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自分も周りも大切に。「楽しい」に囲まれて続けてきた、ライター業と子育て支援活動。

わわわde子育てカフェ・mamaplan 代表 島田真紀子さん

フリーライターとして10年以上のキャリアを持ちながら、木のおもちゃ広場&コワーキングスペース「わわわde子育てカフェ」の運営や、子育て支援団体「おおだてde子育て」の活動にも力を入れてきた島田真紀子さん。
また、個人事業主のライターやデザイナーが集まる会社「mamaplan」の代表も務めています。3人の男の子のお母さんでもあり、このWEBサイト「a.woman」のライターでもあります。精力的に活動する島田さんに、パワーの源を伺いました!

出版社勤務を経てフリーライターに

ーフリーライタ―になったきっかけを教えてください。

島田 もともと秋田市の無明舎出版という出版社で働いていたのですが、2011年に夫の仕事の都合で大館市に引っ越したのと同時にフリーになりました。編集長に「仕事を回すから、フリーランスでライターを続けてみたら?」と言われたのがきっかけです。ちょうど三男が産まれたばかりで、正社員として働くのは大変だったので、「仕事をもらえるのならやってみようかな」という気持ちでした。
出版社に入ったのも偶然だったんです。当時、私は派遣で働いていて、たまたま派遣された先が無明舎出版でした。それまでの派遣先は製造業の工場ばかりだったので、てっきりまた何かの部品を作るものだと思い、面接の時に「ここでは何を作っているんですか?」と聞いたら、「本を作っています」と言われて(笑)。本当に一から育ててもらったので、社長や編集長をはじめとする上司の皆さんには感謝しています。

ーフリーランスになって、仕事と育児の両立はどうでしたか?

島田 最初のうちはほとんど前職の出版社から依頼される仕事だけでした。仕事の幅を広げたくてWeb制作の勉強もしましたね。営業しなくても仕事の依頼が来るようになったのは、フリーになって5年ほど経った頃からです。その頃から子どもも大きくなってきて、遠方の取材にも行けるようになり、『TURNS』など全国発行の雑誌の仕事もいただくようになりました。
子どもが小さいうちは子どもを優先すると決めて、遠方の取材などは受けないようにしていましたね。大きくなってきたら仕事の範囲を広げると同時に子どもたちに家事の手伝いをお願いして、子どもの成長に合わせて仕事と育児の優先順位を徐々に変化させてきました。

(島田さんが執筆した記事の一部。左:地域密着のスポーツ雑誌『Standard』 右:北東北エリアマガジン『rakra』※写真提供:島田真紀子さん

いくつもの人生を疑似体験できる、ライターという職業

ーライターという仕事の魅力はなんだと思いますか?

島田 人の活躍や努力を、目に見える形にすることができることです。インタビューしたことが記事になって、取材した方に喜んでもらえるとやりがいを感じます。
あとは、たくさんの方の人生に接することができるところです。普通に生きていたら自分一人分の人生しか経験できないけれど、インタビューを通して職人さんやアスリートなどニッチな職業の世界に入り込むような体験ができるんです。
出版社時代には、取材後にお試しで乗せてもらったことがきっかけでカヌーを始めてのめり込み、国体に出場したこともあります(笑)。

(取材がきっかけで始めたカヌーで国体出場も。写真は2001年6月に行われた東北ブロック大会。※写真提供:島田真紀子さん)

ー個人事業主がチームで活躍する「mamaplan」について教えてください。

島田 mamaplanは、ライターやデザイナーなど、それぞれスキルを持ったフリーランスが集まっているチームです。今は数人のライターが所属しているので、まとまった量のライティングの仕事を請け負って、分担して執筆をすることができます。仕事を受けるのも、企画を出すのも、一人よりチームの方がずっと楽しいです。
みんな自分らしく働くためにフリーランスをやっているので、それぞれ自分の思うように生きながら、ここを足場にお仕事をしてもらえたらいいですね。

働くお母さんも、専業主婦も、分け隔てなく笑顔にしたい

-子育て支援の活動を始めたのはいつ頃ですか?

島田 大館市に移住して2年目の2012年に、「おおだてde子育て」というボランティア団体を立ち上げました。引っ越してきた頃、乳児だった三男を連れて遊びに行ける場所を探しても、当時の大館には子連れ向けの施設がほとんどなく、周囲に聞いても「大館には何もないよ」と言われてしまって…。それなら自分で探そう!と思ったことがきっかけです。

(2012年から発行している「おおだて子育てカレンダー」)

島田 子連れのための施設がなくても、イベントなどの情報をわかりやすくまとめたものがあれば、「大館にもいろいろあるじゃん!」と思えるのではと、一ヵ月分の子ども向けイベント情報を掲載した「おおだて子育てカレンダー」の発行をスタートしました。加えて、Web制作の勉強も兼ねて「おおだてde子育て」のホームページも作りました。

ー「わわわde子育てカフェ」をオープンしたきっかけは?

島田 2014年から、公民館や児童館の一室を借りて、助産師さんによる座談会と交流会を兼ねたイベントを定期的に開催するようになりました。継続しているうちに常設の拠点が欲しいと言われることが増えてきたので、常設のコミュニティスペース「わわわde子育てカフェ」をオープンしました。

(「わわわde子育てカフェのスタッフと島田さん)

島田 「わわわde子育てカフェ」は、コミュニティスペースとコワーキングスペースを兼ねていて、キッズスペースで子供を遊ばせながら仕事をしたり、おしゃべりをしたりできる場所です。また、ベビトレヨガやリトミックなどのイベントを開催するほか、カフェの奥にあるレンタルキッチンで調理したテイクアウトのおにぎりやお惣菜の販売もしています。レンタルキッチンは、調理のスキルがあるけれどお店を持たずに活動している人や、お店を持つ準備をしている人の起業の起点として使っていただいています。

(「わわわde子育てカフェ」で定期的に開催されているイベントベビトレヨガ」)

ー子育て支援の活動で大切にしていることは?

島田 「子育て中の人を笑顔にしたい」というのが第一の目的です。特に「働いているお母さんも、育児に専念しているお母さんも、みんな笑顔になってほしい」という思いを大事にしています。
最初はとにかく思いだけで突っ走っていたのですが、「おおだてde子育て」のメンバーの間でも実は少しずつ考えが違っていて、ほころびが出てから気が付く…ということもあったんです。それで、活動を維持していくためには団体として明確な目標がないと駄目だと気付きました。

“続ける”は何度でもできるけれど、“やめる”は一度きり

ー子育てカフェも、ライター業も、10年以上続けてこられた理由はなんでしょう?

島田 楽しいからですね。私の性格上、楽しくなかったらとっくにやめていると思います(笑)。それと、一緒に活動する人たちに恵まれたから続けてこられました。

昔、知人に「“続ける”という選択は何度でもできるけれど、“やめる”という選択は一度しかできない」と言われたことがあるんです。だから、もうやめたいと思った時には、「やめる」と「続ける」のどちらを選ぶか、毎日自分に問いかけました。「やめてしまったらこれで終わりだから、とりあえず明日まで続けよう」という選択を毎日積み重ねるうちに、気が付いたら10年経っていましたね。

ー仕事をする上で大切にしていることはなんですか?

島田 自分の思いを周囲にきちんと伝えるようにしています。自分にとって居心地の良い環境は自分で作らなくちゃいけないから、「今、自分は我慢していないか?」と自分に問いかけて、言いたいことはちゃんと伝える。それが結局相手の思いを大切にしていることにもつながると思っています。

ずっと仕事を続けていきたい

ーさまざまな活動をしていますが、不安に感じることはありますか?

島田 不安はいろいろあります。でも、不安が無い方がマズイと思っているんです。やりたいことや、こうなりたいという姿があるから不安があるし、不安があるからこそ将来に備えることができる。今できることをやって、不安をひとつひとつ潰していくしかないのかなと。

ー島田さんが今後目指す姿を教えてください。

島田 ずっと仕事を続けたいので、体力をキープするため去年からランニングを始めました。死ぬ一週間前まで働くのが夢なんです(笑)。また、「わわわde子育てカフェ」も「mamaplan」も事業としてもっと安定させた上で、ゆくゆくは次世代の誰かにバトンタッチできたらいいなと思っています。

もし生まれ変わったらどんな仕事をしてみたいか尋ねると、「きっと今と同じで、行き当たりばったりでとにかくやってみて、最初に『楽しい!』と思ったことを続けるんじゃないかな」と笑っていた島田さん。魅力たっぷりの明るい笑顔で前に進み続ける姿からは、周囲もたくさんの元気をもらっています!

DATA

【島田真紀子さん】

茨城県土浦市出身、秋田県大館市在住。有限会社無明舎出版勤務を経て、2011年よりフリーライターとして雑誌やWEBの記事を執筆。2012年に子育て支援団体「おおだてde子育て」を立ち上げ、「わわわde子育てカフェ」の運営や子育て情報の発信などを行う。3人の男の子を育てながら、大館市の個人事業主が集まってライティングやデザインを請け負う会社「mamaplan」の代表としても活動中。

mamaplan(ママプラン)
HP

おおだてde子育て
HP

わわわde子育てカフェ
秋田県大館市大町9 MARUWWAニコメ1F
TEL/0186-59-5305
営業日/月・水・木曜日(祝日の場合お休み)
営業時間/10:00~15:00
利用料/大人400円(イベント参加費は別途)
駐車場/あり
HP
instagram

Writer

もも

もも

大館市在住。フリーランスでライター、WEB制作、EC運営等をしています。人と話すこと、人を知ること、楽しいことが好き。誰かの心がラクになるきっかけになるような情報発信を目指しています。

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