いつでも手軽に美味しいものが買える時代だからこそ、食べるものをちゃんと選びたい。こだわりたい。そんなふうに感じている人に向けて、料理教室やミネラル・オーガニックの勉強会を開催しているフリー栄養士の畠山澄(はたけやますみ)さん。個人で働く栄養士はいても、フリー栄養士と名乗って活動する人は珍しいそうです。子どもたちの給食づくりに長く関わってきた畠山さんが、現在取り組む3つの活動内容と、「食」への想いを聞いてきました。
おいしく、楽しい発酵食
−まず初めに、フリー栄養士として畠山さんが取り組む活動の1つ、MAMANI(ママニ)の取り組みについて教えてください。
畠山 MAMANIは、発酵をキーワードに活動しています。メインの取り組みは、奄美・沖縄地方の伝統的な乳酸発酵食品「ミキ」の製造・販売と、料理教室。「おいしく、楽しく」をモットーに、カラダにいいものを作ったり、食べたりできる場をつくっています。
−ミキ、初めて耳にしました。どういう食品なんですか?
畠山 ミキは、お米とサツマイモでできていて、お米のヨーグルトとも言われるくらい、腸内環境を整えてくれる食品です。1ccに1億個以上の乳酸菌を持ち、胃腸の働きを助けてくれます。味は、プレーンヨーグルトに近いですね。どうぞ、味見してみてください!
−スッキリした甘味と酸っぱさでおいしい!ミキは普段どのように取り入れていけばいいんでしょうか?
畠山 ヨーグルトと同じようにそのまま食べられますし、発酵が進んで酸味が強くなったらお酢のようにも使えます。ドレッシングにしたり、スムージーにしたり、さまざまな使い方ができますよ。公共施設の調理室などを会場に不定期で開催している、ミキの料理教室でもアレンジ方法をお伝えしています。
子どもたちに、カラダにいい食を
−畠山さんは、もともと食に興味を持っていたんですか?
畠山 高校生の頃、人並みにダイエットしていたんですね。そこから、栄養のことを考えたりするのがどんどん好きになって。私は出身が東京なので、そのまま東京にある栄養士の専門学校に行って、卒業後は保育園の給食作りに従事しました。母が保育士だったこともあり、保育園での給食作りをする仕事を選んだんです。
−その後、フリー栄養士になったきっかけは?
畠山 2005年に結婚を機に夫の出身地である秋田へ移住して、子どもを2人産んだんですが、その子たちに体調不良や、食物アレルギーがあって。食に限らず、ケミカルなものが子どもたちの暮らしには合わず、栄養士としても、母としても、「お題」をいただいたような気持ちでした。そんな想いを抱えながら、出産後は秋田市内で派遣の栄養士として7年ほど学校給食等に携わっていたんですが、甘い物の取りすぎや添加物のことなど、現代の食の課題に対してもっと多くの人に情報を提供したいと、フリーランスの栄養士として活動を始めました。
−家族からの「お題」と、栄養士という職業が結びついたんですね。
畠山 そうかもしれませんね。やはり、子どもたちの食に一番関心があります。私たち世代の大人は忙しくて、ちゃんとした食事が取れないこともありますよね。でも、余裕があればちゃんとしたものを食べようと思える。それは、子どもの頃、ちゃんとした食事をしていたからなんですよ。
−どういうことですか?
畠山 良くも悪くも、子どもたちは周りの大人の食に影響を受けます。子どもの頃にちゃんとした食を知っていれば、大人になって忙しくなり食に気を遣えなくなっても、余裕が出た時にはその頃の食に戻れるんです。
−なるほど!逆に子どもの頃からジャンクフードばかりだと…。
畠山 「帰れる食」がなくなってしまうんと思うんです。なので、できるだけ小さいうちに、カラダにいい食を体験しておくことが大事だと思っています。MAMANIだけじゃなくて、味噌作りなど食に関する場をつくっている人が秋田にはたくさんいますので、どんどん体験して欲しいです。
ミネラル・オーガニック給食を、秋田で
−もうひとつの軸となっているAkita m.o.k.s.(秋田モクス)では、MAMANIとはまた違うアプローチをしているんですよね?
畠山 そうなんです。Akita m.o.k.s.は、「秋田ミネラル・オーガニック給食をすすめる会」の頭文字をとって名付けた団体名です。MAMANIの活動の延長線上にできた団体ではありますが、子どもたちの給食にミネラルやオーガニックを取り入れるという目標に特化し、仲間と活動しています。2021年1月に開催したミネラルのオンライン勉強会には、800名もの視聴申し込みがあり、関心の高まりを感じました。1週間限定のアーカイブ視聴でしたが、視聴回数はトータルで2,000回を突破したんです。
−なんと2,000回視聴!カラダにいい食事、まだまだ関心を集めそうですね。
畠山 韓国ではオーガニック給食は当たり前ですし、日本でも先進的に取り組んでいる地域がたくさんあります。これから関心もさらに高まると思っています。なぜミネラルを摂取するといいのかを体感できるような、2ヶ月間食事に伴走するオンライン勉強会を6〜7月に企画中なので、興味がある人はぜひご参加を!講師からアドバイスをもらうことで、日々の食事を変化させていくことができます。
新たな拠点が秋田市にオープン!
−実はこの3月、3つ目の活動として、秋田市で新しい取り組みを始められるんですよね。
畠山 はい!秋田市広面で、仲間と一緒にテイクアウトメインのカフェを3月19日にオープン予定です。名前は「まんま∞まんま」。運営するのは、子育て中の家族や産前産後の女性を支えるNPO法人ここはぐです。
畠山 キーワードは、家族のカラダにやさしいごはん。MAMANI、旅するminja(みんじゃ)、Prema Anna(プレマアンナ)の個性的な3シェフが、日替わりでオーナーとなります。MAMANIは発酵、ミネラルなどに特化したおかずを提供する予定です。子育て中の方、臨月や産後まもない方だけでなく、カラダにやさしいごはんが食べたい人みんなに利用してもらいたいです。ミキの計り売りもあります!
【まんま∞まんま】※3月19日オープン予定
秋田県秋田市広面字高田314
営業時間/11:00〜18:00
定休日/金曜日(定休日には、ここはぐのイベントやシェフの料理教室など開催予定)
最新情報は、ここはぐホームページをチェック。
−ミキの料理教室、ミネラルの勉強会、カフェ「まんま∞まんま」。これからも食の場づくりが、続くんですね。
畠山 続けていきます!食べ物=エネルギー。カラダにいいものを食べればそれでいいというわけではなくて、「おいしい」「楽しい」という気持ちを大切に、毎日の食事から元気をもらえるような取り組みをしたいと思っています。
さまざまな方向から「食」にアプローチする畠山さんは、次世代を担う子どもたちへの想いにあふれた、優しく、あたたかい食のスペシャリストでした。ミキの料理教室、ミネラル・オーガニック給食の勉強会、カラダに負担の少ない食を提供するカフェと、いろんな接点を用意してくれているので、食のこと、少しずつ考え始めてみませんか?
DATA
【フリー栄養士 畠山 澄 さん】
東京都出身、秋田市在住。2児の母。
栄養士の専門学校を卒業後、保育園に栄養士として勤務。2005年、結婚を機に夫の出身地である秋田に移住。学校給食、保育園給食での調理や献立づくり、現場の責任者を担当し、約7年間従事。2017年にMAMANIを立ち上げ、2020年にはAkita m.o.k.s.(秋田モクス)の活動へとつなげた。
メール/suminomamani@gmail.com
MAMANI フェイスブック
インスタグラム
Akita m.o.k.s.に関する問い合わせは akita.m.o.k.s2020@gmail.com