年を取るごとに和菓子が恋しくなるのはなぜでしょう。小さい頃に、あまり好きではなかった“あんこ”も今では生クリームよりも好きだったりします。秋田市仁井田で工房を切り盛りしている「よし成製菓」さんでは、藤田さんご夫婦が“懐かしい”をテーマに和菓子作りをされています。
親父が切り開いた“和菓子の道”
よし成製菓さんの「よしなり」とは、代表の藤田義春さんのお父さんのお名前。父、与志成さんは、かつて秋田市の三松堂で修業をし、せんべい屋として独立。地元である六郷町で工房を構えました。スーパーの卸や行商として、せんべいだけでなく、和菓子も手掛けていた与志成さん。その後、秋田市で知人と共同経営の上、製造部長という立場でよし成製菓を立ち上げました。
「かつては10人弱の工房でした。スーパーに卸す和菓子は、時代の流れと共に日持ちがして量産できるものが好まれるようになり、徐々に規模が縮小していきました。そして15年ほど前、工房を一旦畳み親父一人で工房を再開することに。そこで、私も当時勤めていた会社を辞めて、親父を手伝う形で“よし成製菓”へ入りました」と代表の義春さん。
催事で見つけた和菓子屋としてのやりがい
和菓子屋になったものの、右も左もわからない息子、義春さんに一から和菓子のイロハを教えたのは父、与志成さんでした。
「最初は、餅の作り方から。今では考えられませんが、火を入れるのを忘れたりして…。それまで一度も和菓子を勉強したこともなければ、手伝ったこともなかったので大変でした」。
親子で切り盛りしてきた「よし成製菓」でしたが父、与志成さんが高齢のため、最近はできる作業もごくわずかに。一方で子育てが一段落した妻の麻由美さんが6年ほど前から加わり、代表は義春さんへと受け継がれ、今度は夫婦二人三脚で工房を営むようになりました。
数年前、近所の住宅会社さんで開催された朝市の出店をきっかけにイベント出店も始めます。「卸をしているとお店に納品という形なので、お客さんから直接の声が聞けないんです。それが、催事に出てみると、ダイレクトに声を聞くことができたんですね。それが楽しくて、楽しくて。本当においしいと思うもの、食べて欲しいものを作れる、自分たちで値付けができる、など催事出店はいいことだらけだったんです」と義春さん。
新しいけど“懐かしい”和菓子を
「スーパーさんへの卸ももちろん大事な仕事。そこでは日持ちをさせることを踏まえておいしく食べられる工夫をして作っています。でも、それとは別に“懐かしい”身近な和菓子に自分たちならではのアイディアも加えた商品も作っていきたいですね」と麻由美さん。
自分たちが作りたい和菓子作りを始めた藤田さんご夫婦。麻由美さんは、配達と義春さんの製造補助を担当していましたが、今では大人の羊羹の製造を任されるように。
2人の話し合いから生まれた大人の羊羹は「黒」と「白」の2種類。「黒」は小豆をベースにドライフルーツとくるみと洋酒を。「白」には、白餡にバターとラムレーズンという和菓子ではあまり登場しない材料も。しかし、この組み合わせ、意外とありなのです!
他にもクリームチーズ餡を入れたどらやきやおやき。塩加減のよい黒豆大福とくるみ大福。今の時期だけのお楽しみ!涼しげな夏限定の水まんじゅう。また、食べられる花エディブルフラワーを使った花おやきはインスタ映えすると人気に!
よし成製菓の和菓子はここで!
もち米は秋田県大潟村の特別栽培米を使用。小豆も秋田県産を使うなど、地産地消にも力を入れている「よし成製菓」さん。これからもっと農家さんとの繋がりを大事に、秋田県産の材料で和菓子作りをしていきたいそう。
秋田市内では、クレタS、お酒のQoobe、コモチヅキなどで購入可能。個別の注文は受けていませんが、納品のタイミングと合えば、引き受けてくださることもあるそうです。納品日は、インスタやfacebookでチェックしてみてください!