最近、ジワジワと注目度を高めている発酵食。さまざまな発酵食がありますが、県内でも有数の米どころである横手市は、麹の文化が発達した発酵のまちとして有名です。
麹というと、味噌や醤油といった定番の調味料には欠かせないもの。さらには甘酒や漬物など、その使い道は幅広くあります。今回は、麹を使ってオリジナルのスイーツを生み出している女性をご紹介します。
こうじ屋に生まれた女性が手がける麹スイーツのお店
横手市平鹿にある菓子工房marble(マーブル)は、パティシエールの新山亜希子さんが2013年にオープンしたお店です。
店舗に隣接するこうじ屋さん(新山食品加工場)は新山さんが生まれ育った実家。お店には、実家でつくられている味噌や塩麹、甘酒や味噌たまりなどを使ったお菓子がたくさん並んでいます。
小さい頃からお菓子づくりが大好きだった新山さん。いつか自分のお店を持ちたいという漠然とした想いを持ちながら、大阪でパティシエールとして働いていた中、突然転機が訪れます。
「ちょうど帰省していた時に東日本大震災が起きて。大阪に帰れなくなっちゃったんです。その時実家のこうじ屋が繁忙期だったこともあって、一旦実家の仕事を手伝うことに。秋田に戻っては来たけれど、いずれ県外でまた修行をしよう、くらいの気持ちでした。」
秋田に戻った新山さんは、学生時代に柔道部に所属していたことから、母校の中学校でコーチを任されるようになります。また、知り合いの方を中心にお菓子を作って欲しいと頼まれるようにもなっていきました。
仕事をしながら、自分の好きな柔道に関われる環境が整ったことで、居心地の良さを感じるように。お菓子の注文数も増えてきたことから、この場所でお菓子づくりを本格的に仕事としてやってみようと決意します。
「最初は加工場を作ろうと思っていたんです。でも設計士さんに『お店始めちゃったら?』ってアドバイスされて。流れに身を任せていたら、お店ができてました(笑)。タイミングだったのかもしれませんね。」
麹×スイーツのきっかけは高校時代の味噌クッキー作り
そうしてオープンした菓子工房marble。お店の特徴とも言える麹を使ったお菓子を作るきっかけとなったのが、高校時代に試行錯誤して完成させた味噌クッキー(100円)でした。
柔道部の先輩の「味噌屋なんだから味噌を使ったお菓子を作ってみろ!」というひと言から始まったチャレンジ。何回も何回も試作して生まれたレシピは現在とほとんど変わらないのだとか。
(お店で一番人気の味噌たまりシフォンケーキ(880円)。ボリュームもあって、手みやげとしても喜ばれる一品です。)
麹とスイーツの組み合わせのおいしさ、おもしろさを知った新山さん。今では味噌だけでなく塩麹や甘酒など、使用する麹商品の幅も広がっています。
夏はおいしくてヘルシーな甘酒スイーツがおすすめ
これからの夏におすすめなのが、甘酒を使ったひんやり冷たいスイーツ。左から、レモン甘酒ゼリー(250円)、甘酒マンゴープリン(220円)、大沢ぶどうの甘酒豆乳プリン(220円)です。
また、ケーキにも甘酒がぴったり。生クリームの代わりにたっぷりの甘酒を使用した、甘酒チーズケーキ(300円)は、チーズの程よい酸味に甘酒のコクが絶妙な味わいです。
いずれも実家の新山食品加工場で作られたあめこうじ甘酒(270円)を使用しています。甘酒をスイーツに使うことで、糖分や脂肪分を減らせるのだそう。
秋田県オリジナルの麹「あめこうじ」と水だけという実にシンプルな原料。だからこそ、麹のうまみと優しい甘さが引き立っています。
「飲む点滴」と言われるほど栄養素が豊富に含まれる甘酒。ヘルシーでおいしい甘酒スイーツは、夏バテ予防の強い味方になってくれそうです。
麹が持つチカラは無限大!?まだまだ新しい麹スイーツを作りたい!
数々の麹スイーツを作っていく中で、麹が持つ素材のチカラに驚かされることも多いのだとか。
「麹って小さい頃から当たり前だと思っていたものだけど、お菓子作りに使うということではまだまだ勉強中です。味噌でも熟成度によって風味が違ったり。甘酒チーズケーキもあっさりめに仕上がると思ったら生クリームに負けないコクが出たり。麹ってすごいなぁって思います。」
次は甘酒を使ったパウンドケーキを作りたい、と話す新山さん。麹とスイーツがこれからどんなおいしい出会いをしていくのか、楽しみです!
※価格は全て税込
【菓子工房marble】
横手市平鹿町樽見内字相川野3
電話/ 0182-24-3567
営業時間/ 9:00〜19:00(12月〜3月は10:00〜18:00)
定休日/ 水曜・木曜
※ただし祝日・シュークリームの日(10・20・30日)は営業
駐車場/ あり
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