国内各地で軒並み真夏日や猛暑日を記録しており、今年の夏も厳しい暑さになることが予想されています。湿度の高いじっとりした暑さから逃れる方法はないものか…。ひとときの涼を求めて、秋田市近郊の歴史ある景勝地「伏伸(ふのし)の滝」とその周辺をご紹介します。
菅江真澄も歩いた地
伏伸の滝は、秋田市河辺地区の岩見川流域にあります。古くは「もっこ滝」とも言われ、滝つぼに集まるマスを潜って獲ったことから現在の名称「伏伸の滝」と呼ばれるようになったといわれます。江戸時代後期の紀行家、菅江真澄も伏伸の滝を訪れて旅日記を残しました。
滝の近くに殿渕(とのぶち)園地駐車場があります。車を停めると川のせせらぎが聞こえていました。看板に従って上流方向に少し歩くと、滝に降りていく道に入ります。滝というと山奥に分け入っていくイメージでしたが、階段を降りるとすぐ目の前に滝が現れました。
3段に流れる豊富な水量
3段になった滝の流れは勢い豊かです。滝つぼの下流は浅いところ、深くなっているところ、岩がごろごろしているところなどさまざま。水の透明度は高く、深さによって青色が違っておりグラデーションがきれいです。水音を聞きながら水の流れを見ていると、しばし暑さを忘れます。
四季折々で違った風景が見られ、新緑や初夏の時期に加えて紅葉の時期もオススメです。赤や黄に色づいた木々と水の流れのコントラストが楽しめるそう。
県の真ん中にある公園
伏伸の滝から秋田市中心部へ戻る途中には、「へそ公園」があります。緯度経度がちょうど秋田県の真ん中、つまりへそに当たります。秋田県中心点が公園内の小高い場所にあり、周辺を一望できます。200年ほど前、菅江真澄は岨谷峡を描き、この中山峠を越えて伏伸の滝に向かいました。
ウォーキングのイベントも実施
周辺では毎年6月、ウォーキングのイベント「河辺せせらぎウォーク」(秋田魁新報社、秋田歩け歩け実行委員会主催)が開かれています。残念ながら2024年6月は前年の大雨被害の影響で河辺地区での開催を中止し、市内の別コースで実施しました。
例年のせせらぎウォークではへそ公園を起点に、鵜養(うやしない)町内を通って伏伸の滝、殿渕まで周辺の見どころを回るそうです。およそ2時間のコースです。
実行委員会によると、車でのアクセスがよく風光明媚な場所が集まっているのがコースの魅力。「古い言い伝えや菅江真澄とのつながりもあって、歴史を感じられる地区です」といいます。「大雨被害の影響で今年の開催を見送りましたが、また同じコースで再開したい。時期を含めて検討中です」とも話していました。
歩きながら案内の看板を読むと、その地の歴史も感じられます。ちょっとしたお出かけに、また涼しいひとときを求めて伏伸の滝周辺を訪れてみてはいかがでしょうか。
秋田市内にある、美しい水辺のひとつとしてご紹介したいと思いました。比較的行きやすい場所ではありますが、伏伸の滝周辺は自然豊かな山あいです。夏は特に虫が多くなる季節なので、虫よけ対策の服装をする、クマよけに音が出る物を持つなど準備をどうぞお忘れなく。周囲には2023年7月の大雨被害の影響も残っています。涼しくそして安全に過ごしていただければと思います。
DATA
【伏伸の滝】
秋田市河辺岩見後又
アクセス/秋田駅から車で約45分
駐車場/殿渕園地駐車場(20~30台)など
※伏伸の滝から約4キロ手前の新川橋が崩落のため、
う回路を通ります(看板あり)。