大仙市刈和野にある老舗菓子店の和栄堂。地元で愛されながらも、地域外の若い人たちにもじわじわと人気が広がってきています。その秘密は、泉のように湧き出るユーモアとお客さんに向き合う姿勢にありました。
地域で愛され70年!
ことしで創業70年を迎えた和栄堂は、JR刈和野駅から歩いて約2分のところにあります。こぢんまりとした店構えながら、中に入ってみて商品の種類の多さに驚かされます。ショーケースの中にはズラリと和菓子や洋菓子が並び、焼き菓子も豊富に取り揃えています。
和栄堂は完全家族経営で、2代目の佐藤和弘さんとその息子で3代目の勇弘(たけひろ)さんが、お菓子を作っています。
和栄堂といったらコレ!
2020年に販売を始めて以来、和栄堂の定番となったのがジャーケーキ。何といっても見た目が可愛らしい!何層にも重なった彩りに感動です。
フルーツやムース、杏仁豆腐、ブランマンジェなど、メインの味によって使われるものが違うというこだわりのメニューです。
層を重ねて作るため、朝早くから仕込みを始めても店頭に並ぶのは11時頃になるそう。
和栄堂ではこれまでに32種類ものジャーケーキを開発していて、今も数週間ごとに店頭に出す種類を入れ替えているとのこと。もちろん新作も常に開発中だそうで、行くたびに違った味が楽しめるのが嬉しいですね。
ユーモアあふれる人気商品
長年続く和栄堂の夏の風物詩が、固いソフトクリーム。正式な名前は「ハードクリーム」ですが、皆さん「かだいやつ」と呼んでいます。こちらはマイナス20度の冷凍庫で一晩じっくりかっちり凍らせた、まさにかだい(固い)ソフトクリーム。冷凍庫から出したばかりの時点ではカッチカチですが、少し時間をおくと食べやすくなります。
ユーモアあふれるネーミングもさることながら、かだいやつは通常のソフトクリームよりも溶けにくいので、差し入れなどにも喜ばれる商品。農作業の休憩用にと人数分まとめて購入していく客さんもいるそうです。
アイデアに拍手!お菓子なのに「刺身」?!
透明なパックに入ったこの商品。実はコーヒー味のこんにゃくゼリーと少し硬めのプリン。「コーヒーの刺身」と「プリンの刺身」というネーミングにも思わずクスっと笑顔になります。秋田ではおなじみの、海藻の寒天「えご」をまねて作ったユーモアあふれるこの商品。
えごのように切り分けて生クリームやカラメルソースをかけて箸で食べるもよし、パックのままスプーンで豪快に食べるもよし!子ども会から注文を受けることもあるという、お子さんからも人気の商品です。
お客さんからのリクエストで成り立つお店
「とにかくお客さんの声を聞くことにしている」という3代目の勇弘さん。ある時は「エクレアが食べたい」と言われてエクレアを作り、さらにある時は「夏なのでくどくないエクレアが良い」という要望を受けてレモンとレアチーズ味のエクレアを作るという反応の良さ。
最近では「白あんの水ようかんが食べたい」と言われて新商品のを水ようかんを開発。ピーチ味の白あんの羊羹にピーチ果肉を載せた見た目も味も大満足の一品ができました。
味や見た目に積極的にお客さんの声を取り入れていくことで、最近では若いお客さんも増えてきたそうです。「無理難題も多いですけど、お客さんの声で成り立ってます」と勇弘さん。
やりたいことはしこたまある!常にチャレンジする姿勢
常に試作をしているという勇弘さんは、急に思いついて真夜中に試作品を作り始めることもあるそうで「やりたいことは”しこたま”あるんです」と話します。また、お店のInstagramに投稿する写真は「妻からの愛あるダメ出しを受けながら試行錯誤している」とのこと。地元の企業や学生とも積極的にコラボして商品を作っていて、常に進化しようとするお店の姿が見えました。
昔と比べると街を歩く人の姿は減ったかもしれませんが、和栄堂のお菓子を目当に刈和野を訪れる若い人もいます。その背景には、「お客さんの希望に応えたい」という佐藤さん親子のひたむきな思いがあるのだと感じました。70年を超えて愛され続ける和栄堂。次はどんなことを仕掛けてくれるのか楽しみですね。
※価格はすべて税込
DATA
【和栄堂】
大仙市刈和野清光院後41-8
電話/0187ー75‐1121
営業時間/7:30~18:30
定休日/日曜日
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