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笑顔も泣き顔もすべてが成長の証。「いい思い出」と言える一枚を届けたい

フォトグラファー kiiro photo 成田舞子さん

フォトグラファーの成田舞子さんは、2015年に新潟から夫の実家がある秋田市に移住し、「kiiro photo(キイロフォト)」の屋号で活動しています。すぐに予約が埋まることもある人気フォトグラファーであり、プライベートでは3人の男の子のお母さん。子育ての大変さが分かるからこそ撮れる写真もあるそうです。仕事と家庭、撮影への思いを伺いました。

フォトグラファーになった経緯

ーkiiro photo(キイロフォト)の由来を教えてください。

成田 私のなかで幸せの色といえば黄色のイメージでした。それに加えて、長男が最初に覚えた色が黄色だったんです。言葉を覚えるのがゆっくりだったので、それも印象深くて「kiiro photo」になりました。

ーどんな経緯でkiiro photoを立ち上げることになったのでしょうか?

成田 以前は大手の子ども写真館で店長として働いていました。長男出産後は写真から離れてパートをしながら子育てをしていましたが、慣れない場所での生活や初めての育児に疲れて気持ちも落ち込む日々でした。そんな時、夫に「やりたいことをやってみたら?」と言われ、考えて出した答えが「フォトグラファーとして独立すること」だったんです。写真館時代の友人が独立したのがうらやましくて、「私も好きなことを仕事にしたい」と思って。それから、お客様のご自宅や屋外での出張撮影をはじめました。

(屋外でのロケーション撮影 ※写真提供 kiiro photo)


ー実際に独立してみてどうでしたか?

成田 浅はかだったなと思いました(笑)。撮影前後にすることがとにかく多くて。予約の受付、撮影内容の相談に撮影後の編集作業。出張撮影の際は準備と確認、現場に着いたらセッティング・撮影・撤収…と、撮影時間は短くてもそれに伴う作業が大変だと独立して実感しました。
今はアシスタントさんがいてくれて楽になった部分もありますが、その反面、お客様も増えてお断りしなくてはならない場合も出てきました。なるべく断らずに済むよう効率を上げるのが今の課題です。

kiiro photo の撮影スタイル

ー成田さんの写真の人気のポイントはどんなところでしょうか。

成田 ばっちりクリアな写真というよりは逆光を意識したほんわかした写真を撮ることが多いです。そのためか、お客様からは「あったかくて柔らかい雰囲気が好き」と言ってもらえることが多いです。

(七五三撮影 ※写真提供 kiiro photo)

ー成田さんの人柄も写真に表れている気がします。人気の撮影メニューは何ですか?

成田 ニューボーンフォトと誕生日の撮影が多いです。桜の時期の撮影や七五三も人気ですね。ロケーション撮影は天候に左右されるのでその時期は念入りにリサーチします。桜や紅葉についてはだいぶ詳しくなりました(笑)。

(桜の季節の撮影 ※写真提供 kiiro photo)

ーニューボーンフォトは撮影も大変そうですね。

成田 おくるみの巻き方も難しいし、赤ちゃんの寝かしつけもあります。赤ちゃんの初めての撮影なので、体調を考慮して部屋の環境も整えなくてはならないんです。でも、ふにゃふにゃの新生児を託される親御さんの気持ちを考えると気合が入ります。
ニューボーンフォトは講習を受けて赤ちゃんやお母さんのことをしっかり勉強して臨んでいますが、安全性もクオリティももっと極めていきたいです。

(人気のニューボーンフォト ※写真提供 kiiro photo)


ー撮影で心がけるのはどんなことですか?

成田 カメラ目線や笑顔だけでなく、下や横を向いているところ、手足、泣き顔などいろんな写真を撮るようにしています。もちろん、記念写真としてきちんと残すため、良い表情が出るように子ども写真館仕込みの声かけもします。

(※写真提供kiiro photo)

ー2022年にスタジオを構えてから、仕事の内容に変化はありましたか?

成田 お客様の自宅で出張撮影をしていた頃は、着くまで雰囲気が分からず予想と違っていた時もあって、撮れる写真も限界がありました。お客様はSNSを見て「こんな風に撮ってもらえるんだ」と期待して選んでくれるのにそれに応えられないのが心苦しくて。スタジオができて理想に近い写真が撮れるようになりました。また、貸切撮影なので、人見知りや場所見知り、動き回るお子さんも時間を気にせず撮影できます。
拠点があることでハンドメイド作家さんやぺたぺたアートなどとのコラボ撮影も定期的にできるので、活動の幅は格段に広がりました。

(ぺたぺたアートとのコラボ撮影会 ※写真提供kiiro photo)

子育てとの両立の難しさ

ー3人の男の子のお母さんと、仕事との両立は大変ではないですか?

成田 子どもは体調を崩すことも多いし、一人の具合が悪くなると連鎖するのでそういう時はやっぱり大変です。「撮影はないけど編集に充てようと確保した時間」が看病になったり、体調は戻ってもまだ登園できないという時は遊び相手もしないといけなかったり。子どもといる時はメールの返信も難しいので、「仕事は子どもと離れている時に」と割り切ってなるべく家に持ち込まないようにしたいと思っています。なかなか難しいですが。(苦笑)


ーご家族の協力はありますか?

成田 週末に撮影がある時は、夫が一人で3人の相手をしてくれます。平日も積極的に家事をしてくれるので嬉しいです。休みの日はみんなで出かけることも多いですね。1人で3人を世話する大変さは嫌という程分かるので、夫の負担も軽減できるようにしたいなと思って、家族の時間と仕事の良いバランスを探っているところです。

(悩みは尽きないけど仕事も家庭も大事にしたいんです、と成田さん)

良い写真を撮りたいという想い

―やりがいはどんなところですか?

成田 やっぱり喜んでもらえることですね。「頼んで良かった。次も絶対にお願いします」と言ってもらえるのが嬉しいです。あとは、良い写真を撮りたいという気持ちが強くなってきたこと。他の人から見たら良い写真なのかもしれないけど、自分の思い描いていたものとは違うこともあって。撮りたい写真を撮るために構図や理想のテイストをめちゃくちゃ研究します。お客様も自分も納得できる1枚を撮りたいです。

最大の強みは、お母さんであること

ーお母さんになって仕事に変化はありましたか?

成田 独身時代に子ども写真館で働いていた頃は、笑顔の写真を撮ることが全てでした。でも自分が実際にお母さんになると、泣くのも緊張して固まるのも笑って思い返せる大切な成長だと分かって、気負わずに撮影できるようになりましたね。

ー今後の活動についての思いを教えてください。

成田 私自身が、子どもはモンスターだということを体験して知っているので、悩めるお母さん達に寄り添って撮影したいです。黙っていられない子がいるのも当たり前。申し訳なさそうにしているお母さんには大丈夫と声をかけたいですね。「私も大変だったよ」と、そんな会話をしたくてこのスタジオにいるのかもしれないと思う時もあります。安心してお子さんを託してもらえるような心強い存在になれたら嬉しいです。

普段はほんわかした雰囲気ですが、写真の話題になると真剣な表情に変わる成田さん。「笑顔じゃなくても、時が経てば成長を感じる思い出になる」と実感を込めて話していました。撮影した写真には、成長を願う親御さんの想いとそれを見守る成田さんの優しさもそこに表れているような気がします。

DATA

【成田舞子さん】
新潟県出身。2015年、夫の実家がある秋田市に移住。
大手子ども写真館店長を経てkiiro photoとして独立。
ニューボーンフォトなどをメインに子供やファミリー向けの撮影をしている。季節やイベントに合わせて開かれる撮影会は予約開始から数分で埋まってしまうことも。3児の母。

【kiiro photo(キイロフォト)】
予約方法や撮影会の情報などはInstagramから
Instagram

Writer

オカ ヒロコ

オカ ヒロコ

ライターであり、フリーアナウンサー。取材や執筆のほか、ナレーション、MCもします。気になる場所や人を見つけたら話を聞きたくなっちゃう知りたがり。食、子育て、おでかけ、頑張る人、幅広く発信します。 大仙市出身。2児の母。

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