秋田には独特の文化や風習から生まれた“奇祭”と呼ばれるものがたくさんあります。毎年立春の2月4日、にかほ市で行われている「掛魚(かけよ)まつり」通称“タラまつり”もその一つです。
(金浦山神社に奉納された鱈。)
300年以上続いているというこの祭りは、10キロ以上ある大鱈を棒に吊るし、二人がかりで担いで神社へ奉納するという豊漁祈願のための祭りです。
(大鱈を担いで町の中を練り歩きます。祭りに合わせて鱈を用意するのも大変なことなんだとか。)
”奇祭”と呼ばれるゆえん
冬のこの時期、スーパーに行くと切り身で売られているのをよく見かける“鱈”ですが、1匹丸々の姿はなかなかお目にかかれません。そんなさばかれる前のまっさらな姿の鱈がずらっと約50匹、金浦漁港から金浦山神社までの約2キロにわたり、荒縄で棒に吊るされた状態で担がれていきます。全国的にも珍しい祭りであることや吊るされた鱈の顔の不気味さもあってか、奇祭と呼ばれているのです。
鱈は捨てるところがない、にかほ市民の愛すべき魚
にかほ地区は、漁業が盛んな漁師町としても知られています。冬の時期に獲れる魚は、鱈だけではなく、鯛、アンコウ、ハタハタなど数多くあります。その中でも鱈は大きくて迫力があることから、神様に捧げる魚として次第に選ばれていったとか。
「鱈は捨てるところがない魚と言われています。この辺りでは、アラや肝も一緒に煮込んだ味噌味のタラ汁が冬の定番料理です。他にもタラフライ、だだみの天ぷらなどこの地域の食卓に鱈は欠かすことのできない食材です」。と教えてくださったのは、にかほ市観光協会の大須賀美和子さん。
(大須賀さんおすすめのにかほ市の観光スポットは「元滝伏流水」だそうです!)
にかほ市観光協会はにかほっと!の中にあり、朝9時から夜9時まで対応をしてくれます。
7月8月は観光シーズンなので毎日営業、その他の月は第3水曜日がお休みです。「にかほ市の観光にお困りの際はぜひお立ち寄りください」と大須賀さん。掛魚まつりについてのお問い合わせもこちらへどうぞ。
(にかほ市観光協会は、にかほっと!正面に向かって右側にあります。)
鱈料理を実践!
大須賀さんにおすすめの鱈料理も教えてもらったので、さっそく自宅で作ってみました!
タラ汁は、アラに肝、すべてから染み出す出汁が味の決め手です。こちらは大人好みの味ですが、子どもたちに人気なのは、タラフライ。箸が止まりません!
大須賀さんのお子さんたちも小さい時は、よくタラフライを食べたとか。
(ライター作 写真上/タラ汁 写真下/タラフライ)
大漁祈願と海上安全を願う”漁師の神事”
「掛魚まつりは、あくまでも漁師の方のための祭りであり、神事であることから、立春である2月4日に行うことが決められています。今年は平日に開催されますが、金浦山神社での奉納の儀式が執り行われた後、勢至公園で“タラ汁”が1杯500円で振舞われる賑やかなお祭りです。大鱈1匹や地元の特産品、温泉入浴券が当たる大抽選会もあるのでぜひご参加ください。大鱈が担がれていく様子は見ものですよ!」。と大須賀さん。
地元の方が愛する冬の定番料理”タラ汁”。寒い季節のお祭りに嬉しいアツアツの鍋は、格別です。また、大抽選会で当たる大鱈1匹は、地元の魚屋さんで有料でさばいてくれるサービスがあるそうです。大鱈が当たっても大丈夫!安心してご参加ください。
(このタラ汁を食べるために行列もできます。限定500杯!神事の後にすぐ並ぶのがおすすめです。)
「んだっ鱈、にかほ市へ!」やってます
また、鱈が獲れるこの時期に合わせて「んだっ鱈、にかほ市へ!」というイベントが2月4日まで開催されています。にかほ市商工会主催の元、市内19店舗では各店舗で工夫を凝らした鱈料理が提供されます。
旬のものは旬のうちに。現地のものは現地で食べてこそ。なかなか食べる機会のないタラの握り寿司やピザなど一味違ったレシピを鱈の本場“にかほ市”でぜひ味わってみませんか⁈
※写真の一部は、にかほ市観光協会提供
【掛魚まつり】
日時/令和2年2月4日(火曜日)
時間/
≪神事≫場所(金浦漁港から金浦山神社)
10:00 鱈行列出発
10:30 金浦山神社神事
≪鱈汁販売≫場所(勢至公園にて)
11:00 鱈汁販売開始
鱈汁/1杯500円 500杯限定
お問い合わせ先/にかほ市観光協会 TEL0184-43-6608
https://www.nikaho-kanko.jp/
掛魚まつりポスター
【んだっ鱈、にかほ市へ!】
期間/令和2年1月6日~2月4日
お問い合わせ先/にかほ市商工会 TEL0184-38-3350
http://shoko.skr-akita.or.jp/nikaho/