2018年、秋田市でキャンドル教室「Noah Candle(ノアキャンドル)」を開講し、2024年には仙台でも教室をスタートさせた森澤愛理(あいり)さん。初心者でも気軽に楽しめる体験レッスン、プロを目指すことが出来るプロフェッショナルコース、資格取得可能なレッスンなど、幅広いニーズに応えています。秋田と仙台、2拠点での暮らしや家族との時間、キャンドル製作への想いについて、たっぷりとお話を伺いました。

ーキャンドル教室を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
森澤 夫の転勤にともなって各地を移り住む生活をしていましたが、2012年から秋田に定住することになったのをきっかけに、「せっかくなら、自分が心から“愉しい”と思えることを仕事にしたい」と思うようになりました。これまでの経験の中で、“人生はいつ終わるかわからない”と強く思うようになっていたのも、その想いを後押ししてくれたのかもしれません。もともとモノづくりが好きで、独学でキャンドルを作っていましたが、「もっと思い通りの作品を作れるようになりたい」と感じていた頃、インストラクターの資格が取れる講座に出会いました。2017年に実家のある横浜で資格を取得し、翌年の2018年、秋田の自宅でキャンドル教室「Noah Candle」をオープンしました。

愉しむことを伝えるために、まずは自分が満たされる
ー仙台に教室を開くことになった理由は?
森澤 教室オープンから生徒さんにも恵まれて、充実した日々を送っていましたが、2023年頃に友人から「始めた頃の方がキラキラしてたよね」と言われて、ハッとしました。“つくるを愉しむ、暮らしを愉しむ”がNoah Candleのコンセプトなのに、純粋に、自分のためにキャンドルを作ったのはいつだろう。そう気づいて、以前からレッスンを受けたかった東京の先生のところへすぐ予約を入れました。そこで改めて愉しむ気持ちを思い出しました。
愉しいって、ただ「楽しい」だけじゃないんですよね。嬉しさや悲しさ、しんどさも全部含めて、自分の中から湧き上がってくるもの。湧き上がるすべての感情を大切にし、まずは自分自身が満たされることで、お客様にも“自分らしくいられるひととき”を届けられると実感しました。その気づきをもとに、さらに新たな挑戦をしたいという気持ちが強くなり、2024年7月に仙台に教室をオープンしました。仙台教室では、プロを目指す方に向けた本格的なコースもあります。

自由とは、自分で自分の人生を選択すること
ー自分の好きなことを仕事にしているお母さん、素敵ですね!
森澤 ありがとうございます。でも、もともと私は、「好きを仕事にできるのが幸せ」という考えをあまり持っていませんでした。好きなことを仕事にできたら素敵かもしれないけれど、それだけでは続かないし、仕事はビジネスとして成り立たなければ意味がない。だから、今の子どもたちが学校で将来について考えたり、成功体験を知る機会がたくさんあるのは、素晴らしいことだと思っていたんです。でも、娘の成長をそばで見守る中で、高校生になった頃に「何者かにならなきゃいけない」と焦るような姿を見て、改めて考えさせられました。

本当に大切なのは、「何かになること」じゃない。たとえ何者にもならなくても、仕事は人生の一部であって、すべてではない。壁にぶつかったり、失敗したり、思うようにいかないこともたくさんあるけれど、それでも、今この瞬間を自分らしく愉しめれば、それが一番。元気に今を生きること、それだけで充分です。「Noah」という名前には、ハワイ語で“自由”という意味があります。自分らしく、自分のペースで生きていい。これからも、キャンドルを通して、自分らしく生きる愉しさを伝えていきたいと思っています。

半分単身赴任の生活
ー家庭との両立も気になります。2拠点生活はご家族にどんな影響がありましたか?
森澤 夫と娘はとても仲が良くて、私がいない間は夫が家事を頑張ってくれています。ふたりとも「やりたいことをやったらいいよ」と協力してくれて、本当にありがたいなと思っています。一方で、周囲からは「家族がかわいそう」と言われることもあります。男性の単身赴任にはあまり何も言われないのに、女性だと自分勝手と見られてしまうことがあるのは、やっぱり少しつらい時もあります。他人と比べることではないと頭では分かっていても、これで本当にいいのかなと迷う気持ちが湧いてくることもあります。それでも、2拠点で暮らすようになってから、むしろ家族との会話は増えました。たとえば、食事の時間にはLINE通話をつなぎ、近況を話しながら「一緒にごはん」を楽しんでいます。離れているからこそ、会える時間をより大切に思えるようになりました。今はそれぞれが自分のリズムで過ごしながら、ちゃんと心がつながっていると感じています。

キャンドルで自分を表現できる喜び
ー作品はどれも素敵ですが、特にリアルなクリームソーダキャンドルが可愛いです!
森澤 モデルにしたのは、仙台にあるカフェのクリームソーダ。ドリンクの色やストローまで“推しカラー”で選べる、推し活を楽しむ人たちに人気のお店です。そのクリームソーダの美しさに心を奪われて、「キャンドルにしてもいいですか?」とマスターにお願いしたところ、快くOKしてくださって、作品が生まれました。グラス以外はすべてキャンドル。体験レッスンでも、自分だけの“推しカラー”を選んで楽しんでいただいています。

ーこれはすごい技術ですね!
森澤 やっぱり、自分の思った通りに作れるようになるには、学びや練習が必要です。キャンドルに使うワックス(ロウ)には、多くの種類があり、配合や温度の管理など、仕上がりを左右する要素がたくさんあります。私は「どうしてこの配合なんだろう?」「どうすればこの質感が出せるんだろう?」と、とことん深掘りしたくなるタイプ。ただレシピ通りに作るだけでは満足できなくて、何度も試して失敗して、また挑戦することで、だんだん技術が上がっていくのが楽しいです。自分が作りたいものを、作りたいように作れる」って、本当に幸せなことですよね。その楽しさを、教室に来てくださる方にも感じてもらえたら嬉しいですね。

ー最後に、これからの展望を教えてください。
森澤 未来は今の選択の積み重ねでできているので、自分が心地よく、愉しいと思える選択をし続けていきたいです。キャンドルを通して、お客様一人一人と愉しい時間や空間を共有できるように、これからも精進していきたいです。

キャンドルづくりの技術はもちろん、その明るさと温かさに惹かれて、森澤さんのもとには県内外から人が集まります。レッスンがない日でも「会いたくて来ちゃいました」と訪れる人もいるほど。会えば自然と前向きな気持ちになれる、そんな存在です。キャンドルの灯りのように、そっと寄り添いながら、まわりを照らす人。その人柄こそが、森澤さんのいちばんの魅力なのかもしれません。
★5/10(土)「a.woman キレイ×シゴトLab」に森澤さんが出店します!ミニキャンドル作りのワークショップも有。是非、森澤さんに会いにきてください!
DATA
【森澤 愛理さん】
キャンドル作家。横浜出身・秋田在住。2017年ベッキーキャンドルにてインストラクター資格を取得。2018年秋田市でキャンドル教室「Noah Candle」を開講。2024年には仙台にプロ向け教室を開設。2025年3月にアジアキャンドルプロフェッショナル協会、初の認定校となる。キャンドル教室運営、企業・団体向け講師、オリジナル製品製作、イベント企画・出店、キャンドル販売など幅広く活動中。
【Noah Candle】
秋田教室
住所/秋田市飯島薬師田168−1
TEL/080-9555-0947
HP
Instagram
Facebook
仙台教室・販売(SHOP)
住所/宮城県仙台市青葉区本町2丁目9-20 BIビル302
TEL/080-9555-0947
Instagram