秋田市中通にある「Ballet House Kiki(バレエハウスキキ)」は、幼児からシニア世代まで幅広い人が対象のバレエ教室です。主宰するのは、9歳からバレエを習い、イギリスのバレエ学校で経験を積んだ櫻庭亜紀穂(さくらばあきほ)さん。世界で活躍するプロのバレエダンサーでもある櫻庭さんが、教室設立に込めた想いとは?
子どもの頃からバレエが大好き!
−まずはじめに、櫻庭さんがバレエを始めたきっかけを教えてください。
櫻庭 きっかけは、両親です。私は昔から体を動かすことや、歌ったり踊ったりすることが大好きで、骨格的にも細くて柔らかかったんです。そんな私を見て、両親がバレエ教室に通わせてくれました。でも実は私、最初は「バレーボール」と勘違いしていて(笑)。
−球技のバレーと踊りのバレエを間違えたと!
櫻庭 そうなんです(笑)。始まりはそんな感じだったんですが、やってみたら見事にハマりました。すごく楽しかったんですね。すぐに「バレリーナになりたい!」という夢を持つようになりました。
−櫻庭さんをの心をそんなにも惹きつける、バレエの魅力って何だったのでしょう?
櫻庭 ずっと理想を追いかけられるからかもしれません。練習しても、練習しても、理想のバレエにはたどり着かない。だから、楽しいんです。
海外で学んだのは「笑顔」の大切さ
−高校を卒業後、単身イギリスへ留学されたのはどんな想いから?
櫻庭 今では世界各国でバレエに力を入れていますが、とくにフランス、ロシア、イギリスは昔からバレエの本場と言われています。秋田県内でそうした国々での経験があるバレエの先生がいなかったので、自ずと海外に行くことを意識するようになりました。バレエを始めた頃、テレビでロシアのバレエスクールのドキュメンタリーを観たのも大きいです。同じ年齢の子が一日中バレエを練習する姿を見て、海外へ行くイメージが強くなりました。
−海外のトップレベルのバレエレッスンは、とても厳しいイメージがあります。ご苦労されたのでは?
櫻庭 確かにバレエ学校では公演が月10回、卒業後にバレエ団へ入団してからは毎日公演というハードスケジュールで、週1回の休み以外はレッスンやリハーサルをずっとしていました。それでも、嫌になったことは一度もなかったですね。最初の頃は、英語も喋れないし、ご飯もまずいし(笑)、生活のほうが大変でした。日本から炊飯器を送ってもらって、なんとか過ごしていました。
−ハードなレッスンや慣れない暮らしの中、支えになったのは?
櫻庭 人とのご縁に恵まれたことです。本当にいろんな方に助けていただいたんです。イギリスにたまたま知り合いの日本人の方がいたんですが、公演を見に来て応援してくれたり、学校寮じゃ体が休まらないだろうと、休日にお家に泊めていただいたり。現地の方とも、言葉が分からなくても笑顔で接していたらコミュニケーションがとれるようになっていきました。いつも笑顔でいると、人が声をかけてくれると気づいて、今も笑顔を大事にしています。
Kikiファミリーと一緒につくってきた教室
−4年間海外で経験を積まれた後、帰国してKiKiを設立した経緯は?
櫻庭 帰国後は、秋田のバレエ教室で講師を経験した後、2015年にKikiを設立しました。実は、独立をしたいと強く思っていたというよりは、人とのご縁が運んでくれた巡り合わせなんです。祖母の知り合いが「使っていないバレエ教室があるから使ってみない?」と提案してくれたこと、当時指導していた子たちの保護者から「これからもずっとバレエ教えてほしい」と声をかけてもらったこと。いろんな声に背中を押される形で、独立しました。
−声を受け、教室を立ち上げてみて、どうでしたか?
櫻庭 最初の頃は手探りで、保護者の方から意見をもらいながらその都度つくってきたという感じです。Kikiでは2年に1回発表会を行っているのですが、最初の発表会が無事に終わるまでは、前例がない中なのでとても大変でした。
−保護者の方と二人三脚で作ってきたんですね。
櫻庭 そうです。「KiKiファミリー(保護者会の愛称)」の存在無しでは、ここまでこれませんでした。発表会のメイクから、衣装のホック調節、受付まで協力してくれて。保護者のみなさんがバレエを好きでいてくれるから、そして、私を信頼してくれているから、教室が回っているんです。そんな保護者のみなさんには、発表会をゆっくり見てほしいので色々と工夫しています。他のバレエ教室では、保護者は発表会の時に裏方として動くところが多いんですが、Kikiでは、子どもたちが舞台のつくり方を学んで裏方に回り、自分たちだけで発表をする時間を設けて、保護者に踊る姿を見てもらっています。
これからもバレエを通して、ココロとカラダを育む
−もうすぐKikiが6周年を迎えます。この年月を振り返ってみて、今、心に残っていることは?
櫻庭 これまで間近で見てきた子どもたちの成長すべてです。バレエの上達はもちろん、恥ずかしくてあいさつができない子が自分からあいさつできるようになった時には、心の成長も感じます。
−教室立ち上げ当初から通ってくれている子どもたちもいるそうですね。
櫻庭 そうなんです。最初は幼稚園児だったのに、もう小学校高学年になっていて。私は2018年に結婚して昨年出産し、現在1歳になる息子をレッスンに連れてくることがあるんですが、息子がお姉さんたちの後をついて歩くんですよ。そんなふうに小さい子たちの面倒を見てくれる姿を見ると、ココロもカラダも成長したなあと感慨深いです。世界のダンサーとコミュニケーションできるようにとレッスンに取り入れている英語も、最初は「外国に来たみたい」と驚いていたのに、今では慣れてくれています。ちなみに、昨年からは東京や海外からのリモートレッスンも取り入れていますが、画面越しでもちゃんとレッスンできています。
−幅広い年代を対象としてるKikiで、これからも大切にしていきたいことは何でしょう?
櫻庭 その人に合わせて指導をする、これに尽きると思います。2歳半は音楽に合わせてスキップ、高学年はトゥ・シューズを履いて公演にチャレンジ、といった年齢に合わせた指導だけでなく、「バレリーナを目指したい」「美容や健康のために身体を動かしたい」など目的の違い、身体の可動域や骨格に合わせて無理のないレッスンにすることなど。Kikiでは、無理矢理ストレッチしたり、痛いことはしません。バレエを通じて、何かひとつのことを一生懸命頑張ること、笑顔やあいさつなどのコミュニケーション、自分の意見を伝える力を育み、それらが人生の財産になることを願っています。
「バレエの道に進んでも進まなくても、人として大切なことを伝えたい」という櫻庭さん。笑顔あふれるあたたかい雰囲気で、「バレエは言葉のない世界だからこそ、一緒に踊る人との普段のコミュニケーションが大事」と語ります。姿勢が良くなり、立ち姿もきれいになれるバレエは、大人の方にもおすすめ。Kikiにはピラティスのクラスもあり、子連れでも大丈夫なようにちょっとしたおもちゃも用意されています。自身も1歳の子どもがいるという櫻庭さんの、心遣いがうれしいですね。バレエが気になる方は、ぜひKikiの発表会や体験レッスンへ!
DATA
【櫻庭 亜紀穂 さん プロフィール】
秋田市生まれ、秋田市在住。一児の母。
9歳より秋田でバレエを始め、高校卒業後に単身渡英。Central School of Balletにてクラシックバレエ、コンテンポラリー、ジャズダンス、ミュージカルシアターなどを学ぶ。卒業後はVienna Festival Balletにて主役、ソリスト、コールドまで幅広く踊る。帰国後、2015年に秋田市にてBallet House Kikiを設立。設立後も海外でも活躍中。2019年のVictoire Ballet Competiton ヴィクトワールバレエコンペティションにて最優秀指導者賞受賞。
【Ballet House Kiki】
秋田県秋田市中通2-1-41 小泉耳鼻咽喉科1F
電話番号/080-5576-6768
E-mail/ballethousekiki@gmail.com
レッスン時間/曜日・クラスにより異なります
定休日/月曜日・日曜日
駐車場/近隣のコインパーキングなどをご利用ください
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▼第3回Autumn Performance
2年に一度の発表会が2021年10月31日に開催予定。海外や東京のプロダンサーが振り付けなどに参加。インスタライブで誰でも視聴可能です。
▼体験レッスン受付中
一人1回1,000円(税込)で、対象のレッスンに参加できます。その場で入会を決めると体験料をキャッシュバック。