年々増え続けている不登校。コロナ渦で子どもたちを取り巻く環境が変化した影響もあり、2021年度の秋田県内の小中学校の不登校者数は過去最多の1,343人を記録しました。
そんな不登校の子どもたちの居場所づくりとして、2022年10月から活動している「トーキョーコーヒー秋田」を紹介します。
トーキョーコーヒー秋田って?
ネーミングの「トーキョーコーヒー」は、「登校拒否」の文字を組み替えたアナグラム。不登校の子どもの居場所づくりとして、奈良県の団体が始めたプロジェクトです。研修を受けた全国各地の賛同者がそれぞれの地域で主宰者として活動しており、2023年1月現在、国内に196ヵ所の拠点があります。
トーキョーコーヒー秋田もその拠点の一つ。秋田市を中心に、井川町や潟上市などでも活動を行っています。
これまでに開催したイベントは、野外で鍋物を作って食べる秋田伝統の学校行事「なべっこ遠足」や、キャンプ場での汁物づくり、味噌づくりやランチ会など。1ヵ月に1~2回のペースで集まり、さまざまな活動をしてきました。
「子どもに何かをさせる場所」ではなく、「大人の活動場所」
トーキョーコーヒーの特徴は、「子ども」ではなく「大人」が主体であること。
集まった大人たちが料理や手しごとなどの活動を楽しむかたわら、子どもたちは自由に走り回ったり、ゲームをしたり、絵を描いたりと、好きなことをして過ごします。
もちろん大人と一緒に作業をしてもOK。大人たちはできるだけ子どもたちに口を出さずに見守ります。
「子どもが何かをしなくてはいけない場所」ではなく、「大人が生き生きと活動することで、子どもにとっても居心地のいい空間」をつくるという視点からアプローチをしているのがトーキョーコーヒーなのです。
取材をした昨年12月は、秋田市牛島にあるキッチン完備のレンタルルーム「ハピグリレンタルroom」で、具だくさんの味噌汁をみんなで作って食べる会を開催。参加した大人たちは、ワイワイ楽しく手を動かしながら、子育ての悩みや日々の話で盛り上がっていました。
もがいている子どもたちに、無理に「活動」をさせない
自身の子どもたちの学校への行き渋りがきっかけで不登校支援の活動を始めたという、主宰者の藤原美紀(ふじわらみき)さん。トーキョーコーヒー秋田を始める前にも、不登校の子どもたちと一緒に味噌づくりや昼食づくりをするイベントを企画していました。ところが、思うように人が集まらず、自身の子どもたちもなかなか乗り気になってくれませんでした。
今後どうしたら子どもたちの居場所をつくっていけるだろうかと考えていた時に、トーキョーコーヒーと出会いました。そこで「学校に行けないことでプレッシャーを感じている子どもたちに、無理に『何かをさせよう』という大人の意思を押し付ける必要はないのでは」という考えに行き着いたと言います。
「お母さんたち自身が楽しめていたら、子どももきっとラクになる」。そう考え、賛同してくれた友人たちとトーキョーコーヒー秋田の活動を始めました。
みんな楽しく過ごせるのがイチバン!
藤原さんは、「活動を始めたことで、何より自分自身が楽になった」と話します。以前は自分の子どもたちが学校に行かないことについて悶々と悩んでいましたが、トーキョーコーヒーに集まった子ども達が野外でのびのびと過ごす姿を見ているうちに、「学校に行けなくても、楽しければいいんじゃないか」と思うことができるようになったそうです。
不登校児の親以外も参加してほしい
トーキョーコーヒー秋田は、今後も月1~2回のペースで活動を続けていく予定です。また、フリースクールをつくる活動にも関心を持ち、情報を集めたり話し合ったりしているそうです。2月23日(木)には、秋田市文化創造館で、神奈川県川崎市にあるプレーパーク「川崎市子ども夢パーク」の様子を描いたドキュメンタリー映画「ゆめパのじかん」の上映会を予定しています。
トーキョーコーヒーに集まるのは、学校に行かない子どもを持つ親だけではありません。子どもがいない方や、子育てが終わった世代の方、学校に行くのが大好きな子どもの親など、色々な人が参加しています。興味を持った方はぜひInstagramで活動予定をチェックしてみてください♪
DATA
【トーキョーコーヒー秋田】
Instagram
※活動予定はInstagramでお知らせしています。
※参加希望の方はInstagramのDMからお問い合わせください。