今季、クラブ史上初となるBリーグチャンピオンシップ出場を果たしたプロバスケットボールチーム「秋田ノーザンハピネッツ」(以下ハピネッツ)。ハピネッツはスポーツ事業に加えて、さまざまな事業を行っています。その一つが、秋田ノーザンハピネッツのこども食堂「みんなのテーブル」の運営です。こども食堂とは、子どもやその親、地域の人たちに対して無料または価格を抑えた食事やあたたかなだんらんの場を提供する活動のこと。なぜスポーツチームがこども食堂を? そんな疑問を持ちつつ、お話をうかがってきました。
「おいしかった!」と笑顔になる場所に
こども食堂「みんなのテーブル」は、秋田市広面地区にあります。プロスポーツチームがこども食堂を運営するのは初の事例。こども食堂を担当する同社経営企画室の小原諒平さんは「ハピネッツが地域のためにできることを考えるなかで、ひとり親家庭の子どもたちを支えたいという思いが生まれました」と言います。テーブルを囲んで食事をすることで、子どもたちが「おいしかった!」「楽しかった!」と自然に笑顔になるような居場所づくりを目指しています。
みんなに開かれた食堂
「みんなのテーブル」は、火、水、金、土曜日の週4日の営業。メインをA、Bの2種類から選び、ご飯やサラダ、デザートなどの共通メニューを加えた定食スタイルです。アスリートの体をつくる食事を大切に考えるハピネッツ。「みんなのテーブル」でも同様に、管理栄養士が監修した栄養バランスの取れたメニューづくりをしています。こども食堂の中心にあるのは、10人以上が一緒に座れる大きなテーブル。コロナ下のためおしゃべりをしながらの食事は難しいながら、文字通り「みんなでテーブルを囲む」ことを大切にしています。また同店は、だれでも利用することができます。実際に、親子連れに加えて、子ども同士、ハピネッツの社員ら大人同士でも食事を楽しむ姿が見られるそうですよ。中学生以下の利用は無料で、前日までの予約をお願いしています。
ボランティアらがお手伝い
ハピネッツは強力な「ブースター」(ファン)やボランティアで知られていますが、こども食堂の運営も多くのボランティアに支えられています。取材にうかがった日も、営業前のキッチンでスタッフとボランティアの方が和やかに食事の準備をしていました。午後4時の開店時間になると、給仕を手伝うボランティアが加わり、仕事を終えてから食堂の片付けに駆けつける方もいます。大学生や社会人ら20人ほどのボランティアが活躍しています。
手をかけて素材から準備
取材日のメイン料理は、グラタンでした。ホワイトソースから手づくりしたグラタンで、メニューとなったのはこの日が初めて。利用者へのアンケートなどを参考にメニューを決めており、グラタンの要望も多くあったそう。ちなみに、人気のメニューはハンバーグや唐揚げなど。子どもたちの大好きなメニューが日替わりで登場します。
「また来たい」と思えるように
秋田県内のひとり親家庭の子どもの数は約17000人といい(令和元年8月1日時点、秋田県調査)、対して県内の子ども食堂は15団体と決して多くありません。また、子ども食堂の活動は日時や開催場所が限られるそうです。そんな状況のなか、みんなのテーブルは、常設にすることで必要な時、食べたい時に食事をとることができます。「ゆっくり食事をしてくつろいでもらいたい。また来たいと思ってもらえるように頑張っています」と小原さんは話していました。
仕事を持つ親にとって、週に一度でも家族で外食する時間があったらありがたいと思いました。「みんなのテーブル」の運営を長く続けるために、同社では食材の寄付を受け付けています。生鮮食品は使い切るのが難しい場合があるので、できれば冷凍が可能なものや保存がきく食品が喜ばれるそうです。
食堂を利用するのはもちろん、ボランティアや寄付などでも、みんなのテーブルの輪に参加してみませんか?
DATA
【秋田のノーザンハピネッツのこども食堂「みんなのテーブル」】
秋田市広釣瓶町140‐1
営業時間/火・水・金・土曜 16:00~20:00
駐車場/あり
利用料金/中学生以下の子ども 無料
高校生 300円
おとな 1000円
※できるだけ前日までの予約をお願いしています。公式HPの予約フォームをご利用ください。
※おとな料金の一部がこども3人分のお食事代になります。
※ひとり親家庭のご家族は無料でお食事できます。詳しくは公式HPよりお問い合わせください。