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お母さん

「フードバンクあきた」子どもたちの笑顔のために、身近でできる食糧支援を

子どもの貧困の実情を知った母親たちが立ち上げた組織

皆さんは、行政機関やスーパーマーケットなどで、このパネルやのぼりを見たことはありますか?これは各家庭や企業で眠っている食料品を回収し、地域の生活困窮者や児童・福祉施設などに食糧支援をしている活動「FOOD DRIVE(フードドライブ)」の<食料回収先>という目印です。

この活動を中心に、生活困窮家庭の児童に対する制服や学用品の提供、さらに食堂の実施などを通して自立支援を行なっている「一般社団法人 フードバンクあきた」。その組織の立ち上げから3年が経った現状について、代表の林 多実さんにお話を伺いました。


(フードバンクあきた代表・林さん)

「実は自分の身近にも、子どもの貧困があるという事実を知ったことが、組織立ち上げのきっかけでした」。林さんのお子さんが小学生だった頃、ある女児がいつも体育着をスーパーのビニール袋に入れているため、学校から「余っている体育着袋があれば譲ってほしい」と連絡があったこと。また、ある子どもの暴力は、朝に食べる物がなくてお腹をすかせていたことが原因だったこと。

その現実に直面した林さんは、全国でフードバンクの取り組みが広がっていることを知り、同じく子育ての学習会に参加していたお母さんの有志数名で2015年2月に組織を立ち上げ、2016年に法人化されました。

現在は、スタッフ1名とボランティア8名のサポートのもと、行政や社会福祉協議会に問い合わせの窓口になってもらうなど、各所と連携しながら活動を続けています。

家族団らんの時間が少しでも増えることを願って

ある母子家庭のケースでは、その母親の両親に頼れない状況から行政に相談に行ったところフードバンクあきたを紹介され、それから食料の定期支援を受けています。

「毎月、親子3人で箱を開けるのを楽しみにしているそうです。私はそこのお子さんに『学校であったことはお母さんに言うんだよ』『ちゃんと勉強するんだよ』などと話したり。お母さんの表情もはじめは暗かったのが、だんだん明るくなってくるんですよね」。

週末に数百円しかなく、1日2食をふりかけご飯のみでしのいでいた親子が、フードバンクあきたを紹介された時に見せた安堵の表情。口論しながら高校の制服を探しに来た親子が、制服が見つかって「よかったね」と喜び合って帰った時の姿。そのような光景を目の当たりにすると、「やっぱりこの活動は必要なんだ」と実感するんだとか。

交流がある保護者間で制服を譲り合うことはよく見られるそうですが、大黒柱として働くひとり親は交流の時間を持てないという現実があります。「孤立が貧困につながりますから、どこかで誰かとつながっていることはとても大事なことなんです」と林さんは言います。

困っている人が「困っている」と言える社会に

秋田市のセンタース(中央市民サービスセンター)で定期的に実施している<食堂>では、食事を提供するだけでなく、調理から食器洗いまでを集まったみんなでこなします。

もともとは一人で食事をする<孤食>の子どもが少しでも減るようにと始めましたが、<子ども食堂>が認知されはじめると、子どもに「貧困だと思われるから行ってはいけない」と言う家庭も出てくるように。そのため、今は定義を決めないでざっくりと食堂を開いています。


(今年9月に開催された「みんなdeごはん」のメニュー。豚汁・タコ飯・ほうれん草のパウンドケーキ)

「本当に必要としている人に支援を届けるにはどうすればいいのか、今も模索しながら活動しています。こちら側が傲慢にならずに、相談しやすい場所になれるように。

それと『困っているのは自分だけじゃない』ということを知って欲しいです。ダブルワークなどで親が不在がちな子どもにとっては、『誰かが自分に関心を持ってくれている』ことが分かるだけで気持ちが違うんですよ」。

自分で歩く力をつけてもらうためのサポートを

フードドライブ活動は県内で着実に広がっていて、2016年度は約4.1トン、2017年度は約7.8トンの食料提供をしています。フードドライブ実施先も、大手スーパーマーケットや市民サービスセンターなど、目に留まりやすい場所でも見られるようになりましたが、副食が不足しがちなどまだまだ課題もあります。(フードドライブ実施先や提供できる食料品はこちら


(事務所の一室に備蓄されている食料品)

(子どものいる家庭には菓子類を多めに入れるなど、家庭事情を考慮した内容で箱詰めします)

「回収された食料品を見ると、わざわざ買ったものを入れてくださっている方もいるんですよね。ただ、簡単に食料をもらえると分かると努力しなくなるケースもありますので、私たちはあくまでも自立してもらうためにサポートするという立場で支援したいと思っています」。

例えば生活保護を申請して無事に通っても、受給できるのは約2週間後。「でもフードバンクにつながれば、その間をしのぐことができます。フードバンクは、そういう国の制度の隙間で活動しているんです」と言う林さんの切実な表情が心に残りました。
冬休みなど長期休暇は学校給食がないので、支援が必要な家庭が増えるそうです。ぜひ一度、皆さんも関心を持ってみませんか?

【一般社団法人 フードバンクあきた】
秋田市土崎港西2丁目3-24
TEL・FAX/018-845-2868
営業時間/AM10:30〜PM4:00
定休日/土曜・日曜・祝日
メールアドレス/info@foodbankakita.com
ホームページ
フェイスブック

Writer

熊谷 清香

熊谷 清香

地元タウン誌や広告代理店勤務を経て、フリーランスで企画・編集・取材・インタビュー・ライティング等をしています。中高生の母。秋田市出身。

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