寒波に大雪にコロナ…何かと気持ちが落ち着かない2021年の年明けですね。こんな時こそ、可愛いものを見たり、美味しいものを食べたりしてほっこりしたい♡ 今回は、素朴で愛らしい郷土玩具に囲まれてゆったりとした時間が流れる「東北の酒と玩具MUTO」をご紹介します。
お店を運営しているのは、佐藤孔代(みちよ)さん。2019年7月、自宅の一室を改装してお店をオープンしました。
「もともと、趣味で郷土玩具を集めていたんですけど、郷土玩具を売っている場所ってあまりないんですよ。お土産物屋さんや道の駅の隅でホコリをかぶっているような感じで、とても良いモノが多いのに残念だと感じたので、自分にできる範囲で紹介できればいいなと思って始めました」と佐藤さん。
色とりどりの玩具が楽しく並べられていて、思わず「わぁ♡」と声が出てしまうワクワクする空間。きっとこの玩具たちは、私が入っていくまでおしゃべりして遊んでいたに違いない…と思わせるような、生き生きとした表情で並べられているんです♪
郷土玩具の奥深さを知る
佐藤さんが取り扱っているのは、木型に和紙を貼って作った張子、型抜きの土人形、木地玩具など、昔ながらの伝統的な製法で作っている郷土玩具です。機械を使わず職人さんが手作業で一つ一つ作り上げた玩具たちには、個性があります。
「張子も土人形も顔がある玩具だから、作り手の人柄が表れるんです。同じ製法で作っていても、作り手の代が変わると玩具の表情が変わるんですよ」と佐藤さんは言います。
郷土玩具の背景には、気候風土や土地柄が深く関係しています。例えば、昔東北に多くの作り手がいた土人形。これは、寒い冬の間は土が凍ってしまうし、窯も高い温度で焼くことができないため、器を作るには強度が足りないから人形を焼こう、という理由で作られるようになったものもあるそうです。農閑期の副業という意味合いもあったのかもしれません。
佐藤さんが取り扱っているのは、主に高齢の職人さんの作品です。
「高齢の職人さんは新たな販路を拡大したり、展示会を開催したりすることがなかなかできません。なので、こうして紹介することで少しでも多くの人に知ってもらう機会を作りたいと考えています」と佐藤さんは言います。
買い付けの際は、工房に一軒一軒足を運び、職人さんとじっくり話をしながら玩具を選ぶのだそう。どんな人が作っているのか、ということも含めてお客様に伝えます。
今、取り扱っているのは以下の7軒の工房の玩具で、江戸時代から続いている工房もあります。
青森県弘前市 下川原焼土人形(土人形)
秋田県秋田市 八橋人形伝承の会(土人形)
秋田県湯沢市 小南三郎(こけし)
岩手県遠野市 遠野郷佐々孝工房(土人形)
福島県郡山市 橋本広司民芸(張子)
福島県会津若松市 中湯川人形(土人形)
宮城県仙台市 本郷だるま屋(張子)
作り手の顔が見えるクラフトビール&ワイン
店内の一角にある冷蔵庫には、羽後麦酒(羽後町)のクラフトビールと、亀ヶ森醸造所(岩手県花巻市大迫町)のワインが並んでいます。
羽後麦酒は、昔の味噌蔵を改装したブルワリー。「とてもバランスが良く、品のある味わいのクラフトビールです」と、佐藤さんイチオシ! 亀ヶ森醸造所は、リンゴ農家とブドウ農家が二人で立ち上げたワイナリーです。生産したリンゴとブドウでシードルやワインを作るほか、ブドウとリンゴの「コラボワイン」が斬新です。
おつまみにぴったりのナッツ類
お酒にはおつまみ♪ MUTOでは、能代市の木能実(きのみ)から取り寄せた、ビールとワインに合うナッツやドライフルーツも販売しています。たくさんのラインナップの中からお酒に合うものを厳選!
郷土玩具も、お酒もナッツも、どれも作り手の顔が見える小規模なところ、手作りであるところが、MUTOの共通したコンセプトになっています。
「今は自宅の一室なので、このスペースでできるベストの品ぞろえだと思っています。少しずつ皆さんに知っていただいて、もう少し広い場所に移ることができたら、若い職人さんの玩具も扱っていきたいです」
佐藤さんはニット専門のブランド「yourwear」も運営していて、こちらの自宅には工房もあります。デザイナー兼MUTOの店主である佐藤さんは、「二足のわらじだから大変です」と笑いつつ、「自分の大好きな郷土玩具が無くなってしまったら困るので、広く知っていただいてファンが増えたら嬉しい」と話してくれました。
個性豊かな郷土玩具の中から、お気に入りを見つけにMUTOへ足を運んでみてはいかがでしょう♪