秋田の女性のWork&Life a.woman

9SEPTEMBER
2019

今月のCLOSE UP

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楽しく暮らすために。多くの人に出会える行商スタイルで自家製野菜のお菓子を届ける

ホタルビ堂 吉岡 千恵さん

店舗を持たずに、イベントや朝市などで出店している「ホタルビ堂」。吉岡千恵さんが手がける自家製野菜のキッシュやチーズケーキが評判となり、オープンするやいなや多くのお客さんが集まる人気店となっています。その人気の秘密を、工房のあるご自宅に伺って聞いてきました。

価値観を一転させた山形の農村での暮らし

ーホタルビ堂といえば、自家製野菜ですよね!野菜づくりを始めたきっかけを教えてください。

吉岡 10年前に主人の転勤で山形の新庄市に行くことになったんです。そこがいわゆる農村地帯といった土地で。それまでは割と都市的な暮らしをしていて消費することが楽しい感覚だったので、買い物をしたり遊ぶ場所がないことがストレスになっていました。

何をしようかと思いながら毎日過ごしていたところ、主人の同僚など周りに兼業農家をしている人が多くて、じゃがいも掘りとかの農作業に誘われるようになったんです。バーベキューをしても、みんなが自分の畑で取れた野菜を持ってきたり。近所の川にくるみの木があって、そこで初めてくるみの育ち方や収穫の仕方を知ったり。

周りを見ると、自然が身近にあったんですね。それで、おいしく食べられるものをと、SNSを通して知り合った主婦の友達と2人で畑を借りて、野菜づくりをするようになりました。

買っていたものを自分で作り、それを料理して味わうってことが楽しくなって、価値観がガラリと変わって。下の息子をおんぶして種まきして、起きたら畑で遊ばせて、お昼は採れた野菜をおいしいねって食べる。そんな毎日でした(笑)

ーそこからどのようにホタルビ堂へと発展していったのでしょう?

吉岡 ある日、いつものように畑仲間の友達と畑仕事を終え、収穫した野菜を料理して食べていると、その子に「新庄市内に日替わりで出店できるシェアカフェがあるから一緒にやってみない?」と言われたんです。元々お菓子づくりが好き、人を呼んでもてなすことが好きだったのもあって、それをきっかけに、専業主婦だった2人でカフェを始めました。

その中で野菜をたっぷり入れたキッシュやチーズケーキなどの今のメイン商品が生まれて、少しずつイベントにも出店したりしていましたね。


(ホタルビ堂の看板メニューとも言えるキッシュ)


(断面も美しく、野菜がみっちりと詰められています)


(キッシュやチーズケーキは通販でも販売中)

ー6年前に秋田へと戻られたそうですが、そのまますぐにイベント出店などを始めたのですか?

吉岡 秋田に戻ってからも主人のおばあちゃんの畑を借りて野菜づくりは続けていましたが、出店は一旦お休みしてました。その間はいろんな種類の豆を作るのにハマったりして(笑)


(吉岡さんが育てた豆たち。1つ1つ個性があって見ているだけで飽きないそう)


(安心して食べられるものをとの想いから、野菜は無農薬または減農薬で育てています)

吉岡 ただ、いずれはもう一度お菓子づくりの仕事をしたいと思っていて、4年前に家を建てた時に、製造許可が取れるようにキッチンを工房として設計してもらったんです。

完成内覧会で来てくれた方々に自分で説明していたら、潟上でスーパーをやっている方がいらっしゃって。その場でお話をして、翌月から出店させていただけるようになりました。それからも出会いが繋がっていろんなお声がけをいただき、出店することが増えていきました。

ー現在はどのくらいの頻度で出店をしているのですか?

吉岡 多い時だと毎週末どこかのイベントに行っています。出会いやチャンスを逃さないよう、お声がけいただいたり、興味があるところへはどんどん出ていきたいなと思っていて。人と会うのがすごく好きなので、いろんなところに行って毎回違う方と会えるのが刺激的で面白いんです。

店舗がないので、タイミングが合って来てくれた方へできるだけ多くの種類をご提供したいなと思って、常に内容を変えて10種類前後をご用意しています。


(キッシュやチーズケーキもそれぞれ複数種類が並びます)


(オープンするとまたたく間に行列ができることも)

多忙の中でもう一度あり方を見つめ直した

ーとはいえ、毎週となると仕込みも大変ですよね。店舗は持たないのですか?

吉岡 実は去年、あまりに出店が増えてお菓子づくりが辛いと感じるくらいになってしまったんです。そもそもホタルビ堂は、自分たちが楽しく暮らすために始めたものなんですよね。愛着のある育てた野菜をありがたくいただく、その副産物というか。

パンク寸前になった時に、これじゃあ本末転倒だなと思って。ホタルビ堂は私にとって、あくまで生活の中に生まれた楽しみの一部分で、人を喜ばす表現の1つなんだと気づいたんです。

家族や親友が、洗い物や梱包、運転など細かいサポートをしてくれるようになったおかげで、今は同じ量でも楽しみながらできるようになりましたが、店舗を持つことは考えていません。最初の気持ちを忘れないためにも、暮らしの中で作って、たくさんの人に出会いながら売るという形を続けていきたいです。


(T-FARM.のビーツとコラボして作ったキッシュ)

ーこれからの展開についても教えてください。

吉岡 イベントでいろんな業種の方に出会いがあるので、お菓子にこだわらずに面白いなと思う方向に向かっていきたいです。

農家さんとの繋がりも広がってきているので、自分たちで育てるのは難しい野菜とかを分けていただいて、新しいメニューにしたり。あとは最近エステの資格もとりました。それもやっぱり自分が好きで興味があることだったので、もっと深めたいと思って。

生活を楽しむことを忘れずに、自分ができることなら何でもやりたいことをやって暮らしていきたいと思っています。

ホタルビ堂はあくまで「生活の楽しみの一部分」。そんな想いが詰まっているからこそ、吉岡さんが手がけるキッシュやチーズケーキは、多くの人に喜ばれているのかもしれません。バランス感と軽やかさを手に入れた吉岡さんがどんなお菓子を作っていくのか、これからも目が離せません!

※写真の一部はホタルビ堂提供

【吉岡千恵さんプロフィール】
宮城県出身。2児の母。夫の山形県への転勤を機に、専業主婦に。2009年から山形で野菜づくりを始める。2015年に秋田で自家栽培の無農薬、減農薬野菜を使ったキッシュと焼き菓子の工房「ホタルビ堂」の活動をスタート。秋田、山形、岩手などで開催される数々のイベントに出店し、各地で完売するほどの人気を集める。

ホームページ
Facebook
Instagram
通販サイト マコラガ(ホタルビ堂)

【近日中の出店予定】
9月14日(土) 仁井田の朝市
9月14日(土) obogi 「お菓子の日」納品
9月14日(土) ハンドメイドショップsunny納品
9月22日(日)・23日(祝) サムカゼトクラフト

この記事を書いたライターこの記事を書いたライター

mitaslab.

日々ときどき旅。日常と非日常を行ったり来たりしながら、毎日をアップデートするひとりプロジェクトをしています。現在は二拠点生活に挑戦しながら、フリーライターや企画で活動中。

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