みなさんは「福祉ネイリスト」という職業を知っていますか？一般的なネイリストとは違い、介護と福祉の場にネイル施術を提供して癒しや笑顔を提供する、高齢者に関する知識も持ち合わせたネイリストのことです。

秋田市でネイルサロン「Nail concierge（ネイル・コンシェルジュ）」を主宰する岩見しのぶさんは、自宅サロンを運営する傍ら、福祉施設などへの出張ネイルサービスを展開しています。あまり聞きなれない福祉ネイリストの活動内容や、その裏側にある岩見さんの想いを聞いてきました。

みんながみるみる笑顔に！出張ネイルサービス

この日、秋田市内の公共施設に集まったのは、同じ町内会の女性たち。「ネイルを一回やってみたかった」「昔はマニキュア好きだったけど最近やってなかったから…」「おしゃれに興味があって」と、みなさんさまざまな想いから岩見さんの出張ネイルサービスを利用することに決めたそうです。

まずは、岩見さんが作成したネイルアート見本を見ながら、どんなデザインがいいかを相談。1人20分で順番に施術を受けていきます。サービス料金は破格の1人1,000円（20分／1本アート込み）！このほか、500円のハンドマッサージ（10分）も人気です。

初めてマニキュアを塗ったという人も、「ネイルのお店に入るのは緊張するけど、出張サービスなら気軽」「ただの主婦がネイルをしていいのかと不安だったけど、なんだか若返った気分」と嬉しそうでした。

みなさんからは「しのぶさんとの会話に癒された」という声も上がっていました。ただネイル施術をするだけではなく、癒しやカウンセリング的な意味も大きいのが、福祉ネイリストの仕事なんですね！

子育て中の悩みから、ネイリストの世界へ

普段は、自宅や美容室を使って紹介制のネイルサロンを主宰。女性らしい、きらめくデザインが素敵です。

岩見さんがネイリストになったのは、長男の育児中、家で引きこもりがちになった時に救ってくれた1本の真っ赤なマニキュアがきっかけ。家にずっとしまってあったマニキュアを爪に塗ると、外に出たい、出てみよう！と思えたと言います。

そこから、自分と同じように悩む若いお母さんたちにもネイルで元気を与えられたらと、当時勤めていた会社を辞めてネイルスクールへ。2003年に今のネイルサロンを始めました。

その後、まだネイルの魅力が広まっていない高齢者世代にもおしゃれを楽しんでもらうため、福祉ネイリストの資格を取得。

「初めて福祉ネイリストとして友人のおばあちゃんにマニキュアを塗った時、おばあちゃんがかわいい笑顔を見せてくれたのがうれしかったんです。私がネイルを始めた原点である、『爪がきれいなだけで嬉しい』の笑顔を原動力に、今も活動を続けています」。

福祉ネイルは、誤飲を防ぐために立体デザインはNG、医療的なトラブル回避のため個人宅へ行けないなどの決まりがあり、グループ開催や施設訪問が基本です。依頼する際は、岩見さんに開催方法を相談してみてくださいね。

子育て中の女性や、年を重ねたその先にも、笑顔を

福祉ネイリストとして秋田で活動を始めてみると、高齢者のご家族から、「おばあちゃんのこんな笑顔見たことない」「おばあちゃんの機嫌が良くなって、家庭の雰囲気も良くなった」と評判に。

「最初は『マニキュアなんて…』と控え目な人も、爪がきれいになっていくと前向きな気持ちになってくれます。心のケアにもなりますし、髪を切ったり、爪を切ったりするのと同じ『身だしなみ』の1つと考えてみてほしいです」。

小さいお子さんを持つお母さん、福祉施設に通うおばあちゃん、障害のある子どもやその家族…。「年齢関係なく、女性を笑顔にしたい」というのが、岩見さんの想いです。福祉ネイリストの仲間も募集中！秋田にたくさんの笑顔が生まれる福祉ネイリストの活動に、大注目です。

※価格は税込み。