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【緊急インタビュー】秋田もコロナで小中高が臨時休校。家庭でできることを専門医に伺いました!

新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策として、3月2日から秋田でも小中高の学校が臨時休校になりました。

家庭で気をつける事は?休校中の子どもはどう過ごしたらいい?「もしかしてコロナ…」と思ったら?
多くの人が抱えている不安や疑問について、日本感染症学会専門医・指導医の池島進先生(大館市立総合病院 内分泌代謝神経内科)にお聞きしました。※2020年3月3日インタビュー

日常的に、家庭でできる感染予防対策について

Q 加湿・換気は必要ですか?

池島先生加湿はコロナウイルスに対して有効というより、加湿をすることで喉の粘膜を保護するので、体の防御力が高まるため感染予防策としては有効です。ただ、湿度の高い閉鎖空間で感染が広がったという報告もあり、現時点では加湿を積極的には勧めません。また、加湿器が汚れていると他の感染症を引き起こすリスクがあるので、使用する場合はしっかりメンテナンスするということが基本です。

換気について、コロナウイルスは基本的に空気感染をしないと言われているので、効果は分かりません。もし、感染者が密閉された空間にいる場合は、くしゃみや咳によって撒き散らされたウイルスが空気中に漂い、その空間が狭ければ狭いほど飛沫に触れる機会が増えて感染のリスクは高まります。なので、できれば換気はした方がいいと思います。

Q カバンや小物といった、持ち物の消毒は必要ですか?

池島先生:普段の生活の中で使用する物について、帰宅するたびに拭く必要はありません。ただ、体調の悪い人が触ったことが分かっている物については、アルコールで拭くなどの消毒をした方がいいでしょう。
掃除や洗濯といった日常の家事についても、普段通りに清潔を保つよう心がければ大丈夫です。

Q 免疫力を上げる食べ物はありますか?

池島先生:いろいろな情報が飛び交っていますが、これを食べれば免疫力が上がる! という特別な食べ物はありません。三食バランスのいい食事をして、しっかりと睡眠をとることが大事です。

休校中の子どもたちの過ごし方について

Q 友達と会うのはOKでしょうか?

池島先生:大人も子どもも同じですが、基本的なマナーとして、体調が悪い時は出歩かない、人に会わないというのが大前提です。その上で、体調の良い子たちが少人数集まって遊ぶのはいいでしょう。
もちろん、誰とも会わなければ感染のリスクはゼロです。でも長い休みの期間、友達と会わないことが子どもたちの精神面に与えるマイナスの影響を考えると、適度に遊ぶのはOKだと思います。その際に、集まる人数が増えれば増えるほどリスクが高まるということは考えた方がいいでしょう。

また、室内で、人が触る物が多い場所(例えばゲームセンターなど)は感染リスクが高まります。公園のような外で遊ぶほうが、リスクは少ないと言えます。友達同士で家を行き来する場合は、その家に体調の悪い人がいないということが大前提です。

Q うがい・手洗い・マスク使用について、気をつけることはありますか?

池島先生うがいについては、あまり効果が無いと言われています。

手洗いは大事です。外から帰ったら必ず手を洗いましょう。実は、ウイルスを落とすくらいにしっかりと手洗いをするのは大人でも難しいものです。時間をかけて指先から指の間までしっかりと洗う方法を、この機に子どもと一緒に練習してみるのもいいでしょう。

マスクについては、予防効果はあまり無いようです。CDC(米国疾病管理予防センター)のガイドラインでは、「体調が悪くなければマスクをつける必要はない」としています。
体調の悪い人がマスクをすることで、他の人に感染させるリスクを下げる効果はあります。

マスクの正しいつけ方は、鼻からあごまでしっかりとかぶせること。隙間が無いようにすること。外すときは、耳にかけたゴムの部分をつかんで外し、そのままゴミ箱に捨てること。
気をつけなければいけないのは、予防のためと思ってマスクをしていて、外すときにマスクの布の部分を手で触ってしまい、マスクについているウイルスが手につく可能性もあるということです。子どもは特にマスクの取り扱い方が分からないので、良かれと思ってマスクをして、かえって感染のリスクを上げてしまう可能性もあります。
マスク着用が義務付けられている集まりに参加する場合は仕方ないですが、体調が悪くない時はマスクをしない勇気も必要です。

もしかしてコロナに感染したかも? と思った時の対処法

Q コロナウイルス感染症の一般的な症状について教えてください。

池島先生:人によってそれぞれですが、喉の痛み、鼻水、咳、熱といった普通の風邪と同じような症状です。多くの人が軽い風邪の症状で、中には無症状の人もいます。子どもへの感染の報告は非常に少ないですが、大半が軽症で経過しているようです。ただし、喘息など基礎疾患がある場合は、早めに主治医への相談が必要かと思います。

Q 病院に行く目安について教えてください。

池島先生風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く場合、強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合は、あきた帰国者・接触者相談センターに相談をしてください。いきなり病院には行かないでください。

あきた帰国者・接触者相談センター TEL018-866-7050(24時間受付)

妊婦さん、高齢者、基礎疾患(糖尿病・心不全・呼吸器疾患)のある方、透析を受けている方は、上記の症状が2日続いたら相談してください。

現時点(2020年3月3日)では秋田県内に感染者が報告されていないので、コロナウイルスに感染している可能性は、都心部や北海道などに比べて低いと考えられます。
普通の風邪の症状の場合は、家で安静にしてゆっくりと休み、回復させるのがベストです。軽症なのに検査を受ける必要はありません(※理由を後に記載しています)。

Q 家族に体調の悪い人がいる場合、どのような対応が必要ですか?

池島先生:感染が疑われる人が家族にいる場合は、厚生労働省から発表された8つのポイントに従ってください。
1.部屋を分ける…食事や寝るときも別室で。本人は極力部屋を出ないようにして、トイレやお風呂など共有スペースの利用は最小限にする。
2.感染者のお世話は限られた人がする
3.マスクをつける…使用したマスクは他の部屋に持ち出さない。マスクの表面に触らない。マスクを外したあとは、必ず石鹸で手を洗う。
4.こまめに手を洗う…石鹸で手を洗い、アルコール消毒をする。洗っていない手で目・鼻・口などを触らない。
5.換気をする
6.手で触れる共有部分を消毒する…ドアの取っ手、ベッド柵などは、薄めた市販の家庭用塩素系漂白剤で拭いたあと、水拭きをする。トイレや洗面所は、通常の家庭用洗剤ですすぎ、家庭用消毒剤でこまめに消毒をする。洗浄前の物を共用しない。特にタオルは共用しない。
7.汚れたリネン、衣服を洗濯する…体液で汚れた衣服、リネンを取り扱う際は、手袋とマスクをつけ、一般的な家庭用洗剤で洗濯し完全に乾かす。
8.ゴミは密閉して捨てる…鼻をかんだティッシュはすぐにビニール袋に入れ、室外に出すときは密閉して捨てる。その後、すぐに石鹸で手を洗う。

コロナウイルスはアルコールで消毒できるので、感染が疑われる人が触った物や場所はアルコールでこまめに拭いてください。

秋田県の皆さんへ、池島先生からのメッセージ

今後、県内に感染者が出るのか、このまま終息するのか、注意深く動向を見ていくことになりますが、大事なのはパニックにならないことです。
今の時点では、一部の人は重症化していますが80%の人は軽症で回復しています。今後、感染者の数が増えれば増えるほど(軽症者を含めた母数が増えるほど)、致死率・重症化率は下がっていきます。現時点では、新型コロナウイルス感染症は、それほど重症化率の高い病気でないことも分かってきています。
このまま終息していけば、コロナウイルスは消えていきますが、全国的に蔓延したら新型インフルエンザのように共存していくことになります。新型インフルエンザも、最初は波紋を呼びましたが、今は毎年感染者がいても普通のインフルエンザと同様に対処していますよね。それと同じです。必要以上に怖がることはないので、冷静に対応をしていくことが大事です。

今は、コロナウイルス感染が疑われる場合、あきた帰国者・接触者センターに相談をするというのがファーストステップですが、今後は状況に応じて変わるかもしれません。最新の情報は厚生労働省のホームページに掲載されているので、確認をお願いします。
コロナウイルスに関しては、まだ分かっていない部分もあります。そしてどんな病気の予防や治療についても100%ということはありません。その中で、より良い対策についてお話ししました。

池島先生、ありがとうございました。大人がパニックにならずに日常生活を送ることで、子どもたちも落ち着いて過ごすことができますよね。冷静に、正しい情報に従って行動することが大事ですね。

【参考資料】
・新型コロナウイルス感染症に係る知事メッセージ(令和2年2月28日)→こちら
・ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合 家庭内でご注意いただきたいこと〜8つのポイント〜→こちら
・新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安 →こちら

(※軽症の人が検査を受ける必要がない理由)
1人の患者さんを検査するためには、その人を隔離する空間を仕切り、防護服を着たスタッフがその人を誘導し、保健所の人を呼び、検体を取って秋田市に運び、検査をするという手順を踏むことになります。とてもたくさんの人が関わることになるので、軽症の人が来るたびに検査をしていたら、本当に重症な人(コロナウイルス以外の病気の人も含め)の治療が後手後手になって医療が破綻します。仮に、検査を受けて新型コロナと診断されても、特に特別な治療法は現時点でなく、自身の免疫力で治す事になります。また、病院自体が感染リスクの高い場所ですから、受診する事によって待合室などで他の感染症を含めてもらってしまう可能があります。
重症化して入院する人は必然的に検査をすることになります。本当に治療・検査の必要な重症の患者さんをスムーズに治療することが、何より大切です。

【池島進先生プロフィール】
大館市立総合病院 内分泌代謝神経内科勤務
日本糖尿病学会専門医・研修指導医
日本感染症学会専門医・指導医
日本内科学会総合内科専門医 DMAT隊員

キーワード

秋田県内エリア

Writer

Makiko

Makiko

有限会社無明舎出版勤務を経て、フリーライターとして、雑誌、フリーペーパー、WEBなどの記事を執筆。秋田県大館市在住。秋田県北を中心に、秋田の観光・食・子育て・話題のスポット・スポーツなどについて発信しています。 mama plan(ママプラン)所属
https://mamaplanodate.net/information/

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