書店員さんによる工夫がいっぱい
オーナーの渋谷明子さんは、元雑貨書店員。読書離れが叫ばれる昨今ですが、渋谷さんは「書店での経験から、むしろ本は、今の時代に求められていると感じた」と話します。書店員時代、仕入れ方や陳列に工夫をし、お客様の心に響くお店作りをした結果、渋谷さんが担当した書籍部門は売上が急増。BAILEY BOOKSの店内を見て回るだけで楽しくなるのは、そんな渋谷さんが密かに仕掛けたワクワクの種のおかげなんです。
ここから、一緒に店内をひと回りしてみましょう!
BAILEY BOOKSは新本、古本、そしてアロマを扱うお店です。一歩入ったとたんに心地よい香りに包まれ、リラックスした気分で店内へ。
入口正面の平台で取材時に特集されていたのは、韓国の本。韓国でベストセラーになった話題本もあれば、おしゃれなペーパーバック、観光ガイドまで!ペーパーバックが気になってぱらぱらめくると、短編小説が日本語と韓国語で収録されていました。小ぶりなサイズもかわいい!入店1分で早速気になる本ができてしまい、気分が高揚します。
わくわくしながら視線を左の棚に移すと、キャッチーなタイトルにスタイリッシュな表紙の実用書が並んでいます。思想、哲学、経済などの難しそうなテーマでも、つい手にとってしまうのが不思議!自然と好奇心が刺激されるのが分かります。
絵本は、子どもに人気の定番作品から大人も楽しめそうな作品まで揃っています。絵本棚の目の前にゆったりとしたソファーがあるので、子どもと一緒にくつろぎながら選べそうです。
暮らしに気軽に取り入れられるアロマグッズ
お店の最奥の棚には、アロマ関連品が並んでいます。渋谷さんは、AEAJアロマセラピー検定1級、環境カオリスタ検定などの資格を持っています。好みや生活にあった楽しみ方を教えてもらえて、アロマを身近に感じられます。
店内ツアー後半開始
アロマの香りで癒されて、本の棚に戻ります。すると、レジカウンター脇に、何やら怪しげな一角を発見。毒草、占星術、オラクルカードなどのスピリチュアルなワードが並んでいます。学生さんから主婦まで、幅広い年代の女性に密かに人気の「魔女の棚」です。よく見ると装丁が美しい本ばかりで、思わずページをめくってしまいます。
お店を一周して入り口に戻ってきました。最後の棚は文芸コーナー。国内の人気作を始め、海外作品、時代小説、エッセイなど、幅広いジャンルが並んでいます。好きな作家さんの本を一冊手に取っては、近くに並ぶ話題作に目移りし、初めて見る希少な本に興味を惹かれ…小説好きな私は、この棚の前から全く動けなくなってしまいました。
迷ったら、渋谷さんにおすすめを聞いてみよう
欲しい本がありすぎるので渋谷さんに相談すると、1940年代米国の心理ホラー小説を薦めてくれました。海外小説は普段ほとんど読まないので少しひるみましたが、読み始めて驚きました。作者独特の世界観がすごく好み!また、短編集というより掌編集(しょうへんしゅう)という方がぴったりなほど短いお話ばかりなので、読み慣れないジャンルでもページが進みます。自分で選ぶとどうしても好みが偏ってしまいますが、BAILEY BOOKSのおかげで、新しい世界が広がりました!
派手なPOPがなくても読書欲をかき立てる選書
季節や街の行事、お客様との会話を活かした独自のラインナップが魅力のお店です。ここでは、タイムパフォーマンスを気にする若い世代に短歌の本が人気だったり、年配の方に秋田の出版社の本が評判になったり、意外な本に注目が集まることもあります。大型店と比べて蔵書数が多くないからこそ、控えめな佇まいの良書も目に止まるし、来店の度に新鮮な驚きや発見があるんです。
本の魅力は、内容だけではありません。「この本、読んでみたい!」と思うところから、読書の楽しみは始まっています。装丁のデザインや紙の質感、ぱらぱらとめくった時に目に飛び込んでくるセンテンス。BAILEY BOOKSでは、本を選ぶことは「出会い」であり、読書は「体験」だと、再確認できます。読む前から読書を思い切り楽しめる本屋さん、BAILEY BOOKSにぜひ一度、足を運んでみてください!