現在、秋田更生医療センターにお勤めの赤坂未幸さんは、9歳の女の子、6歳、3歳の男の子のお母さん。と伺っていたのですが、取材に訪れるとお腹に4人目のお子さんがいることが判明。初めてつわりを体験しているそうで、「ちょっと気持ち悪くなっちゃったりして、そんな自分に酔っています(笑)」との言葉に、驚きながらも楽しい取材がスタートしました。
産休・育休を取りながらキャリアを積み重ねて13年
「もともと小さい頃から人のお世話をしたかった」という赤坂さん。身近に要介護のおじいさんがいたことから介護に興味を持ちましたが、“食べていける仕事”という理由も含めて看護師を目指しました。
「想像していた仕事内容とは違っていましたが、楽しくやってこれたかなと思います。もともと話すのが嫌いじゃないですし、患者さんに『あなたでよかった』『赤坂さんには話しやすい』と言われたり感謝されたりすると、うれしいし励みになります」。
そう朗らかに話す赤坂さんは、現在、秋田更生医療センター(旧・秋田組合総合病院)に入職して13年目。産休・育休を取るごとに、腎内科・脳外科・整形外科・循環器科・外科とさまざまな科に配属されてキャリアを積み上げてきました。
子育てしやすい勤務体制で勤められる職場の理解
一人目の妊娠時から看護師長さんにさまざまなことを相談していて、育休は1年間、ご主人のお仕事の都合から日曜・祝日はお休み、準夜勤免除などの配慮をしてもらっているのだとか。「保育園や学校行事に合わせて休みを調整してもらっているので本当に助かってます!」。
日勤→日勤の場合は22:00に寝て6:00起き。日勤→深夜勤の場合は、日勤後21:00過ぎに一度寝てから23:30に起きて仕事へ。深夜勤明けの9:00以降は自分の時間を満喫するために、一人で焼肉を食べに行くことも!
年に2回、看護師長による個人面談があり、「やりがいはどれくらいか」や「やりづらいことはないか」などを10段階で詳しく聞かれます。「師長が『たくさん産んでもいいんじゃないですか』と言っていたら、本当にその通りになりました(笑)」と話す赤坂さんからは、職場での良好な関係性がうかがえます。病院には同期の看護師さんがたくさんいて、結婚・出産後に復帰している人も多いんだそう。ちなみに産前の夜勤はほとんどの人が31週まで続けているとか。看護師さん、たくましすぎます!
職場での赤坂さんについて、看護師長の佐藤敏光さんにお話を伺ってみました。「赤坂さんは、常に前向きでハキハキと嫌味のないところがいいんですよ。私はよく『気がつく・気がきく・気が回るように』と言っているんですけれども、赤坂さんはまさにそれですね」。患者さんの体調の変化にすぐに気づいたり、患者さんがより快適に過ごせるよう備品の配置を変えたりと、気づきから動きまでが早いそうです。
佐藤看護師長さん曰く、医療の技術や知識があることは大前提の上で、看護師でもっとも大事なのは人間性とのこと。個人面談など職場環境を整えるための取り組みは、患者さんのアンケートに書かれることが増えたという“看護師への感謝”の声に反映されています。撮影時も、職場内がいい雰囲気に包まれているなぁと感じました。
家庭的なご主人が家事育児をバックアップ
毎回育休を1年取得して職場復帰していますが、気になるのは夜勤のときお子さんの様子です。「うちは主人が育児に協力的ですし、子どもたちもあまりぐずらなかったので、その点で大変だったことはそれほどないですね〜」。お仕事が自営のご主人は、イクメンなだけでなく家のことも率先してやってくれるそう。なんと理想的な!「常に『助かる〜』と言っています(笑)」。
時間があるときにはお子さん一人一人と過ごせる時間を作り、どこに行きたいか、なにを食べたいかをまずリサーチ。娘さんは「回転寿司」、息子くんたちは「おさんぽ」「動物園」など、それぞれの希望を叶えるように心がけています。
超便利!ご近所ママさんとアプリで連係
マンション住まいの赤坂さんには、同じマンション内に育児を助け合う仲間が2家族います。お互いの娘さんたちの年が近く、小学校入学前からのお付き合い。“大人がいるお家で遊ぶ”という条件のもと子どもを遊ばせるため、まめに連絡を取り合ってきましたが、今ではアプリで3家族のスケジュールを一括管理するようになりました。
(2016年春から使っているカレンダー共有アプリ「Time Tree」。色別に表示されるから一目瞭然!)
「共有カレンダーにそれぞれの親の仕事や子どもの習い事を書き込んで、月初めに集まって打ち合わせするんです。出張でお母さんがいない日はうちに泊まらせたり、予定が合う日はランチに誘ったり。気を遣わなくて済む関係でいられるので、本当に人にも恵まれてるな〜って思いますね」。
取材中、常に笑みの絶えない赤坂さんに、緊張する場面があるのか伺ってみると…。「やっぱり病院に向かう道中では心拍数が上がりますよ。そこでスイッチが切り替わるんです。産休明けなんかは病院を見るだけでドキドキしましたよ(笑)」。
『屈託ない』という言葉がぴったりの赤坂さん。取材中、私が自分の肩をさすっているのに気づくとすかさず「湿布出しましょうか?」と言うが早いか、それを取りに動き出すという身のこなしに、(これが適性というやつか…)と感心せざるを得ませんでした。しかし最先端ツールをつかったご近所付き合いには恐れ入りました!
【赤坂 未幸(みゆき)さん】
1982年生まれ
大仙市太田町出身
角館高校、日本赤十字秋田短期大学卒業
2003年、秋田組合総合病院(現・秋田更生医療センター)に入職。