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【新春特別対談】食と育児のプロに聞く「子どもの食にとって大切なことは?」

種と実 舘岡春香さん/ここはぐ 小田嶋麻貴子さん

「子どもたちに健康に育ってほしい」というのは、だれもが願うことではないでしょうか。なかでも食生活は健やかな育ちに深く関わっています。2024年の幕開けとして、無添加ケータリング「種と実」の舘岡春香さんと、NPO法人「ここはぐ」の代表・小田嶋麻貴子さんのお二人に、それぞれの立場から子どもの食について語り合ってもらいました。

(右から、素材を大切にするケータリング料理人の舘岡春香さん、子育てのサポート活動をしている小田嶋麻貴子さん)

大人の忙しさが子どもの食にも影響

ー最近の子どもの食について、気になることは何でしょうか?

舘岡 「大人たちが忙しすぎて、子どもたちに手が回っていない」と言われていますよね。今に始まったことではなく、私たちが子どもだった頃から言われていたけれど。それがますます際立ってきたのかなと思います。
小田嶋 今はお仕事をしているお母さんたちが圧倒的に多いですよね。私が子育てしていた時はそれなりに専業主婦もいて、お互いに子どもを遊ばせたりできたけど。今は子どもを早く保育園に入れて働いているお母さんが多いです。
舘岡 大人が忙しいと、例えば家族そろっての食事が難しくなります。それに従って、食事の準備をするところを見たり、お手伝いする機会も少なくなりがち。食に対する興味とか、親が持っている食への思いなどが子どもに伝わりにくくなっているのではと心配しています。
小田嶋 それと、ゲームやスマートフォンがこれだけ当たり前になって、うちもそうだけど子どもがお手伝いをする機会がぐっと減ってしまった。

基本は野菜を入れた味噌汁とご飯

ー子どもの食のために親ができることは?

小田嶋 毎日食事の支度をするということは、本当に大変なこと。私の両親も共働きで、うちは毎日のように鍋でした。お豆腐を切って野菜を切って入れて、味噌か醤油、しょっつるの塩味のどれかにして。
舘岡 温かいものを食べさせようと思ったら、鍋はいいですよね。 
小田嶋 そんなに難しいことはしなくていいと思うの。野菜をはじめとした具だくさんのお味噌汁とご飯が基本です。それを若い世代のお母さんたちに言葉で伝えるのは難しい。だから、私が作ったご飯を持っていって食べてもらう「産前産後カフェさろん」という活動をしています。
舘岡 お母さんたちはどんなことを求めて参加していますか?
小田嶋 子どもを遊ばせる場所と、情報交換の場ですね。私たちのNPO法人「ここはぐ」だと、スタッフが仲介になって会話を引き出したり子どもと遊んだりしています。一日中子どもといるお母さんにとっては、ちょっと子どもと離れて一息つく機会になります。
体重の管理が厳しいから、妊婦さんの中には数字ばかりを気にして食事を抜いてしまう人がいます。でも、お腹がすくから時々お菓子を食べるという。それでは栄養が足りないので、私が作るから食べて、となりました。食べておいしかったら「どうやって作るのかな」と興味がわいて聞きたくなるでしょう?

(ここはぐの「産前産後カフェさろん」で提供している「恩送りごはん」。参加費は、次に参加するお母さんたちの食事に使われます)

子どもは素材そのものの味が好き

舘岡 私が思うのは、赤ちゃんは手の込んだお料理よりも蒸した芋とか、ゆでたとうもろこしとか、塩むすびとか素材そのものの味が好きということ。いろんな材料をまぜこぜしても、一体どれが好きなのか分からない。
子どもが大きくなっても案外シンプルなものが喜ばれます。例えば素材を生かしたお味噌汁。前の晩から昆布と煮干しを水に浸しておいて、それで野菜を煮るなり、時間がなければワカメや麩といった乾物だけでもおいしいですよ。
小田嶋 親にとっては「子どもに健やかに育ってほしい」というのが共通の願いだと思います。私が自分の子どもから教えてもらったのは、生きるということはシンプルで「食べる」「寝る」「出す(排出する)」「遊ぶ」の4つが満たされていればいいということ。食については「この子が健やかに食べるためには」と、考えてみて。食事がおいしいのに越したことはないけれど、何よりもまず十分に遊んでお腹をすかせておくと子どもはもりもり食べますよね。

食卓でビタミン、ミネラルを補う

ー子どもにとって大切な栄養素は?

舘岡 外食や加工食品に頼りがちな食生活で不足するのが、微量栄養素であるビタミン、ミネラルといわれています。さらに、ミネラルのうち亜鉛やマグネシウムは抗ストレス作用などがあります。微量栄養素が足りていないと、どんなに主要な栄養素をたくさん摂っても充分な働きを得られない恐れがあります
またミネラルの摂取は、メンタルの安定を保ちホルモンの働きが正常化されるといわれ、老化や抜け毛の予防になるなど大人にもメリットがあります。例えば、小松菜などの青菜からはビタミンAやマグネシウムなどが摂れます。海藻類にはミネラルが含まれます。

(種と実の「ブッタボウル」は、季節のお野菜と玄米のミネラルや食物繊維がたっぷり)

食卓に「ちょい足し調味料」を

ー手軽にできる、毎日の食の工夫を教えてください

舘岡 生活スタイルを変えずにどう微量栄養素を補うかというと、先ほど紹介したように水出しで出汁を取っておくとか、食卓にちょい足し調味料を置いておくことをお勧めしたいです。具体的には海苔や青海苔をかける、最後にゴマを振るなど。ビタミンCはフルーツをカットしておいていつでも食べられるようにしておきます。お塩を天然のものに変えるのもいいですね。海水のミネラルが含まれています。
それから、お米を炊く時ににがりを少し加えるのもいいですよ。にがりの成分、マグネシウムを補うことができます。米に2合に対して大さじ1くらいまでなら、味にも大きな違いはありません。スーパーの塩のコーナーで手に入ります。毎日食べるご飯だと、習慣にしやすいですよね。


ー秋田のお母さんたちへメッセージを

舘岡 一緒にご飯を食べる時はとにかく楽しくおいしく!を心掛けてほしいです。ちょい足し調味料など食卓に仕掛けをして、効果を楽しみにしてください。それから、秋田はとても食材が豊富な地域。海、山、川、田畑の全部があるので、自然の恵みをたくさん味わってもらいたい。保存食の知恵など独特の文化も豊かです。
小田嶋 親が「おいしい、おいしい」と幸せそうに食べていると、子どもにも伝わりますよね。私が「恩送りごはん」の活動をしているのはみんなでおいしく食べることと、次のだれかのためにという思いを大切にしたいから。「自分の子だけよければいい」という子育てはしんどいです。子どもをみんなで見守り合って、育て合う場所があるといいと思います。

(以前から親交のあるお二人。自分たちの経験や子育てのことなど、話題は尽きませんでした)

子どもの時の体験など、食についてお話を伺うのが楽しかったです。お二人の「具だくさんの味噌汁とご飯が基本」という考えに共感しました。日々の料理を楽にしてくれる言葉だと思います。「料理に正解も間違いもない」というお話にも励まされました。おいしく感じられたら、それでいいということ。私も自分の感覚を頼りに、水出しのお出汁で味噌汁を作ってみようと思います。

※取材協力/Nice Time Coffee

DATA

【舘岡春香さん】
「無添加ケータリング種と実」主宰。
安心安全な県産食材やオーガニック食材を使った料理を提供。お弁当やケータリングを中心に活動し、イベントではパンやお菓子なども販売する。できるだけ手を加えずに、素材そのものの味を楽しめる調理を心掛けている。おいしさに加えておしゃれなディスプレイも人気。「むすひたね富」として出張おむすび店の活動も。秋田市在住。中学生のお母さん。
instagram FB

【小田嶋麻貴子さん】
NPO法人・ここはぐ代表。
「ここはぐ」は産前産後ケアや子育て中の家族のサポートを行っている。妊娠期から子育て期の女性を対象に「産前産後カフェさろん」やイベントを定期的に開催。赤ちゃんとその家族が安心して身体と心を整えながら過ごせる「産前・産後ケアハウス」を実施している。秋田市在住。高校生から小学生の3人の子どものお母さん。
HP FB

キーワード

秋田県内エリア

Writer

FukudaNaoko

FukudaNaoko

2013年より、子育て世代向けにライター活動をしています。日本語や英語で絵本を読む「よみ語り」の活動も続けています。子育て環境、手仕事全般に興味があります。高校生、中学生の2児の母。

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