女性なら誰しも、いつかは訪れる更年期。毎月の月経は面倒だけど、いずれくる閉経を想像すると、それはそれで不安! 人によって更年期障害の症状はいろいろだと聞くけど、実際どうなるの?
そんな疑問に、産婦人科専門医・佐藤麻希子先生(大館市立総合病院産婦人科部長)が答えてくださいました!
更年期はいつ頃からはじまるの?
医学的には、閉経の前後5年間を「更年期」と呼びます。
更年期に起こりがちな不調を「更年期障害」といいます。
閉経の目安は、もともと月経が順調な人の場合、12カ月以上月経が止まることが判断基準になります。45歳で10%、56歳で90%の人が閉経していると報告されています。
実際には閉経前の5年間も更年期に含まれるので、閉経がいつ来るのか、もう更年期に入っているのかを正確に判断することはできません。
閉経の2〜8年前から、卵が育ちにくくなって排卵までに時間がかかり、月経周期がだんだん長くなります。そうなると、女性ホルモン「エストロゲン」が低下しはじめ、更年期障害が起こる条件がそろいます。
月経が乱れてから数年後に更年期障害が現れる人が多いです。
更年期障害にはどんな症状があるの?
症状は大きく2つに分けられます。
①自律神経失調症状・・・のぼせ、動悸、異常な発汗、めまい、肩こりなど
②神経精神症状・・・不眠、倦怠感、不安、抑うつ、イライラなど
一番多く見られる症状は肩こり、次いで倦怠感、頭痛、のぼせという順になります。
ほてりやのぼせは、「周りの人はみんな涼しい顔をしているのに、自分だけ熱い」という状態です。汗が出るか出ないかは、個人差があります。
めまいにはいろいろな種類がありますが、更年期障害の場合はフラフラするようなめまいが特徴です。
たいていは複数の症状が同時に現れることが多く、更年期障害と判断するためには「他の病気ではない」ことを調べる必要があります。なので、「めまいがする」と耳鼻科を受診し、他に隠れている病気が見つからないので婦人科の受診を勧められる、というような流れが、よくあるパターンです。
更年期障害を乗り切る方法は?
だるくて仕方がなくて仕事にならない、ほてりや汗がひどいから外出をやめよう、というように、症状のせいで日常生活に影響があるような時は、ためらわずに病院に行きましょう。
更年期障害の治療は大きく3つあります。
①ホルモン補充療法(内服、湿布)
②漢方薬
③その他・・・抑うつ剤など
症状や体質に合う薬を見つけて治療をすると、楽に日常生活を送れるようになります。
そのほか、自分でできる対策として効果的なのは、なるべくストレスを溜めないようにリラックスできる環境を整えること。更年期障害の症状は、女性ホルモンの低下を中心にした内分泌の変化、仕事上の人間関係の変化、子どもの成長や親の介護など家庭環境の変化、そして、もともと持っている性格などが大きく影響するといわれています。自分なりのストレス発散法を見つけておくのもいいでしょう。
適度な運動、バランスの取れた食事を心がけることも大切です。大豆イソフラボンが良いという説もありますが、サプリメントを含め有用だという証拠は残念ながらなく、病院で使用するホルモン剤に比べると効果が低いのも事実です。でも食品なので安全性は高く、大豆イソフラボンを摂取することに反対するということではありません。
症状はいつまで続くの?
閉経後5年経つと、少しずつ良くなっていきます。神経精神症状(不眠や倦怠感など)は、自立神経失調症状(のぼせや肩こりなど)よりもやや遅れて改善するとされています。
ただ、更年期が終わったあと、加齢による「老年期障害」に続いていくことがあり、不眠などの症状が続くこともあります。
佐藤先生からa.woman読者へのアドバイス♡
日本人の半数は更年期障害の自覚症状があるけれど、そのうち4分の1しか病院を受診していないというのが現状です。いつか治る症状かもしれませんが、我慢して過ごす数年間がもったいないと思うのです。
楽に過ごす方法はいろいろあるので、自分で生活に気をつけても症状が改善せず、日常生活に支障があるような場合は、ぜひ、病院の門をたたいてくださいね!
【佐藤麻希子先生プロフィール】
2000年横浜市立大学医学部卒業。横浜市立大学医学部付属病院、神奈川県立足柄上病院、小田原市立病院、弘前大学医学部附属病院、青森県立中央病院、青森市民病院勤務を経て、2019年に大館市立総合病院産婦人科部長に就任。日本産婦人科学会指導医、日本内分泌学会専門医など。