秋田市中心地から車で30分ほど、秋田西高校の近くに2022年3月にオープンしたベーカリー、「BreadFictions(ブレッドフィクションズ)」。シンプルでかわいらしい看板と青いドアが目印です。夫婦二人で営むこぢんまりとしたお店ながらも、午前中に売り切れてしまうことも多いという注目のお店を紹介します。
こだわり抜いた材料で作るパンは未体験の食感!
BreadFictionsのパンのキーワードは北海道産小麦、自家製天然酵母、長時間発酵。店主の牧野さんが選び抜いた材料を使って、丸一日かけて発酵させてつくるパンは見た目にもオシャレ。ショーケースの中を見ているだけでも楽しくなります。
こちらのお店はいわゆるハード系のパンが豊富。シンプルな材料でつくるため、小麦の風味がダイレクトに伝わります。しかし、BreadFictionsのパンは、外側はパリッとしつつも中はもっちりとした食感です。水分量が多い高加水パンと呼ばれるもので、噛み応えはあるのにしっとりしていて柔らか。「こんなパン初めて食べた!」という感想を聞くことも多いそうです。
ハード系のパンが主力のお店ですが、食パンの根強いファンが多いのも事実。予約だけで売り切れてしまうこともあるそうです。一般的な食パンに加えて、日替わりでシナモンレーズンやくるみの食パンも販売しています。「ハード系のパンは確かに映えるしおしゃれに見えるけど、食パンのようにシンプルに家庭で食べてもらえるものもたくさん作りたいと思っています」と牧野さん。
秋田で自分らしくパンを作りたい!
お店を営むのは牧野竜平さんと明香(はるか)さんのご夫婦。秋田市出身の竜平さんは、京都の製菓学校を卒業後、京都のベーカリーに就職。そこで出会った明香さんと結婚し、お子さんの誕生などをきっかけに秋田に移住しました。秋田市内の人気店でさらに腕を磨き、「自分の生活スタイルを守りながら美味しいパンを作りたい」と、2022年に独立し念願だった自分のお店をオープン。店舗を兼ねた自宅で2人のお子さんと2匹の保護猫と暮らしています。
店名にある「フィクションズ」には複数の意味が込められています。ひとつは、竜平さんの趣味であるマジックに関する名著『CardFictions』から。一瞬にかけるマジックとパン作りを重ね合わせて引用したそう。ほかにも「休みなく働くのが真の職人だとしたら、自分はニセモノ(フィクション)かもしれない。だったら自分でそう言ってしまおう」という思いも込められているんだとか。
明香さんは接客を、パン作りは竜平さんが担当しています。ひとつひとつじっくり向き合って、手を抜くことなく愛情をこめて作られています。
ショーケースの中で目に留まったのは「ゆのす」という名前のパン。「ゆのす」とは、明香さんの出身地である高知県でメジャーなゆず酢のこと。ゆずの爽やかな風味とホワイトチョコの甘さ、くるみの食感が絶妙な組み合わせです。さらに、ベースになっているのは店名と同じ「フィクション」というオリジナルのパンだそう。まさにBreadFictionsでしか味わえない逸品です。
楽しみにしている人のために、できる限り応えたい
県北や県南、なかには県外から来店する常連さんもいるという人気店のBreadFictions。もちろん、近所の人も老若男女、足を運びます。牧野さんはお客さんからの要望も積極的に受け入れ、一か月にひとつは新作のパンを作るようにしているそうです。
店頭や電話での予約も受け付けていて、在庫があれば当日の取り置きも可能。とはいえ、お目当てのパンが決まっている場合は、事前の予約がおすすめです。
小麦の風味豊かなもちもち食感の自慢のパンは、何度も食べたくなること間違いなしですよ。
※価格はすべて税込です。