ペレット窯のピザ屋さん「Garden Kitchen COCONIWA（ガーデンキッチンココニワ）」が秋田県内を巡っています。キッチンカーの持ち主は「まつはししほ」さん。自称・フリー保育士でもある彼女は「心庭（ここにわ）しぃ☆」の愛称で多くの親子から慕われ、スティールパン・バンド「ぱんだらけ」のリーダーとしても知られています。

キッチンカーは2020年10月から始動。

定番メニューは「はちみつチーズ」と「マルゲリータ」。そこに日替わりの「本日のピザ」が1品加わります。

「食べて笑顔になったり、元気になってもらえるようにと心を込めて焼いています。手伸ばしなので、いびつな形のコや美人なコとか、見える表情はいろいろだけど、美味しくなあれと祈って伸ばしています」と、しぃちゃん。

こだわりのピザ

チーズは厳選して取り寄せたモッツァレラチーズやナチュラルチーズを、メニューによって使い分けています。濃厚なチーズに負けない味の濃い秋田産の蜂蜜を選んでいます。マルゲリータはシンプルながら、バジルとオリーブオイルの香りを楽しんでもらえるようオリジナルの味付けも忍ばせてます。

日替わりメニューも面白い！

イベント出店の時はテーマに合わせてコラボピザも登場。秋田犬のトレーナーさんとのイベント時には、犬が大好きな「照り焼きチキン」を使ったピザを考案。先日は「はたはた寿司」を使ったピザもデビュー。何度も試行錯誤してようやく完成したそう。美味しさだけでなく、買う人を楽しませる気持ち、秋田への思いも伝わってきます。

ピザ屋はしぃちゃんの新たな顔！　本来のライフワークは保育

しぃちゃんは、子どもが子どもらしく笑顔でいられる環境、場所作りを実現するために、秋田市河辺の古民家で「心庭（ここにわ）」という親子の遊び場を運営しています。子どもたちは自然に囲まれた環境の中で大人に見守られながら、身体と心を存分に使って遊びを生み出します。その経験から子どもたちは自分で学びを得ます。大人もその姿を共有します。「心庭」の輪は少しずつ広がり、子育てで悩むお母さんたちの心も解放してきました。

勤め先の幼稚園で長い間、今の時代の保育と自分が思い描く保育との差に悩んだしぃちゃん。園に勤務するだけが保育士じゃないかも…と思い始めます。大人は保育士であるなしに関わらず、ワクワク生きる姿を子どもたちに見せることができるはず。今の自分に伝えられることはまだまだ少ない。保育者として人間として、知らないことを知り経験して大きくなろう！と、旅に出ます。そこでスティールパンに出会いました。

植民地で楽器を取り上げられた奴隷たちが命をかけて生み出した楽器「スティールパン」の音色は、人を和ませ、愉しませる力を持っていました。ぜひ秋田に届けよう！とライブを企画。その時の奏者・伊澤陽一氏に師事し、自身もパンを弾くようになると輪が広がり、バンド「ぱんだらけ」が誕生。親子でメンバーになったり、親子向けの演奏もしたりして結局その経験も保育へ繋がっていました。

心を羅針盤にして生きれば魔法が起きる

2020年１月。しぃちゃんはスティールパンの本場トリニダード・トバゴ共和国へ単身飛び、世界三大カーニバルのコンテスト「パノラマ」に出場しました。女性が一人で出向くには大変危険な区域。でも現地でできた友達やバンドメンバーに助けられ40日間滞在。音楽をツールに言葉は通じなくとも信頼が生まれ、メンバーと一体となり見事決勝へ。

改めてスティールパンの奥深さ、そこに関わる人たちの素晴らしさを吸収し、鳥肌が立つほど感動したしぃちゃんは、今後も心がワクワクすることを選んで行こうと決意。帰国後、ふと「旅人気質のしぃちゃんには、移動できるキッチンカーがピッタリ」と知人が言った言葉を思い出します。早速、ペレット窯を乗せたキッチンカーを開発した友達と共同制作。準備を重ね、2020年10月から「Garden Kitchen COCONIWA」の営業をスタートしました。

ライフワークは全て、人の輪に繋がることを願って

「新しいことを始めたというよりは、心庭が移動して歩けるようになったという気持ち。根っこの部分で全部が繋がっています。フリー保育士でいながらスティールパンを弾き、キッチンカーで会いに行く。自分自身も含め、誰かがワクワクに出逢うきっかけを作りたい！そう思えるから様々なことにチャレンジしつつ、旅人のような自分を生きています」と、しぃちゃん。

大人も子どもたちも愉しめるピザ作りワークショップも好評。気軽に相談してみてください。今後も秋田で美味しいものを作っている仲間とキッチンカーでコラボしていく予定だそう。どうぞお楽しみに！