最近、本を手に取っていますか?電子書籍は手軽で便利ですが、紙の本には、ページをめくる心地よさや手に伝わる重み、紙の質感といった独特の魅力があります。
10月27日〜11月9日は読書週間。年間100冊以上読む本好きライターがチョイスした、思わず手に取りたくなるようなおすすめ本をご紹介!食欲の秋にぴったりな美味しいものが登場する本や、肩の力が抜ける爆笑本まで。最近から読書から離れている方も、気持ちが軽くなる読書タイムをこの秋ぜひ楽しんでください。
読書のハードルがグッと下がる本
ドストエフスキーの「罪と罰」を一度も読んだことのない4人が、自由に作品について語り合うという突拍子もない一冊!主人公ラスコーリニコフを「ラスコ」と呼び、「顔以外は全部ダメなやつじゃない?」などと予想。言いたい放題かと思いきや、小説家、翻訳家、ブックデザイナーなど本に関わるプロならではの鋭い視点で、作品を推理していきます。
一文字も読んでいないのに、なんだか「罪と罰」が愛おしく感じる不思議な感覚。「読みたいと思うこと」も、読書の一部だと思える一冊です。今この紹介を読んで「ちょっと読んでみたいかも」と思ったなら、もうあなたの「読書」も始まっています!
食欲の秋!お料理小説
秋にぴったりの小説を2冊ご紹介します!食欲の秋にちなんで、お料理がテーマの小説をピックアップしました。
主人公の優花は料理が嫌い。でも、優花が片思いしている真島さんの好きな人は、料理教室の先生。「料理が好きになりたい、でも…」と葛藤しながら迷走を繰り返す、優花の1年間を描いた物語です。私も料理が苦手なので、優花の気持ちに共感!レトルトや冷凍食品に頼る時に何となく罪悪感を感じてしまう、あのモヤモヤした気持ちに向き合いました。ラストには希望の光が見えます。作者の佐々木愛さんは秋田出身です!
西洋菓子店プティ・フール 千早茜 文春文庫
下町の西洋菓子店「プティ・フール」を舞台にした連作短編集。菓子職人、弁護士、ネイリスト…様々な職業の、悩みを抱えた人々がこの店を訪れます。お酒やスパイスの効いたスイーツが次々登場し、その描写がどれも美味しそう!中でも私はシュークリームが食べたくなりました。千早茜さんは食への並々ならぬ情熱を持っている方。それが伝わってくるエッセイ『わるいたべもの』シリーズ(集英社)もおすすめです。
疲れた時に!エッセイ
ストーリーに没入する余裕もないくらい疲れた時に読みたい、肩の力がふっと抜けるような2冊をご紹介。リラックスして読めるエッセイで、心を軽くしてみませんか?
タイムパフォーマンスが重視される現代で、「読んで得るもの特にナシ!」と堂々と謳う1冊!笑わずには読めないので、くれぐれも静かなカフェでは読まないようご注意ください。 『風と共にゆとりぬ』はゆとりシリーズと呼ばれるエッセイ3部作の第2作目。順番に読むと面白さは増しますが、1作目を読んでいなくても楽しめます。あえて2作目を推す理由は、装丁のインパクト!重厚なデザインで、読んでいる姿は高尚そのものなのに、中身は実にどうしようもないので、読んでいる自分の姿も含めて笑えてきます。できれば文庫ではなく単行本で読んでほしいです。ビジュアル的にもおかしさ倍増です!
著者の穂村弘さんは歌人。世界の見方、切り取り方が本当に面白いんです。何も考えたくないくらい疲れた時に、私はいつも穂村さんのエッセイを手に取ります。まさに私の癒し担当。
穂村さんのエッセイはどれも大好きですが、「絶叫委員会」は特にお気に入り。日常の中で気になった言葉を考察する本です。「エクステ」「マスカラ」がなかなか覚えられない穂村さん。読めば読むほど好きになります。
もっと本が好きになる1冊
最後に、本好きの方もそうでない方も、本への愛が高まる名エッセイをご紹介します。読書の楽しさや魅力を再発見させてくれる一冊です。
「分かる分かる!私もそんな風に読んでる!」と頷ける部分がある一方で、「え?そんな楽しみ方もアリ?!」と驚くような読み方も。本の楽しみ方は自由です!著者の青山南さんは翻訳家で、海外の文学作品内で本にまつわるシーンがたくさん紹介されています。これを読めば、読みたい本がさらに増えること請け合い。素敵な挿絵もたっぷりで、まさに眺めても楽しい一冊です。
読みたい本は見つかりましたか?
文字だけの表現だからこそ、読者自身が自由にイメージを膨らませられるのが本の魅力のひとつ。情報が溢れる日常の中で、読書は心のリフレッシュやリラックスに最適です。この秋、心を癒す読書のひとときを過ごせますように!